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第3章

第35話 領地に帰る前の準備 35(改訂)

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 あら?お母様、何か知ってるのかしら?
 まぁ……良いいですわね、ちゃっちゃと解除しちゃいましょう。

「パ、パトリシア、魔法で解除できるか?」
「やっては見ますが………質の悪い魔法ですわ……厄介ですわ!」

 すると父が、アレクお兄様にヴァンスを押さえていろと言う。
 そして、分かりましたと言うとヴァンスの肩を後ろから押さえ立てないようにする。
 それを見た私は、兄の目の前に座り兄を呼び一喝する。

「お兄様!落ち着いて下さいませ!そして目を閉じて下さいませ」
「……分かった」

 諦めたのか、言われた通りにヴァンスお兄様が目を閉じる。

 そして、ヴァンスお兄様の額に手を当てて魔力の元を探ると(ん?なんか、甘い匂いがするわ……何処から?あ、ルトが甘くて苦手ってこの事だったのね………流石!聖従優秀ですわ)匂いの元を探ると、ヴァンスお兄様の胸元のポケットから甘い匂いが漂ってくる。

「ヴァンスお兄様、まだ目を閉じてて下さいませ?アレクお兄様?ヴァンスお兄様胸元のポケットに何か入って、おりませんか?」
「ん?胸元?ヴァンス兄上探りますよ?」

 ごそごそと、胸元のポケットをアレクが探ると赤い小さな石が出て来た。

「シア、有ったぞ!これだ」

 小さな魔石が胸元から出てきた。
 全く、姑息ですわね……。
 どう言う積もりで、こんなものを入れたのかしら?
お兄様と、懇意に成りたいのなら実力でアタックすれば良いのに………こう言うやり方は軽蔑するわ……あり得ない!

「それ、アレクお兄様!叩き割ってください。早く!」
「おお、壊せばいいんだな?」

 アレクが慌てて、拳で石を叩き割った。(凄いわ!拳で石って割れるの?)その割れた石が魔力を失ったのか赤黒く変色する。
 その割れた石を確認したパトリシアは、気合いを入れて、掌に光を集めて聖魔法で浄化する。

「ピュリフィケーション」

 そしてヴァンスお兄様にも聖魔法を掛ける。

「キュア、リフレクション!」

 聖魔法を、掛けるとヴァンスお兄様の身体からピンク色の煙りが、出たと思ったら直ぐに消えた。
 そしてお兄様に、声を掛ける。

「お兄様、目を開けても良いですわよ?もう大丈夫ですわ」

 ヴァンスは、パチリと目を開けてなにが起こったのか分からず不思議がる。

「ぱ、パトリシア?なんだ?なにが起こった?身体がやけに軽いが?」

 騒ぐヴァンスお兄様に、両親とアレクお兄様が呆気に取られてポカンとする。

「ヴァンスお兄様!落ち着いて下さい!」
「お、おお、そうかそうだな……。す、すまん。パトリシア何があったか説明しろ!俺はどうしたんだ………?」
「落ち着いて下さいませ?ヴァンスお兄様。お兄様は魅了の魔術に、掛けられておりましたのよ」

「………み、魅了?」
「そうです。頭はクラクラしませんか?」
「そう言えば、目眩が治った………か?」

 なぜ私に聞くのか?知りませんわよそんなことは。(笑)

「ならばもう一度鑑定………良かった!魅了は消えてますわ。本当に良かったです」
「ヴァンスもう一度聞くが、クレメント家のエメラルダ嬢は如何する?」

 父が確認をする。

「…………誰です?それは……」
「………記憶に無いと?兄上?」

 ヴァンスは首を傾げて、誰かと逆に聞かれた。

「あぁ、誰だい?それは………アレク?」
「ならば、ベルガモット家は独立公国を立ち上げても良いか?」
「ええ、構いませんよ?全力でお手伝い致しますよ父上!」
「「「「はぁ………」」はと騒がせな!」まったくですわ!」
「ま、まぁ、大事に成らずに済んだ事だし、良かったですよ。流石父上です」

 ええーーー!ちょっと待ってアレクお兄様、私が解除したのに……労いは無しですか?そうですか、フン!

 それに!ルトのお蔭ですわよ!

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