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第1章
第12話 卒業パーティー会場で婚約破棄 4 (改稿)
しおりを挟む遠目にお母様のお顔が目に入る。
お母様お、怒ってるわ。
お顔が般若の様ですわ。
ですがお母様は、彼方から動かないようです。どうやらお母様は彼方で此方の様子を伺ってる様ですね。
ですが此方はというと、今度は王妃が私達の元まで来て口を挟んで来る。
まあ、王子の親なのだから当たり前ですけれど。
「ベルガモット宰相御機嫌よう。いったいこれは?」
「おお、王妃よ。こ、これはだね、そ、その…」
お父様が王妃に挨拶をするより先に、国王陛下が先に王妃に事の次第を説明し始めるだが、お父様も負けじに陛下の言葉を遮り王妃に挨拶をした。
お父様…オコなのはわかりますが…陛下の言葉を遮るのは、どうなの?
「これは、これは王妃様!本日も麗しくご挨拶が遅れて申し訳なく。ですが、どうされましたか? 私達一家は陛下の御前を失礼します。と挨拶をしていたのですがね」
「宰相、その話し声は私にも聞こえてましたわ」
「そうでしたか? でしたら我々一家はこれにて」
「待って、少しお待ちなさいな? パトリシア、どうやらルーベルトが愚かな事をしたようね? この子の母親として謝罪をするわご免なさいね」
なにこの良い親ぶってるのは?
ああ周りに良い親アピールしたいんだ。驚いて返事も出来ないわよ、し、謝罪ってなに?
「……」
「まあ、この場では詳しいお話も出来ないでしょうから…仕方ないわね。でしたら、この話しはまた後日、日を改めて致しましょう。ねッパトリシア」
「………」
王妃が私に話し掛けてきたわ。
でも返信はしないわ!
何せ私はお父様の後ろに隠れてて返事が出来ないのですもの。
お父様が私を庇ってるので私は返事が出来ないし。それにお兄様達が、私の肩左右をガッチリホールドしてる状態なのです。
殆んど父の背中で下を向くしかない状況なのよこれが!
…動けない。
なので、私が泣いていると思ってる人が大半居るのではないかしら?
こんな場面で、泣かない方がおかしいと周りにも思わせたかったので、ラッキーはラッキーなのだけれど。
「王妃よ! だがそれでは……」
「貴方は黙ってらっしゃいな!これ以上恥の上塗りは避けなければなりませんわ。ほら、下がりますよ! ルー貴方も、こちらへいらっしゃい!」
王妃は手に持った扇子でベシリッと王子の頭を叩く。
「痛い母上! 私は、まだエミリアと……」
「何を馬鹿な事を言っているのかしら?お前は! ほら、良いから帰りますよ」
ベシリともう一度王子の頭を叩く。
「い、痛いです! 母上。私はエミリアとこれからダンスを踊るのですよ。そのためにここに来たのですから。それに、見てくださいエミリアのこのかわいい姿を!」
バカな王子は、ピンク色の髪をした女を自慢げに王妃に見せ自慢する。
だが王妃の方は、可愛いと見せられた娘の品の無いドレスを着た姿を見せられた王妃は、鼻の下の長くする息子に目を遣り腹が立つのか、息子向かい怒鳴り散らす。
「いい加減になさい!何がこれの何処が可愛いですか! まったく品の無いこと。あぁ、虫酸が走る。それと、そこの娘…貴女エミリアと言ったかしら?」
「ぁっは、はい………」
「貴女、何故ここに居るのかしら?」
「わ、私は。ルーベルト王子様に誘われて…来ましたのよ?」
「……誘われたね? 貴女ね…目上のわたくしに対して、口の聞き方も知らないのかしら。まったく品の無い…」
ギロリとエミリアを睨み更に言葉を続ける。
「ルーベルトに誘われたからと言って、何処にでも入れる訳ではないのよ。それは、御存じ? まったく…頭の悪るい事だわねぇ……」
「ひ、酷いわ!ルーベルト様が私を妃だと言ってくれたから、ここに来たのに……」
そんな馬鹿な話を訊いた王妃が、眉間に皺を寄せ呆れた様子で扇子で口元を隠すしルーベルトに苦言を言う。
「ねぇルーベルト、この方はやめて下さいましね?」
「な、何故ですか? 母上…エミリアは、素晴らしい女性ですよ」
その言葉を訊いた王妃、扇子を畳み扇子を握り締めると、思い切り王子の頭を叩く、何度も叩くそれは扇子が壊れるくらいに強く頭を叩いてるわ!
フフフ、これは面白いですわ。
父の背中から事の次第を盗み見てるけれど…この光景をスマホで録画して拡散したい位に面白いわ!
確実に日本でネットに上げたらバズる!
「痛い!!母上痛いです」
「煩い、お黙りなさい!ほら、早く行きますよ。あら…オホホホ皆様失礼しましたわ! 私達はこれで、失礼致しますわね。ベルガモット宰相。でわね、また日を改めて」
王妃と陛下が、バカ王子を引き摺り会場から去って行った。
それを見送った後から、騒ぎの中心であるベルガモット一家も退室をする。
「それじゃ、私達も行こうか? ほら行くよパトリシア」
「ええ、あ!お父様少し待って下さい」
私は会場に出る前に、会場に居る全員に向けてカーテシーをしてお辞儀をした。
「卒業生の皆様、お騒がせ致しました。どうぞこのまま、卒業パーティーを続けて下さいませ」
パトリシアは挨拶を終えると、父達の後ろを追い掛け馬車に乗り込むのだった。
あぁ~。せっかくの卒業パーティーだったのに…台無しに!
その場に居た卒業生全員が思う。
これも、皆あの馬鹿王子のせいだと関係者一同の意見が一致したのだった。
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