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第1章
第9話 卒業パーティー会場で婚約破棄 1 (改稿)
しおりを挟む未だに始まらない式を待ちながら三人でまた、お喋りの華を咲かせていたら周りがざわざわと騒がしくなって…。
「あら…何かしら? なにか騒がしく為ってないかしら?」
「そうね…なにかしら?」
「本当に…。あっ……あそこ見て」
「えっ? どこかしら?」
「ほら彼処よ」
マリエ-ルが彼処よと言って扉の方に指を差し、その方向を見れば…なにやら扉の方で騒がしくしている人物が見えた。
そして、騒ぐ人物を思わず二度見してしまった。わたしはマリエ-ルやイリアと三人で『じっ』とその場所を見つめた。
はぁ~あのシルエット見覚えがありまくり。何て情けない後ろ姿なのかしら。
「な、なにか見てはいけないものを見てしまったわね…」
「え、ええ。パトリシアには悪いけれど」
「パトリシア、本当にあの人でいいのかしら?」
「だからそれは、わたしに言わないで頂戴なマリエ-ル。わたしだって、好きであんなのと…婚約したわけでは無いわよもう!」
「ごめんなさい。でも…ほんとに気の毒よねぇ…」
染々とマリエ-ルに言われてしまったわ恥ずかしい。
はぁ~兄様達とは大違い。
情けない、あれが未来の旦那様だと思うと泣けてくる。
なんだか、転生しても苦労はしろよっ!て、言われてる気がするわ。
あ、あら目が合ってしまったわ。いけない、いけない。ここは知らない振りですわ。
わたしはあんなの知らないわよと、騒ぎから背を向けまた女三人で話しを続けると…。
「パトリシア!!」
後ろから自分を呼ぶ聞き慣れた声がしたので、ゆっくりとわたしを呼んだ人物に笑顔を張り付け振り向いた。
でも、友人二人には苦虫を噛み潰したような顔を見せて振り向く直前に笑顔を張り付けるのを忘れてないわよ。
「あら、ごきげんようルーベルト王子様。遅い登場ですわね?それと…お隣のその女性は何方様ですの?」
王子に顔を向け軽く挨拶をする。
あらら、このお馬鹿さんてば無関係などこぞの女を連れて来たぞ?何してるのかしら?この人。
もう直ぐ私とお前両親の皆が集まるのに、何故部外者連れなのか?
……馬鹿は、やっぱり馬鹿なんだなぁ~。王子の癖に、上の二人のお兄様達を見習い遊ばせ。
「…お、お前!このエミリアを知らないと申すのか!」
「ええ存じません。ねぇ~二人ともこの方、ご存じかしら?」
後ろに、振り向き友に訊いてみる。
「「パトリシア様、私も存じ上げませんわ」よ」
「そうよね? 何故お見掛けした事もない方を、私が知って居ると?」
「嘘を申すな、知って居るはずだぞ。お前は、私の可愛いエミリアに嫌がらせをしていたそうではないか」
「はい? 私がこの方にですか? 全く身に覚えが御座いませんわ。ルーベルト王子様、言い掛かりも大概にして下さいまし」
「い、言い掛かりだと! なにを言う!お前が、エミリアにさんざん嫌がらせをしてたのは知って居るんだ。正直に申せ!」
「申せも何も、その方を一度もお見掛けしたこと事も無いですわよ? 大体その方、学園の生徒ですの? わたくしその方を、まったく存じ上げませんわ。それに学園でもお見掛けしたこともないですわね。そんな方にどうやって、わたくしが嫌がらせをすれば良いのかしら?」
大体、初見の方にどうやって嫌がらせができるのかしら?
少し頭を働かせれば分かると思うのだけれど……。
そんな事を考えるとイラっとしてしまい眉間に皺が寄る。
おっとイケナイわ!人前でしたわね?クス。
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