王子から言い渡された婚約破棄！ （はぁ？聖女に転生したのに!?悪役令嬢ってなによ？それなら覚えてなさい！いつかギャフンと言わせてやるわ！）

プロローグ １

卒業パーティーの最中にそれは始まった。

「シェル！貴様の様な意地の悪い女とは婚約破棄する！　今直ぐ私の前から消えろ！」

ん？　婚約破棄？誰と誰が…ああ、私とか……ふむ…

「あら、殿下。ごきげんよう？　ところで今…不遜な言葉を聞いた気が致しますが。婚約破棄と聞こえましたが、本気ですの？　お間違えじゃなくて？」
私は手にしている扇子で口許を隠し殿下にそう答えた。
「間違え等ではないわ！貴様私をバカにしてるのか！」
してないわよ！婚約破棄するなんて前から知ってたのよ！馬鹿にするのにも色々とネタがいるのよ？そのネタすら取り上げるのもばかばかしいから、スルーしてるだけよ。この浮気者！
「えっと、それで？　婚約破棄まあそれは置いておいてですね殿下。その…少々お伺いしても、宜しくて？」
「置いて……むぅ…まあ、貴様等とはもう口も利きたくはないのだが…
まあ、良い最後ぐらいは聞いてやる。で、なんだ？」
ムッカ！最後ときたかこの男は！
「殿下のお隣にいらっしゃるご令嬢は何方かしら？」
とりあえず知らない女性だし！
知ってるけど、初お目見えなのは事実だしさぁ～。この場所に、浮気女を連れてきてるのは何故かしら？ここは一応関係者以外は立入禁止なのよ？知らないとは言わせないわ。
「……なに？お前がルルベルを知らぬ訳がないだろ？」
「「「そうだ！、ルルベル様を知らない訳がないだろ？」」この性悪る女め！」
来たわね……王子のひっき虫三人が……
はぁ～情けない！まんまと騙されて。
あの方たちにも、婚約者は居るでしょうに。　　
いったい何してるのかしらね。
というか性悪って……何かしら？
「はぁ……何を申されてるのかがまったく、私に分かりませんが。私はその方をお見受けするのは、今が始めてですわ」
「そんな訳がないだろ！貴様がこのルルベルにしたことは、罪に成るのだぞ！」
「私がその方に…？　記憶に御座いませんわね？　いったい私がその方に何をしたと仰るのかしら？」
「惚けないでよ！貴女が昨日私を学園の階段から、突き落としたじゃない！」
「ククク、だそうだそ？　シェル、私は普段から貴様の事は意地の悪い女だと思って居たが…。そんな女と私が結婚等する訳がないだろ？　私はこのルルベルと、結婚するのだからな！ハハハ」
「何を笑っているのか存じませんが、殿下？　此のような公の場で、そんな有りもしない虐めとやらで、私に婚約者破棄と仰るのですか？」
自分が浮気してる癖に何が婚約破棄なのよ！こっちから願い下げよ。まったく忌々しいったら。
「ふん！当たり前だ！貴様がやったんだろ？ルルベルを階段から突き落としたんだろ？」
「さぁなんの事やら？　私にはそんなことが出来るとでも？」と否定するとまさかのお邪魔虫の女が口を挟んで来たわ。邪魔よ今は私が殿下と喋ってるのよ！
「王子さまぁ～あの意地悪な女とは早く別れて下さいませ？」
と、のっぺりした甘ったるい口調で飛んでも無いことを言い、ランベルト王子の傍らにへばり付いてる緑色の髪をした頭の軽そうなご令嬢が宣ったわ。

まあ、何方でも構いませんが…知った所で婚約破棄なら知る必要もないのだけれど。
でも、フフフさぁ私の断罪イベントが始まった様ですわね？

だけれど！私はこんなことには、負けやしないわ！だってここから私の新たな人生が始まるのよ！レッツエンジョイよ！
オホホホホ！！

婚約破棄…ですか？
そんなこどうでもいいわ！好きになさいな？
あんたなんか要らないものフフフ！




◆◆◆

ここは剣と魔法の飛び交う世界。
世界の名はアリスタス。
世界神　
アリスタス・ロンドル・クレバール神が作った世界。

その世界が出来たのは約五千年前の事だと言う。
そして約四千五百年前に、四つの国の大国の王達が民を巻き込み戦を始め互いの領地の侵略を始め戦を長引かせた。
四つ国が互いに領土を広げる為の、まっこと愚かな陣取り合戦だった。
しかしその戦いを、一人の聖女が奮闘してその世界に平和をもたらし戦いを終わらせたと云われている。
その戦いに終止符を打ったのは、約三千六百年前だと云われて居た。その戦闘が、いかに愚かな行為だったと言われてから、更に三千年の時が過ぎた平和な時代に一人の少女が生まれた。

その少女が生まれた国の名をオリエントル国。

その国にこの物語の主人公である。
シェル・ガルズ辺境伯爵令嬢が性を成したのであった。


父の名がハイド・ガルズ。
辺境伯爵が当主

母の名はアリア・ガルズ。

兄の名をクリス・ガルズ。
辺境伯爵家次期嫡男。

果たしてどんな物語になるのか？



2023.2.9
話の内用を変更。
殿下のシェルに対しての「お前」という単語を「貴様」に変更。