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7.女王の奏でるラプソディー
91.あっけなく(描写すらなく……)
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「……予想以上にあっけなく終わっちゃいましたね……」
「ま、まぁ、何事もなく終ったので良かったじゃない……」
海側に開けた窓を持つ洋館の二階の一室で、僕とイリスさんは言葉を交わしますが、目の前の光景はちょっとカオスですね……
ベッドには、上半身裸の状態で、股間を抑えて悶絶しているイケおじ風のユージン中佐が横たわっていますし、部屋の中央ではミリアム少尉が、なぜか両頬を赤く腫らせたレオンに取り押さえられています。
このカオスな状況を作り出したユイは、純白のシーツで身体を覆い隠し、真っ赤な顔を両手で隠して部屋の中央で座り込んでいます……
「兄様? 無事終わったのはわかるけど、どういった状況なんですの」
騒いでいるミリアム少尉を抑えながら、レオンが何とか口を開こうとした時、ミリアム少尉がレオンの右足を思いっきり踏み抜き、レオンの手から逃げようとしましたが……
鈍い音と同時に、低いうめき声があがり、ミリアム少尉の身体が崩れ落ちました。
それを慌てて支えるレオンと、その背後から影のように現れて僕たちに一礼する優雅な影が現れます。
ユイの護衛についていたエマですね。どうやら大剣の柄で、逃げようとしたミリアム少尉のお腹に当身を喰わせて昏倒させたようです。
さてさて、目が覚めた途端大暴れされない様に、まずは彼らの身柄を確保するのと、今回の顛末をユイに報告してもらうことにしましょう。
◇◆◇◆◇◆
「……そういう訳です……」
ユイの説明では、洋館に運び込まれた後、ミリアム少尉に身に着けていた物は全てはぎとられ、魔道具類は全て外されてしまったそうです。
その後、肌が透けて見える薄物の布一枚まとわされた状態でベッドに放置され、日が暮れた頃にユージン中佐が部屋にやってきたとのこと。
その後、何やら歯の浮くような恥ずかしいセリフを口にしながら、ベッドに横たわるユイにのしかかってきたので、無詠唱で固有魔道具である太極七十二卦球を出現させ、状態異常から即座に回復。
固有スキルの状態異常無効によって麻痺状態が解けているユイは、のしかかるユージン中佐から逃れようと『雷』をまとわせた右足で、中佐の股間を蹴り上げると、くぐもった声と共に中佐は悶絶したそうです。
その後、物音に驚いたミリアム少尉が乱入して着たので、そのまま交戦。
ミリアム少尉の使う武器は、チャクラムではなく圏という古代中国の武器に近く、円弧の一部が持ち手になっていたので、近接戦闘も可能だったようです。
ユイは近接戦闘は得意でもありませんが、新たに使えるようになった『雷』魔法と扇形のサブウエポンによってミリアム少尉を終始圧倒し、無事倒したところで、レオンが少尉を捕縛したとのことです。
室内という狭い空間で、強力な電撃をまとった近接武器相手では、少尉が得意の投擲攻撃はできませんし、ユイ相手だと馬鹿にした少尉の圏が扇に触れた直後に『雷』を発動したため、全くの不意打ちを喰らったのもユイの勝因でしょうね。
えっ? 圧勝だったのに何故レオンが両頬を腫らせて、ユイが部屋の中央で座り込んでいたかって?
いや、それは聞くのは野暮でしょう。薄布一枚まとった状態で、女性同士での近接戦闘なんて、キャットファイト以外の何物でも……ゲフンゲフン……
とりあえず、僕は後が怖いので追求は控えさせてもらいましたよ……
「……事の顛末は、ユイに報告書にまとめてもらうとして、事後処理とかがめんどくさいですね~」
僕の言葉に、イリスさんがため息をつきつつうなづきます。
「この人たちだけじゃなく、船底の二人も合わせて本国に運ばなければだめでしょう? 後任の泊地の指令人事に、ユニオンとの約定通り、子供たちの今後の事もかたづけなきゃいけないし……」
ぶつぶつ考えていると、ユイが不意に口をはさみました。
「……なぜユージン中佐はメイスン氏の悪事に手を貸すことになったのでしょうか?
ミリアム少尉は、あの様子ではユージン中佐を慕っていたのでしょうけど……」
ユイが疑問を持ったのも当然ですよね。
子供たちのことで多少逸脱はありましたが、本国から遠く離れた遠隔地で、あえてメイスン氏の命令に従う理由は僕にはわかりません。
ユイと僕が首をひねって考えていると、イリスさんが再び深いため息をついて口を開きます。
「これはあくまでも推測だけどね。おそらく二十年以上まえの『ポートパーク誘拐未遂事件』に端を発していると思うわ。
話をする前に、また暴れられても困るから、まずは身柄を確保してからゆっくりと話をしましょう」
そういうイリスさんの言葉に僕たちは納得し、二人を魔法で拘束したのちにQAへと戻ることにしたのでした。
「ま、まぁ、何事もなく終ったので良かったじゃない……」
海側に開けた窓を持つ洋館の二階の一室で、僕とイリスさんは言葉を交わしますが、目の前の光景はちょっとカオスですね……
ベッドには、上半身裸の状態で、股間を抑えて悶絶しているイケおじ風のユージン中佐が横たわっていますし、部屋の中央ではミリアム少尉が、なぜか両頬を赤く腫らせたレオンに取り押さえられています。
このカオスな状況を作り出したユイは、純白のシーツで身体を覆い隠し、真っ赤な顔を両手で隠して部屋の中央で座り込んでいます……
「兄様? 無事終わったのはわかるけど、どういった状況なんですの」
騒いでいるミリアム少尉を抑えながら、レオンが何とか口を開こうとした時、ミリアム少尉がレオンの右足を思いっきり踏み抜き、レオンの手から逃げようとしましたが……
鈍い音と同時に、低いうめき声があがり、ミリアム少尉の身体が崩れ落ちました。
それを慌てて支えるレオンと、その背後から影のように現れて僕たちに一礼する優雅な影が現れます。
ユイの護衛についていたエマですね。どうやら大剣の柄で、逃げようとしたミリアム少尉のお腹に当身を喰わせて昏倒させたようです。
さてさて、目が覚めた途端大暴れされない様に、まずは彼らの身柄を確保するのと、今回の顛末をユイに報告してもらうことにしましょう。
◇◆◇◆◇◆
「……そういう訳です……」
ユイの説明では、洋館に運び込まれた後、ミリアム少尉に身に着けていた物は全てはぎとられ、魔道具類は全て外されてしまったそうです。
その後、肌が透けて見える薄物の布一枚まとわされた状態でベッドに放置され、日が暮れた頃にユージン中佐が部屋にやってきたとのこと。
その後、何やら歯の浮くような恥ずかしいセリフを口にしながら、ベッドに横たわるユイにのしかかってきたので、無詠唱で固有魔道具である太極七十二卦球を出現させ、状態異常から即座に回復。
固有スキルの状態異常無効によって麻痺状態が解けているユイは、のしかかるユージン中佐から逃れようと『雷』をまとわせた右足で、中佐の股間を蹴り上げると、くぐもった声と共に中佐は悶絶したそうです。
その後、物音に驚いたミリアム少尉が乱入して着たので、そのまま交戦。
ミリアム少尉の使う武器は、チャクラムではなく圏という古代中国の武器に近く、円弧の一部が持ち手になっていたので、近接戦闘も可能だったようです。
ユイは近接戦闘は得意でもありませんが、新たに使えるようになった『雷』魔法と扇形のサブウエポンによってミリアム少尉を終始圧倒し、無事倒したところで、レオンが少尉を捕縛したとのことです。
室内という狭い空間で、強力な電撃をまとった近接武器相手では、少尉が得意の投擲攻撃はできませんし、ユイ相手だと馬鹿にした少尉の圏が扇に触れた直後に『雷』を発動したため、全くの不意打ちを喰らったのもユイの勝因でしょうね。
えっ? 圧勝だったのに何故レオンが両頬を腫らせて、ユイが部屋の中央で座り込んでいたかって?
いや、それは聞くのは野暮でしょう。薄布一枚まとった状態で、女性同士での近接戦闘なんて、キャットファイト以外の何物でも……ゲフンゲフン……
とりあえず、僕は後が怖いので追求は控えさせてもらいましたよ……
「……事の顛末は、ユイに報告書にまとめてもらうとして、事後処理とかがめんどくさいですね~」
僕の言葉に、イリスさんがため息をつきつつうなづきます。
「この人たちだけじゃなく、船底の二人も合わせて本国に運ばなければだめでしょう? 後任の泊地の指令人事に、ユニオンとの約定通り、子供たちの今後の事もかたづけなきゃいけないし……」
ぶつぶつ考えていると、ユイが不意に口をはさみました。
「……なぜユージン中佐はメイスン氏の悪事に手を貸すことになったのでしょうか?
ミリアム少尉は、あの様子ではユージン中佐を慕っていたのでしょうけど……」
ユイが疑問を持ったのも当然ですよね。
子供たちのことで多少逸脱はありましたが、本国から遠く離れた遠隔地で、あえてメイスン氏の命令に従う理由は僕にはわかりません。
ユイと僕が首をひねって考えていると、イリスさんが再び深いため息をついて口を開きます。
「これはあくまでも推測だけどね。おそらく二十年以上まえの『ポートパーク誘拐未遂事件』に端を発していると思うわ。
話をする前に、また暴れられても困るから、まずは身柄を確保してからゆっくりと話をしましょう」
そういうイリスさんの言葉に僕たちは納得し、二人を魔法で拘束したのちにQAへと戻ることにしたのでした。
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