駄女神に拉致られて異世界転生!!どうしてこうなった……

猫缶@睦月

文字の大きさ
295 / 349
7.女王の奏でるラプソディー

64.アルファ島滞在の延長

しおりを挟む
「……以上が遼寧での模擬試合の記録です」

 士官用のブリーフィングルームには、いつもの上級士官と車いすの脳筋お姉さん+カレン医療副班長がいます。
 続けてユイの操作で、最近QAクイーンアレキサンドリアが遭遇した魔獣や竜種などの映像記録も含めて、スクリーンに投影されます。

「みなさんもご承知の通り、クラーケンやドラゴン、飛竜に続いて今回の百鬼と呼ばれる飛行型の魔獣もあり、アレキサンドリア周辺では見られないタイプの生物がいることがわかりました。
 これらの生物が敵となった場合、QAクイーンアレキサンドリアの現在の兵装の課題と、対応について、みなさんの意見を聞きたいと思います」

 僕の言葉に、ワイアットがスッと右手を挙げて発言の許可を求めていますね。僕がうなづくと、ワイアットが腕組みをしながら、話し出します。

「艦長に確認しますが、それは現在の航空機および火器を含めた兵装で、これらの生物との戦闘を想定しろということでしょうか?
 艦長が所有する航空機を除外して考えた場合、現在の機体・機数ではそもそも勝負になりませんが?」

 うなづいているのは、アンソニー砲雷長とハリー航海長ですね。二人の前にある紅茶には、大量のブランデーが入っている事は黙認しておきましょう。

「クラーケンを含む大型の海棲魔獣いは、そうそう接敵することはないと思いますし、みなさんの実力で撃破できた事実もあります。
 ですが、術者が飛行甲板に揃い踏みしなければ発動できないというのは、改善の余地があると思いますよ?
 以前の嵐の時のように、乗組員自体が持ち場から動けないこともありますし、飛竜が急速接近してきた場合、総員起こしから戦闘態勢がとれるまでの時間、当直の者だけで対応しなければいけないこともあるでしょう」

 クラーケン戦では意表を突く攻撃魔法をみせた男性乗組員ですが、やはり詠唱時間キャストタイムという詠唱職キャスター最大の欠点はカバーできていません。
 竜種は、海棲にしろ飛竜にしろ、飛行速度や水中速度はこちらを圧倒するものですし、当然敵とした場合大きな脅威となります。
 また、百鬼も先ほどの映像からわかるとおり、俊敏性がかなり高いことから、現在の兵装や艦載機では迎撃が間に合わないでしょう。
 ワイアットをはじめとする男性乗組員の顔をみながら、僕は言葉を続けます。

「魔法攻撃力で皆さんの実力を疑うつもりはありませんが、百鬼戦をみればわかるように、魔法職に対して詠唱時間を与えない連続攻撃を仕掛けるのは既知の戦略ですし、本艦に対しても試してくる戦術でしょう。
 新たな生物をこちらから彼らに敵にするつもりはありませんが、彼等側が一方的に攻撃してきた場合、有効な対抗手段が無いというのは問題です」

 今回は機関長としてではなく、魔道具を制作する側の人間として出席しているリアンが口を挟みます。その顔は妙にうれしそうですね……

「現在の兵装で足りない場合は、新規に製作・配備も考慮するってことでいいのかよ?
 正直、お前だけが兵装を制作できるわけじゃねえんだから、俺たちにも腕を振るわせてくれるってことでいいんだよな」

 アーシャに向けている笑顔を同じような顔でさらっといいましたね。まあ、こいつも制作大好きエリックさんの息子ですから、単純に新装備を作れるのがうれしいのでしょう。

 僕はリアンにうなづきつつ、釘を刺しておきます。エリックさんの灯台砲も、リアンがクラーケン戦で使用した兵器も、一発でおしゃかになってましたからね。

「新装備という面では間違いではありませんが、前回のように起動までに時間がかかるのと、耐久性が無いのは採用できませんよ?
 君やエリックさんが作る物は、高性能・高価格・低耐久性が特徴ですからね。まして、軍の経費を使うのですから、コスト&パフォーマンスコスパが良くなければ試作費用も出ませんからね?」

 僕がそう言うと、リアンは思いっきり顔をしかめて頭をわしゃわしゃとかきました。
 ワイアットやイリスさん達は『お前が言うな』という顔で僕を見ていますが、初期費用は高くつきますが、長期運用が可能なように設計はしているつもりです。なので、僕としてはQAクイーンアレキサンドリアもコスパはあっていると思うんですけど……

「……クロエさんの基準は、他の人とは違うと思いますよ?」

 僕の思考を読んだのか、ユイがそんなことを言いました。その言葉に、全員うなづいていますね……

 とりあえずユイの言葉を聞こえなかったふりおして、目の前のカップに提供された紅茶をすすり、僕は陽気に言いました。

「とりあえず、砲雷科は迎撃用装備の案を二点以上、飛行科は迎撃用搭載兵装や新型機の案、航海科は仮想敵となった場合の彼らの戦術と対抗策を、明日のミーティングまでに提出のこと。
 あぁ、医療科はそこの脳筋お姉さんの治療計画を聞かせてください。口出しする気はありませんが、一応知っておいたほうがよいでしょうから」

 さりげなく顔色をうかがうと、これを一日でまとめろというのかって言う顔をしていましたが、無事にこの議題についての相談を終えました。

 そういえば、ギルドからも何か報告という科連絡があるんでしたっけ? 僕はユイに合図して、別室で待機していたパトリシアさんをミーティングルームに迎えます。
 入れ替わりに脳筋お姉さんは、カレンさんに車椅子を押されて退出していきましたが、これから辛いリハビリが待っているのでしょうね。僕は、合掌して彼女の冥福を祈ります。

 パトリシアさんのお話は、依頼というよりは、ギルドからのお願いですね。
 仮称アルファ島に、小規模の遺跡らしきものが見つかったようで、発見したパーティーから探索する時間をくれないかとのことです。
 遺跡の地上部分は小規模ですが、地下に続く階段が見つかったとのことで、探索時間が必要らしいですね。

 イリスさんからも、別件で島内の植生調査とサンプルの採取許可を求められました。まあ、不在だったイリスさんがそんなことを申請するわけもないので、某植物馬鹿が請願したに決まっています。

 とりあえず、停泊期間を四十八時間延長しましたので、三十時間の探索を許可します。その後の延長は、ギルドとの相談になりますね。
 植物のサンプル採取については、医療班のドーラを経由して、クイーンの許可が下りた植物に関しては、島の植生を壊さない程度の採取を許可します。
 クイーンは精霊樹の苗によって力を得たので、植物系に関しての知識は問題ありません。
 植物馬鹿の人も、艦内のプラントの空き具合を考慮してくれるよね? たぶん……

 それにしても遺跡ですか…… せっかくですので、少しの時間僕達も調査にでてみましょう。もちろん、発見者パーティーの許可をとる必要がありますが……

 一般的に、冒険者が発見した遺跡で発見された宝物などは、確保したパーティーの物になります。魔物や魔獣、罠をかいくぐっての探索は、冒険者の特権ですので、僕たちはその邪魔をする気はありませんので、その点はパトリシアさんに伝えます。

「僕達の目的は、ちょっとした腕試しです。時間は二時間程度で、発見した宝箱などには手を着けませんが、魔獣や魔物が出た場合、それらを倒して手に入るドロップ品だけいただければよいのですが……」

 僕の提案に、パトリシアさんは珍しく眉を顰めましたが、発見者パーティーの許可が出た場合は、構わないということになりました。
 発見者パーティーにとっても、僕たちが露払いになれば危険性は減りますし、お宝の所有権は彼らにそのまま残りますので、悪い話ではありません。
 短時間ですので、ボスのいるダンジョンだったとしても、バス部屋まではたどり着けないでしょうしね……
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです

NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた

転生したら、伯爵家の嫡子で勝ち組!だけど脳内に神様ぽいのが囁いて、色々依頼する。これって異世界ブラック企業?それとも社畜?誰か助けて

ゆうた
ファンタジー
森の国編 ヴェルトゥール王国戦記  大学2年生の誠一は、大学生活をまったりと過ごしていた。 それが何の因果か、異世界に突然、転生してしまった。  生まれも育ちも恵まれた環境の伯爵家の嫡男に転生したから、 まったりのんびりライフを楽しもうとしていた。  しかし、なぜか脳に直接、神様ぽいのから、四六時中、依頼がくる。 無視すると、身体中がキリキリと痛むし、うるさいしで、依頼をこなす。 これって異世界ブラック企業?神様の社畜的な感じ?  依頼をこなしてると、いつの間か英雄扱いで、 いろんな所から依頼がひっきりなし舞い込む。 誰かこの悪循環、何とかして! まったりどころか、ヘロヘロな毎日!誰か助けて

異世界転生した俺は、産まれながらに最強だった。

桜花龍炎舞
ファンタジー
主人公ミツルはある日、不慮の事故にあい死んでしまった。 だが目がさめると見知らぬ美形の男と見知らぬ美女が目の前にいて、ミツル自身の身体も見知らぬ美形の子供に変わっていた。 そして更に、恐らく転生したであろうこの場所は剣や魔法が行き交うゲームの世界とも思える異世界だったのである。 異世界転生 × 最強 × ギャグ × 仲間。 チートすぎる俺が、神様より自由に世界をぶっ壊す!? “真面目な展開ゼロ”の爽快異世界バカ旅、始動!

この度異世界に転生して貴族に生まれ変わりました

okiraku
ファンタジー
地球世界の日本の一般国民の息子に生まれた藤堂晴馬は、生まれつきのエスパーで透視能力者だった。彼は親から独立してアパートを借りて住みながら某有名国立大学にかよっていた。4年生の時、酔っ払いの無免許運転の車にはねられこの世を去り、異世界アールディアのバリアス王国貴族の子として転生した。幸せで平和な人生を今世で歩むかに見えたが、国内は王族派と貴族派、中立派に分かれそれに国王が王位継承者を定めぬまま重い病に倒れ王子たちによる王位継承争いが起こり国内は不安定な状態となった。そのため貴族間で領地争いが起こり転生した晴馬の家もまきこまれ領地を失うこととなるが、もともと転生者である晴馬は逞しく生き家族を支えて生き抜くのであった。

俺、何しに異世界に来たんだっけ?

右足の指
ファンタジー
「目的?チートスキル?…なんだっけ。」 主人公は、転生の儀に見事に失敗し、爆散した。 気づいた時には見知らぬ部屋、見知らぬ空間。その中で佇む、美しい自称女神の女の子…。 「あなたに、お願いがあります。どうか…」 そして体は宙に浮き、見知らぬ方陣へと消え去っていく…かに思えたその瞬間、空間内をとてつもない警報音が鳴り響く。周りにいた羽の生えた天使さんが騒ぎたて、なんだかポカーンとしている自称女神、その中で突然と身体がグチャグチャになりながらゆっくり方陣に吸い込まれていく主人公…そして女神は確信し、呟いた。 「やべ…失敗した。」 女神から託された壮大な目的、授けられたチートスキルの数々…その全てを忘れた主人公の壮大な冒険(?)が今始まる…!

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

処理中です...