257 / 349
7.女王の奏でるラプソディー
26.ディランの憂鬱(ゆううつ)
しおりを挟む
嵐を無事やりすごした特別療養室の中で、ディランはレギニータから朝食を受け取って、食事をとっていた。エリオットとのケンカは、クロエ艦長(実際はクイーンだが)直々に体罰を受けた事によって、当事者への考課上の罰は与えない事が通知されていた。ただし、今回の乱闘騒ぎに加担した者は、所属・氏名・階級が左舷展望室内に掲示されており、一カ月の酒精の配給停止の処分がなされる事となった。
また、左舷展望デッキでの酒精の提供が、六日間の停止と表明されており、さらに一度の食事での酒精の提供上限が、四分の一ガロン(約一.一五リットル)と定められてしまい、勤務時間終了後のエールを楽しみにしていた者達からの白い目で見られることは確実であった。
朝食は堅パン数枚と野菜スティックのサラダ、コップ一杯の水に少量の塩のみという簡素なもので、懲罰房と同等の食事であった。どうやら、朝食までが懲罰の対象だったようである。
その後ディランは、軽い健康診断というか、診察をうけた。ディランの場合、脳震とうによる意識消失は五分以内であり、外傷性健忘は無かった。そのために、脳震とうの重症度は中程度と診られ、原隊復帰まで一週間と診断された。
これは、頭痛や頸部痛などが発生する可能性があるために、経過観察が必要とされたためである。飛行中に頭痛などが発生すれば、程度によっては墜落も免れないため、必要な処置である。
ディランは、レギニータに今後一週間は、当直時間はトレーニングにあてて、頭痛などの症状がでたら医療班を訪れるようにと、言い渡され解放されたのである。
現在時を確認すると、本来であれば一時間後に一班の当直時間となる。つまり、現在時間は本来であれば就寝時間ではあるが、ある意味では強制的な睡眠をとった後なので眠いわけでも無い。ディランは誰も見ていないにも関わらず、肩をすくめて、両手をあげてやれやれとジェスチャーをしめすと、しかたなくトレーニングルームへと艦内通路を移動していった。
トレーニングルームでは、二班の数名が汗を流していたが、ディランの姿を見ると顔をしかめて部屋を出て行ってしまう。当然彼らは左舷デッキでの乱闘騒ぎをしっており、トレーニング後の冷えたエールを味わえない原因を作ったディラン達に対して批判的であった。
もともと好かれているわけではない事を自覚していたディランではあるが、こうも露骨な反応を受けるのは初めてであった。
「くそっ、僕が一体何をしたっていうんだ……」
ディランとしては、自分の操縦技術を披露して、その腕前を艦長であるクロエや、船務長のユイ、衛生科班長のイリスに見せつけただけであった。そして、それは途中までは上手くいっていたのだ(あくまでも、ディランの視点ではであるが……)。
(アイツの所為で、こっちまで悪者扱いかよ。とはいえ、あのデカ物とやりあったのを艦長に止められたのはまずかったな……)
ディランには、クロエとクイーンの区別がついていない。現実的に、クイーンは普段は姿を現さないし、クロエとの違いも瞳の色だけであったので、大多数の乗組員も区別できていないどころか、クイーンの存在を知らないのだから当然である。
とはいえ、本来は彼にとっても気をひくことを狙っている相手である。ディランは百八十センチを超える高身長であり、百五十センチに届いていないクロエとは三十センチ以上の身長差があり、さらにクロエにしてもクイーンにしても、制帽を常時被っている為に、上から見下ろす事になるディランは、その顔をよく知らないのである。
まあこの男にとって、女性は自分を囲む花であり、どの花を摘むか愛でるかはディラン側にあるという程度の認識に過ぎないのだから、仕方がないのかもしれない。
何とはなしに、格納庫への通路を選んで進むディランの耳に、船務長による艦内放送が耳に響いた。
『本艦はこれより艦体洗浄作業に入ります。飛行甲板等のデッキ要員は、直ちに待機所に避難して下さい。一分後、艦外へのドア及び隔壁は一時閉鎖されます』
ちょうど当直の交代時刻も近づいているために、艦内通路を行き交う者も多い。とはいえ、ディランは当直勤務から外されており、飛行科の待機場所に行ってもやる事はない。行く場所もなくさまよう中で、ディランはふと艦橋下部の舷窓へと向かった。艦体洗浄作業というものに、純粋に興味があったのだ。
舷窓から見える飛行甲板上は、何ヶ所もあるスプリンクラーより真水が放水され、嵐による甲板上の潮や海草などの漂着物を洗い流している。現在の場所では甲板上に日が差さないために、放水されている水しかみえないが、日の光の下であれば輝く虹が各処に見られていたであろう。
しばらく見ていたディランの目の前で、艦橋前のデッキサイド型エレベータが下降していった。数分後に、エレベータ周辺の散水が止まり、再びエレベータが上昇してくると、見たことのない機体がエレベータ上に鎮座している。
ドーナツ型の本体に操縦席と客室を備え、六機のプロペラを装備したDM2であり、機体横には艦長のクロエとその護衛二名の姿が見えた。
「……なんだよ、あれは……、まさか艦長の専用機なのか……」
他にもVF-1ヴァルキリーも搭載しているのだが、昨日はディランはベッドに拘束されていたためにその存在を知る事はなかったのは幸いである。ディランは自分自身を、アレキサンドリアで一番の操縦士であると思っており、優秀な乗員には、よりよい機体が与えられて当然だと考えているからだ。
ディランが舷窓越しに見ている事に気づかずに、クロエは航空指揮所を見上げて手を振ると、機体後部の搭乗口からDM2に乗り込んだ。やがて軽やかにローターが回転しだすと、ふわりと機体が上昇を始め、すぐに舷窓からその姿は見えなくなってしまう。
あわてて飛行甲板へのハッチを開いて、甲板上からその姿を追おうとしたディランであったが、ハッチは閉鎖されており外に出る事ができない。クロエが乗機で艦を離れた事を知っているのは、艦橋要員とディランのようにたまたま外を見ていた者だけであろう。
「……艦長特権って奴なのか? くそっ、僕にも専用の機体があれば、もっと活躍できるのに……」
そうつぶやきながらディランは、艦体洗浄終了のアナウンスが聞こえると共に、解放されたハッチをでる。真水にぬれた飛行甲板上を、後部へと歩いていたディランは、そこで後部デッキサイドエレベータ上から飛行甲板上に移動された一番機と、整備員に混じって作業をしているライラを見かけた。
本来、地上・艦上にある機体の管轄は整備班であり、操縦士・砲術士であり、例え自機といえど整備班の許可なく機体に触れる事は許されていない。
操縦士と砲術士が、艦を離れた機の性能を、百パーセントを発揮できるために作業を行うのが整備班である。
竜族が人を乗せて空を飛行した時代もあったというが、既にそれは時の彼方へと過ぎ去り、神話の世界の話となっている中で、人族をその技術力だけで空を飛ばせている彼らのプライドも高く、実際ライラが整備班に混じって調整など、当初はできなかったのである。
しかし、整備士からみれば、自分の思い付きだけで機体の負荷を考えもしない、雑なディランの操縦を、ライラは細心の注意を払い、機体への負荷を抑えている事は整備士たちから見てもよく知られていた。ライラは機体整備のプロとしての整備士たちの意見を受け入れ、その指導を仰いでいるからであった。今では、ライラ一人でも軽整備は十分可能となっているが、整備士たちへの気遣いは忘れないために、ライラと整備士たちの関係は良好といえていた。
ライラは、後部座席に座り各部の調整を済ませたかと思うと、整備員と共に搭載された魔導砲の照準調整を行ったり、機体各部の破損や傷みの予兆が無いかなどを確認している。
整備班の面々も、自分たちが整備を行った後に再チェックをしているライラを見ても、気を悪くした様子さえなく、質問や調整作業を手伝っていた。
ディランはそんなライラを見て肩をすくめると、一番機の方に歩み寄ろうとしたが、それに気づいたライラと整備班の面々に止められてしまった。
「……ディラン、貴方は六日間の飛行禁止命令を受けているはず。乗機できない貴方が、機体に触れる事は許されない……」
「悪いが機体に触れる事ができるのは、整備班と当直の操縦士と砲術士のみだ。今のお前さんは、当直から外れているんだから機体に触らせるわけにはいかん」
「面倒をかけさせてくれるなよ……、それ以上近寄れば、また保安員の世話になるぞ。そうなれば、本気でお前はおしまいだ」
ライラと整備班の面々の言葉に、ディランは立ち止まるしかない。指摘されて初めて気が付いたディランであったが、一週間機体に触れる事さえできないのは、操縦士としては致命傷になりえた。
俗に『勘が狂う、勘が鈍る』という。操縦桿の操作と機体の挙動は、操縦士が風を読み、わずかな操縦桿の操作による機体の挙動の変化を身に沁みつくほどの訓練を行った結果できまる。一週間もの間、操縦から離れれば、そういった感覚は壊滅的な程ディランの操縦の勘を鈍らせるだろう。
当然ワイアットも、ディランの勘が鈍る事は承知している。それでも今回の措置に対して、ワイアットが何も言わずに処置を受け入れたのは、既にディランを当てにしていないからである。つまり、ディランの席は一週間後には存在しないという事を、やっと気付いたのだ。
「待ってくれ、そうなると一番機の操縦士はどうするんだ。砲術士だけでは、こいつは飛ばせないだろう…… 医療班に確認して、次の当直には入れるようにするから……」
ライラはディランから視線を逸らしうつ向いてしまう。そのまま話す声は、ディランには寂しそうに聞こえた。
「……貴方は天狗になり過ぎた。それに貴方は気付きもしなかった事がある。優秀な操縦士の育成には時間がかかるけど、学院の卒業生には初の飛行科の学生がいる。彼らは始めから操縦士になるために得選ばれた逸材……」
顔をあげたライラの視線の先には、成人に成り立ての少年が二人……
「馬鹿な……あんな子供が僕よりもこいつを飛ばすのがうまいだって……? ライラ、君の冗談は笑えないな……」
前髪を指ではじいて、ニヤッと笑ったディランであったが、彼自身もその行為にカッコよさを感じてはいなかったのである。
また、左舷展望デッキでの酒精の提供が、六日間の停止と表明されており、さらに一度の食事での酒精の提供上限が、四分の一ガロン(約一.一五リットル)と定められてしまい、勤務時間終了後のエールを楽しみにしていた者達からの白い目で見られることは確実であった。
朝食は堅パン数枚と野菜スティックのサラダ、コップ一杯の水に少量の塩のみという簡素なもので、懲罰房と同等の食事であった。どうやら、朝食までが懲罰の対象だったようである。
その後ディランは、軽い健康診断というか、診察をうけた。ディランの場合、脳震とうによる意識消失は五分以内であり、外傷性健忘は無かった。そのために、脳震とうの重症度は中程度と診られ、原隊復帰まで一週間と診断された。
これは、頭痛や頸部痛などが発生する可能性があるために、経過観察が必要とされたためである。飛行中に頭痛などが発生すれば、程度によっては墜落も免れないため、必要な処置である。
ディランは、レギニータに今後一週間は、当直時間はトレーニングにあてて、頭痛などの症状がでたら医療班を訪れるようにと、言い渡され解放されたのである。
現在時を確認すると、本来であれば一時間後に一班の当直時間となる。つまり、現在時間は本来であれば就寝時間ではあるが、ある意味では強制的な睡眠をとった後なので眠いわけでも無い。ディランは誰も見ていないにも関わらず、肩をすくめて、両手をあげてやれやれとジェスチャーをしめすと、しかたなくトレーニングルームへと艦内通路を移動していった。
トレーニングルームでは、二班の数名が汗を流していたが、ディランの姿を見ると顔をしかめて部屋を出て行ってしまう。当然彼らは左舷デッキでの乱闘騒ぎをしっており、トレーニング後の冷えたエールを味わえない原因を作ったディラン達に対して批判的であった。
もともと好かれているわけではない事を自覚していたディランではあるが、こうも露骨な反応を受けるのは初めてであった。
「くそっ、僕が一体何をしたっていうんだ……」
ディランとしては、自分の操縦技術を披露して、その腕前を艦長であるクロエや、船務長のユイ、衛生科班長のイリスに見せつけただけであった。そして、それは途中までは上手くいっていたのだ(あくまでも、ディランの視点ではであるが……)。
(アイツの所為で、こっちまで悪者扱いかよ。とはいえ、あのデカ物とやりあったのを艦長に止められたのはまずかったな……)
ディランには、クロエとクイーンの区別がついていない。現実的に、クイーンは普段は姿を現さないし、クロエとの違いも瞳の色だけであったので、大多数の乗組員も区別できていないどころか、クイーンの存在を知らないのだから当然である。
とはいえ、本来は彼にとっても気をひくことを狙っている相手である。ディランは百八十センチを超える高身長であり、百五十センチに届いていないクロエとは三十センチ以上の身長差があり、さらにクロエにしてもクイーンにしても、制帽を常時被っている為に、上から見下ろす事になるディランは、その顔をよく知らないのである。
まあこの男にとって、女性は自分を囲む花であり、どの花を摘むか愛でるかはディラン側にあるという程度の認識に過ぎないのだから、仕方がないのかもしれない。
何とはなしに、格納庫への通路を選んで進むディランの耳に、船務長による艦内放送が耳に響いた。
『本艦はこれより艦体洗浄作業に入ります。飛行甲板等のデッキ要員は、直ちに待機所に避難して下さい。一分後、艦外へのドア及び隔壁は一時閉鎖されます』
ちょうど当直の交代時刻も近づいているために、艦内通路を行き交う者も多い。とはいえ、ディランは当直勤務から外されており、飛行科の待機場所に行ってもやる事はない。行く場所もなくさまよう中で、ディランはふと艦橋下部の舷窓へと向かった。艦体洗浄作業というものに、純粋に興味があったのだ。
舷窓から見える飛行甲板上は、何ヶ所もあるスプリンクラーより真水が放水され、嵐による甲板上の潮や海草などの漂着物を洗い流している。現在の場所では甲板上に日が差さないために、放水されている水しかみえないが、日の光の下であれば輝く虹が各処に見られていたであろう。
しばらく見ていたディランの目の前で、艦橋前のデッキサイド型エレベータが下降していった。数分後に、エレベータ周辺の散水が止まり、再びエレベータが上昇してくると、見たことのない機体がエレベータ上に鎮座している。
ドーナツ型の本体に操縦席と客室を備え、六機のプロペラを装備したDM2であり、機体横には艦長のクロエとその護衛二名の姿が見えた。
「……なんだよ、あれは……、まさか艦長の専用機なのか……」
他にもVF-1ヴァルキリーも搭載しているのだが、昨日はディランはベッドに拘束されていたためにその存在を知る事はなかったのは幸いである。ディランは自分自身を、アレキサンドリアで一番の操縦士であると思っており、優秀な乗員には、よりよい機体が与えられて当然だと考えているからだ。
ディランが舷窓越しに見ている事に気づかずに、クロエは航空指揮所を見上げて手を振ると、機体後部の搭乗口からDM2に乗り込んだ。やがて軽やかにローターが回転しだすと、ふわりと機体が上昇を始め、すぐに舷窓からその姿は見えなくなってしまう。
あわてて飛行甲板へのハッチを開いて、甲板上からその姿を追おうとしたディランであったが、ハッチは閉鎖されており外に出る事ができない。クロエが乗機で艦を離れた事を知っているのは、艦橋要員とディランのようにたまたま外を見ていた者だけであろう。
「……艦長特権って奴なのか? くそっ、僕にも専用の機体があれば、もっと活躍できるのに……」
そうつぶやきながらディランは、艦体洗浄終了のアナウンスが聞こえると共に、解放されたハッチをでる。真水にぬれた飛行甲板上を、後部へと歩いていたディランは、そこで後部デッキサイドエレベータ上から飛行甲板上に移動された一番機と、整備員に混じって作業をしているライラを見かけた。
本来、地上・艦上にある機体の管轄は整備班であり、操縦士・砲術士であり、例え自機といえど整備班の許可なく機体に触れる事は許されていない。
操縦士と砲術士が、艦を離れた機の性能を、百パーセントを発揮できるために作業を行うのが整備班である。
竜族が人を乗せて空を飛行した時代もあったというが、既にそれは時の彼方へと過ぎ去り、神話の世界の話となっている中で、人族をその技術力だけで空を飛ばせている彼らのプライドも高く、実際ライラが整備班に混じって調整など、当初はできなかったのである。
しかし、整備士からみれば、自分の思い付きだけで機体の負荷を考えもしない、雑なディランの操縦を、ライラは細心の注意を払い、機体への負荷を抑えている事は整備士たちから見てもよく知られていた。ライラは機体整備のプロとしての整備士たちの意見を受け入れ、その指導を仰いでいるからであった。今では、ライラ一人でも軽整備は十分可能となっているが、整備士たちへの気遣いは忘れないために、ライラと整備士たちの関係は良好といえていた。
ライラは、後部座席に座り各部の調整を済ませたかと思うと、整備員と共に搭載された魔導砲の照準調整を行ったり、機体各部の破損や傷みの予兆が無いかなどを確認している。
整備班の面々も、自分たちが整備を行った後に再チェックをしているライラを見ても、気を悪くした様子さえなく、質問や調整作業を手伝っていた。
ディランはそんなライラを見て肩をすくめると、一番機の方に歩み寄ろうとしたが、それに気づいたライラと整備班の面々に止められてしまった。
「……ディラン、貴方は六日間の飛行禁止命令を受けているはず。乗機できない貴方が、機体に触れる事は許されない……」
「悪いが機体に触れる事ができるのは、整備班と当直の操縦士と砲術士のみだ。今のお前さんは、当直から外れているんだから機体に触らせるわけにはいかん」
「面倒をかけさせてくれるなよ……、それ以上近寄れば、また保安員の世話になるぞ。そうなれば、本気でお前はおしまいだ」
ライラと整備班の面々の言葉に、ディランは立ち止まるしかない。指摘されて初めて気が付いたディランであったが、一週間機体に触れる事さえできないのは、操縦士としては致命傷になりえた。
俗に『勘が狂う、勘が鈍る』という。操縦桿の操作と機体の挙動は、操縦士が風を読み、わずかな操縦桿の操作による機体の挙動の変化を身に沁みつくほどの訓練を行った結果できまる。一週間もの間、操縦から離れれば、そういった感覚は壊滅的な程ディランの操縦の勘を鈍らせるだろう。
当然ワイアットも、ディランの勘が鈍る事は承知している。それでも今回の措置に対して、ワイアットが何も言わずに処置を受け入れたのは、既にディランを当てにしていないからである。つまり、ディランの席は一週間後には存在しないという事を、やっと気付いたのだ。
「待ってくれ、そうなると一番機の操縦士はどうするんだ。砲術士だけでは、こいつは飛ばせないだろう…… 医療班に確認して、次の当直には入れるようにするから……」
ライラはディランから視線を逸らしうつ向いてしまう。そのまま話す声は、ディランには寂しそうに聞こえた。
「……貴方は天狗になり過ぎた。それに貴方は気付きもしなかった事がある。優秀な操縦士の育成には時間がかかるけど、学院の卒業生には初の飛行科の学生がいる。彼らは始めから操縦士になるために得選ばれた逸材……」
顔をあげたライラの視線の先には、成人に成り立ての少年が二人……
「馬鹿な……あんな子供が僕よりもこいつを飛ばすのがうまいだって……? ライラ、君の冗談は笑えないな……」
前髪を指ではじいて、ニヤッと笑ったディランであったが、彼自身もその行為にカッコよさを感じてはいなかったのである。
0
お気に入りに追加
345
あなたにおすすめの小説
【完結】悪役だった令嬢の美味しい日記
蕪 リタ
ファンタジー
前世の妹がやっていた乙女ゲームの世界に転生した主人公、実は悪役令嬢でした・・・・・・。え?そうなの?それなら破滅は避けたい!でも乙女ゲームなんてしたことない!妹には「悪役令嬢可愛い!!」と永遠聞かされただけ・・・・・・困った・・・・・・。
どれがフラグかなんてわかんないし、無視してもいいかなーって頭の片隅に仕舞い込み、あぁポテサラが食べたい・・・・・・と思考はどんどん食べ物へ。恋しい食べ物達を作っては食べ、作ってはあげて・・・・・・。あれ?いつのまにか、ヒロインともお友達になっちゃった。攻略対象達も設定とはなんだか違う?とヒロイン談。
なんだかんだで生きていける気がする?主人公が、豚汁騎士科生たちやダメダメ先生に懐かれたり。腹黒婚約者に赤面させられたと思ったら、自称ヒロインまで登場しちゃってうっかり魔王降臨しちゃったり・・・・・・。もうどうにでもなれ!とステキなお姉様方や本物の乙女ゲームヒロインたちとお菓子や食事楽しみながら、青春を謳歌するレティシアのお食事日記。
※爵位や言葉遣いは、現実や他作者様の作品と異なります。
※誤字脱字あるかもしれません。ごめんなさい。
※戦闘シーンがあるので、R指定は念のためです。
※カクヨムでも投稿してます。
異世界あるある 転生物語 たった一つのスキルで無双する!え?【土魔法】じゃなくって【土】スキル?
よっしぃ
ファンタジー
農民が土魔法を使って何が悪い?異世界あるある?前世の謎知識で無双する!
土砂 剛史(どしゃ つよし)24歳、独身。自宅のパソコンでネットをしていた所、突然轟音がしたと思うと窓が破壊され何かがぶつかってきた。
自宅付近で高所作業車が電線付近を作業中、トラックが高所作業車に突っ込み運悪く剛史の部屋に高所作業車のアームの先端がぶつかり、そのまま窓から剛史に一直線。
『あ、やべ!』
そして・・・・
【あれ?ここは何処だ?】
気が付けば真っ白な世界。
気を失ったのか?だがなんか聞こえた気がしたんだが何だったんだ?
・・・・
・・・
・・
・
【ふう・・・・何とか間に合ったか。たった一つのスキルか・・・・しかもあ奴の元の名からすれば土関連になりそうじゃが。済まぬが異世界あるあるのチートはない。】
こうして剛史は新た生を異世界で受けた。
そして何も思い出す事なく10歳に。
そしてこの世界は10歳でスキルを確認する。
スキルによって一生が決まるからだ。
最低1、最高でも10。平均すると概ね5。
そんな中剛史はたった1しかスキルがなかった。
しかも土木魔法と揶揄される【土魔法】のみ、と思い込んでいたが【土魔法】ですらない【土】スキルと言う謎スキルだった。
そんな中頑張って開拓を手伝っていたらどうやら領主の意に添わなかったようで
ゴウツク領主によって領地を追放されてしまう。
追放先でも土魔法は土木魔法とバカにされる。
だがここで剛史は前世の記憶を徐々に取り戻す。
『土魔法を土木魔法ってバカにすんなよ?異世界あるあるな前世の謎知識で無双する!』
不屈の精神で土魔法を極めていく剛史。
そしてそんな剛史に同じような境遇の人々が集い、やがて大きなうねりとなってこの世界を席巻していく。
その中には同じく一つスキルしか得られず、公爵家や侯爵家を追放された令嬢も。
前世の記憶を活用しつつ、やがて土木魔法と揶揄されていた土魔法を世界一のスキルに押し上げていく。
但し剛史のスキルは【土魔法】ですらない【土】スキル。
転生時にチートはなかったと思われたが、努力の末にチートと言われるほどスキルを活用していく事になる。
これは所持スキルの少なさから世間から見放された人々が集い、ギルド『ワンチャンス』を結成、努力の末に世界一と言われる事となる物語・・・・だよな?
何故か追放された公爵令嬢や他の貴族の令嬢が集まってくるんだが?
俺は農家の4男だぞ?
貴族の家に転生した俺は、やり過ぎチートで異世界を自由に生きる
フリウス
ファンタジー
幼い頃からファンタジー好きな夢幻才斗(むげんさいと)。
自室でのゲーム中に突然死した才斗だが、才斗大好き女神:レアオルによって、自分が管理している異世界に転生する。
だが、事前に二人で相談して身につけたチートは…一言で言えば普通の神が裸足で逃げ出すような「やり過ぎチート」だった!?
伯爵家の三男に転生した才斗=ウェルガは、今日も気ままに非常識で遊び倒し、剣と魔法の異世界を楽しんでいる…。
アホみたいに異世界転生作品を読んでいたら、自分でも作りたくなって勢いで書いちゃいましたww
ご都合主義やらなにやら色々ありますが、主人公最強物が書きたかったので…興味がある方は是非♪
それと、作者の都合上、かなり更新が不安定になります。あしからず。
ちなみにミスって各話が1100~1500字と短めです。なのでなかなか主人公は大人になれません。
現在、最低でも月1~2月(ふたつき)に1話更新中…
異世界で魔法使いとなった俺はネットでお買い物して世界を救う
馬宿
ファンタジー
30歳働き盛り、独身、そろそろ身を固めたいものだが相手もいない
そんな俺が電車の中で疲れすぎて死んじゃった!?
そしてらとある世界の守護者になる為に第2の人生を歩まなくてはいけなくなった!?
農家育ちの素人童貞の俺が世界を守る為に選ばれた!?
10個も願いがかなえられるらしい!
だったら異世界でもネットサーフィンして、お買い物して、農業やって、のんびり暮らしたいものだ
異世界なら何でもありでしょ?
ならのんびり生きたいな
小説家になろう!にも掲載しています
何分、書きなれていないので、ご指摘あれば是非ご意見お願いいたします
転生したらただの女の子、かと思ったら最強の魔物使いだったらしいです〜しゃべるうさぎと始める異世界魔物使いファンタジー〜
上村 俊貴
ファンタジー
【あらすじ】
普通に事務職で働いていた成人男性の如月真也(きさらぎしんや)は、ある朝目覚めたら異世界だった上に女になっていた。一緒に牢屋に閉じ込められていた謎のしゃべるうさぎと協力して脱出した真也改めマヤは、冒険者となって異世界を暮らしていくこととなる。帰る方法もわからないし特別帰りたいわけでもないマヤは、しゃべるうさぎ改めマッシュのさらわれた家族を救出すること当面の目標に、冒険を始めるのだった。
(しばらく本人も周りも気が付きませんが、実は最強の魔物使い(本人の戦闘力自体はほぼゼロ)だったことに気がついて、魔物たちと一緒に色々無双していきます)
【キャラクター】
マヤ
・主人公(元は如月真也という名前の男)
・銀髪翠眼の少女
・魔物使い
マッシュ
・しゃべるうさぎ
・もふもふ
・高位の魔物らしい
オリガ
・ダークエルフ
・黒髪金眼で褐色肌
・魔力と魔法がすごい
【作者から】
毎日投稿を目指してがんばります。
わかりやすく面白くを心がけるのでぼーっと読みたい人にはおすすめかも?
それでは気が向いた時にでもお付き合いください〜。
冒険旅行でハッピーライフ
陣内由安
ファンタジー
いろいろな町を旅行してまわって写真を撮ってはお気に入りの図鑑を自作していた毎日。
「もっと世界を知りたいな」
私の一言は女神に届いてしまった。
『なら私の世界をとって教えてね』
私の世界の話をしていたはずなのに、どうしてこうなった?
私は書斎ごとしらない世界へ放り出されてしまった。あるのはスマホと世界儀。
こうなったらこの異世界をくまなく旅して図鑑作りを完成させてやるんだから!
現実世界の写真をカードにでき、それを実物にできるんだけど初めて出た物は私の予想を大きく下回っていたんだよね。
外の世界に出てから気づいたんだけど、私の姿なんか違うのは気のせい? 泉に写る姿がちがーう!スマホで確認すると、昔見た本のエルフになってる!
現実世界の写真は残っているけど私がいない!
世界の情報を集めて1からはじめるエルフの冒険旅行。世界を知るため旅立ちます。
表紙のイラストをのせてみました。 出典 作画 みんと様
異世界道中ゆめうつつ! 転生したら虚弱令嬢でした。チート能力なしでたのしい健康スローライフ!
マーニー
ファンタジー
※ほのぼの日常系です
病弱で閉鎖的な生活を送る、伯爵令嬢の美少女ニコル(10歳)。対して、亡くなった両親が残した借金地獄から抜け出すため、忙殺状態の限界社会人サラ(22歳)。
ある日、同日同時刻に、体力の限界で息を引き取った2人だったが、なんとサラはニコルの体に転生していたのだった。
「こういうときって、神様のチート能力とかあるんじゃないのぉ?涙」
異世界転生お約束の神様登場も特別スキルもなく、ただただ、不健康でひ弱な美少女に転生してしまったサラ。
「せっかく忙殺の日々から解放されたんだから…楽しむしかない。ぜっっったいにスローライフを満喫する!」
―――異世界と健康への不安が募りつつ
憧れのスローライフ実現のためまずは健康体になることを決意したが、果たしてどうなるのか?
魔法に魔物、お貴族様。
夢と現実の狭間のような日々の中で、
転生者サラが自身の夢を叶えるために
新ニコルとして我が道をつきすすむ!
『目指せ健康体!美味しいご飯と楽しい仲間たちと夢のスローライフを叶えていくお話』
※はじめは健康生活。そのうちお料理したり、旅に出たりもします。日常ほのぼの系です。
※非現実色強めな内容です。
※溺愛親バカと、あたおか要素があるのでご注意です。
鉱石令嬢~没落した悪役令嬢が炭鉱で一山当てるまでのお話~
甘味亭太丸
ファンタジー
石マニアをこじらせて鉱業系の会社に勤めていたアラサー研究員の末野いすずはふと気が付くと、暇つぶしでやっていたアプリ乙女ゲームの悪役令嬢マヘリアになっていた。しかも目覚めたタイミングは婚約解消。最悪なタイミングでの目覚め、もはや御家の没落は回避できない。このままでは破滅まっしぐら。何とか逃げ出したいすずがたどり着いたのは最底辺の墓場と揶揄される炭鉱。
彼女は前世の知識を元に、何より生き抜くために鉱山を掘り進め、鉄を作るのである。
これは生き残る為に山を掘る悪役令嬢の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる