34 / 349
2.いつか醒める夢
3.デモンストレーション
しおりを挟む
その日もいつもと少し違った朝でした。といっても僕がエマと2人で朝食を作っているだけですが。エマとジェシーの料理の腕は、教えた人の再現となっているので、自分がメシマズだと二人の作る料理もメシマズになります。
紅茶などは、僕からは絶対教わらないようにと、アレクシアさんとイリスから言われていると、二人から聞いたときはかなりOrzになりましたが、料理自体はまずまずの腕と自画自賛していますよ。
「クロエちゃん、お願いがあるんだけどな。」
食後の紅茶の席で、アレクシアさんが両手を顎の下で組んで、言いました。
「? なんです。学院が始まっているから、お使いにはいけませんよ?」
かつて同じフレーズで行かされたエルフ領へのお使いを思い出します。
「安心して。今回はイリスちゃんと一緒に、新入生と留学生の前で魔法を使った戦闘のデモンストレーションをして欲しいの。」
「新入生はいいとしても、留学生の前で魔法をみせちゃ不味いんじゃないんですか?」
僕の質問に笑ってアレクシアさんは答えます。
「まあ、ほんとはこちらの手の内を見せるのは良くないんだけどね。クロエちゃんの魔法なら、見ていても何が起きているか解らないんじゃないかなって思うのよね。
それにあの子達は、自分が優秀だと思っているの。だから最初の試技の相手は、程ほどに4大精霊魔法でやっつけて欲しいのよね。
その後、希望者に2人に挑戦してもらうから、あの子達が出てきたら、大怪我をしない程度に心をへし折って欲しいのよ。」
うわぁ~、えげつない気がとてもします。
「それって必要なんですか?」
僕の問いに、にこやかに笑ってアレクシアさんは答えました。
「そうね、教育者としてなら不要と答えるわね。
でも、為政者としてなら必要と答えるわ。何時かは彼らの母国はこの国を攻めてくる。必ずね。であれば、攻めてきたらどうなるかということを最初に知らしめておくことも抑止力になるはずよ。」
ん~、確かにそれは事実でしょうけど、所詮子供の言う事と真面目に取り合わないんじゃないかな。僕がその点を告げると、アレクシアさんは言いました。
「いいのよ、それで。普通は子供のいうことなんて取り合わない。彼らの親でもね。でも、10年後に攻めてくる軍勢の先頭に彼らが居る可能性は非常に高いの。彼らは王族なのだから。
その時、指揮官に絶対の勝利への確信がなければ、彼らに勝ち目はないわ。どんな優秀な軍勢でもね。その為の布石と思って頂戴。」
はぁ、闘う事が前提であれば仕方はありませんね。実際、戦いなんてつまらない理由で始まる場合も多いことは知っています。
まして、中世であれば地球でだって自分の信じる神の為に、なんら罪の無い人々を虐殺してきた歴史もありますからね。彼らが自分達とは異なる神を信じているというだけで……
*****
「そこまで!」
教官の制止の声に、僕は先を丸めた円錐状の氷柱の速射を中止します。先端を丸めてありますので、大怪我をする人は居なかったでしょう。
成人した男女6人パーティーでしたが、質量を持った氷柱は、魔法障壁では防げません。盾に守られた魔法使いから時々放たれた魔法も、イリスのシールドに阻まれ、剣士などの近接職は接近することも出来ずに倒れています。さすがにやり過ぎましたかね。半球状に彼等を包囲するよう放った氷柱に、全身を打たれて倒れている彼等を見て思います。
ユーリアちゃんは、クロエ様凄いとかいってますが、様付けはやめて欲しいなぁ。僕の後ろでは、イリスが暇そうにしています。
「さぁ、攻撃魔法Ⅲを受講することが決まった先輩が、新入生諸君の挑戦を受けてくれるそうだ。
もちろん、多少の怪我はするかもしれないが、金髪のお姉さんがキチンと治してくれるから安心して挑戦して良いぞ」
教官の声に、新入生の中から悲鳴やうめき声があがります。まあ、これを見せられて自分が闘おうとするなら、余程の自信があるかでしょうけど、僕らが10歳以下だからと舐めて来るなら遠慮せずに相手しますよ?
そして、教官に手を挙げた3本の手。はぁ、やっぱりきますか。見知らぬ男子が2名と、リンですね。周囲の新入生や、同級生はそのチャレンジャー精神に感心しています。大概の人は、僕とイリスがたいして力を出してないことは知っていますしね。
教官が彼らと話をした後、こちらにやって来ます。僕とイリスは二人揃って教官の話を伺います。
「さて、確認させて欲しい。彼らのうちの一人は銃を実弾で使用したいそうだ。万が一当たり所が悪ければ、君達を殺す事になるかもしれないといっているが、どうする?」
その質問に僕が答える前に、イリスが答えます。
「あら? こちらを殺しに来るのでしたら、相応の反撃をさせて頂きますが宜しいという事ですわね。こちらは胸を貸す立場なので、無慈悲なマネはいたしませんが、怪我位は覚悟して頂きますわよ?」
……イリスさん、怒ってますね。僕は肩を竦めますが、教官とはアレクシアさん経由で既に話はついています。
「男子はどちらも過去にアレキサンドリアを攻撃してきた国の第2、第3王子だ。帝政エリクシアは今でも併合の時期を狙っているしな。完治できる傷なら構わないとのお達しだ。やっちまいな!」
僕は呆れて口を開きます。
「教官が、片方を贔屓しちゃ不味いんじゃないですか?」
「俺は教官である前に、アレキサンドリアの国民なんだよ。よそ者よりは、お前達を応援するに決まっているだろう。」
にやっと言う表情で笑うと、教官は彼らの居る場所へと戻ります。僕は、イリスをみて確認します。
「イリス、本気でやるんですか?」
僕の声に、イリスは力強く頷きます。
「彼らが将来銃を使って、この国を蹂躙しようとするのが確実ならば、わざわざ時間を差し上げる必要はありませんわ。敵の銃が進化して、完成形を迎える前に、突出させて叩きのめしますわよ。」
はぁ、まあ僕としては殺さずに済むなら、それが一番良いのですけどね。さて、恐らく開始と同時に初弾を撃ってくるでしょうね。彼らも僕が養子である=替えがきくと思っているでしょうから、実弾で狙うのなら僕でしょう。
先手で僕を倒した後、イリスを前衛の盾を構えた仲間が押さえる感じですね。リンは、戦闘支援か防御専門なのかは解りませんが、攻撃して倒すことにしか目が行っていない男子達ですから、攻撃魔法を放ってくるかもしれません。
「双方よいか? では、開始5秒前。4、3、2,1、開始!」
教官の開始の声と同時に、銃声が聞こえました。二重銃身ですか、二発の弾丸が真っ直ぐ飛んでくるようですね。リンが使うのは符術? 詠唱が要らない分、効果が出るのは早いですね。真っ直ぐ突進してくる盾持ちの彼の突進力強化ですか。僕は加速と同時に高速簡易詠唱で魔法を発動します。
「開け転送門、行くよ、1000倍返し」
弾丸の片方を、突進してくるたての直前に転送門を開いて転送します。転送門を通過した銃弾は、加速度を加えられ、もとの1000倍の運動エネルギーを持った状態で電気を纏い、盾に直撃しました。
盾を貫通させることも出来ますが、あえて盾全面に衝撃と電撃を付与。盾を持ったまま、後方に吹き飛ばされ、次の弾の装填を行っていた男子へと激突します。
もう1発の弾丸は、イリスが無詠唱で放った、空気の壁に阻まれ、大きく速度を落として居ます。
加速しながら、左手でレッグホルスターからガンクロL1を引き抜きます。魔力刃を発生させて、弾丸を真っ二つに切り、ホルスターへ収納。斬られた銃弾は左右に分かれ、僕の後方に飛び去りました。
先手は譲りましたからね。今度はこちらのターンです。
「死の大鎌」
僕の次の詠唱で、倒れた彼らの真上には巨大な鎌を持った死神の姿が、見えているはずです。死神が振り下ろす大鎌は、彼らの盾と鎧、そして銃を真っ二つに切り裂きました。彼らの身体には傷一つ付けずに。
リンさんからは、死神の大鎌は見えないでしょうね。2人の男子はどちらも仲良く失神したようですね。電撃で動けない所に、実際に身体を切断する軌道で大鎌が通過したのですから、恐怖をしっかりと刻み込んだはずです。そして、彼らの目には見えていたはずです。死神の背後にも蠢いていた、大量の死神が。
僕が背後を振り返ると、イリスが左腕から血を流していました。僕が切った弾丸が掠めたようですね。
「イリスさん、大丈夫?」
僕の声に、イリスが答えます。
「この位かすり傷よ。直ぐ治るわ。でも、その前に……」
そう言うと、イリスは彼らの元へと歩いていきます。符術は事前にどのくらい準備が出来るかで、打てる手が決まってしまいます。急な参戦であれば、打てる手は少ないでしょう。
リンが、攻撃の気配を見せますが、担当教官に止められます。
「演習はそこまでだ。君達の実力はわかったが、相手の実力を測れないようではまだまだだと思って、今後の講義に励んで欲しい。」
教官の言葉にリンは頷きますが、男子2人は失神しているので聞いていませんね。僕は彼らの頭上に水球を生成して、落下させます。ずぶ濡れで目覚めた彼らの前に、イリスが立っています。
「あなた方の攻撃で、傷を負ってしまいましたわ。良かったですわね、少しは攻撃が通じることが判って。」
そういうと、イリスは右手で傷をなぞります。その腕にはもう何処にも傷なんかありません。
「一つ言っておきますわ。今日は手加減いたしましたが、実戦ではそれはありませんよ。他国が攻めるというなら、アレキサンドリアは何時でも全力でお受けするという事を憶えておいてくださいね。」
折角ですので、僕も一言追加します。
「次にイリスさんに怪我を負わせたら、僕を確実に仕留めないと、死神の大鎌は確実に君達の命を刈り取るよ? お兄さん達に僕を瞬殺できるかな?」
僕がそう言って二人に微笑むと、余程怖かったのでしょうか? 2人の股間辺りが異臭を放ちます。
「ぎゃぁぁ、水球生成、洗浄!」
「馬鹿クロエ、そんなことしたら被害が広がるでしょ、きゃあぁ」
イリスが慌てて逃げ出します。周辺は阿鼻叫喚に包まれて、攻撃魔法のデモンストレーションは、いつもの様にドタバタで終了しました。
紅茶などは、僕からは絶対教わらないようにと、アレクシアさんとイリスから言われていると、二人から聞いたときはかなりOrzになりましたが、料理自体はまずまずの腕と自画自賛していますよ。
「クロエちゃん、お願いがあるんだけどな。」
食後の紅茶の席で、アレクシアさんが両手を顎の下で組んで、言いました。
「? なんです。学院が始まっているから、お使いにはいけませんよ?」
かつて同じフレーズで行かされたエルフ領へのお使いを思い出します。
「安心して。今回はイリスちゃんと一緒に、新入生と留学生の前で魔法を使った戦闘のデモンストレーションをして欲しいの。」
「新入生はいいとしても、留学生の前で魔法をみせちゃ不味いんじゃないんですか?」
僕の質問に笑ってアレクシアさんは答えます。
「まあ、ほんとはこちらの手の内を見せるのは良くないんだけどね。クロエちゃんの魔法なら、見ていても何が起きているか解らないんじゃないかなって思うのよね。
それにあの子達は、自分が優秀だと思っているの。だから最初の試技の相手は、程ほどに4大精霊魔法でやっつけて欲しいのよね。
その後、希望者に2人に挑戦してもらうから、あの子達が出てきたら、大怪我をしない程度に心をへし折って欲しいのよ。」
うわぁ~、えげつない気がとてもします。
「それって必要なんですか?」
僕の問いに、にこやかに笑ってアレクシアさんは答えました。
「そうね、教育者としてなら不要と答えるわね。
でも、為政者としてなら必要と答えるわ。何時かは彼らの母国はこの国を攻めてくる。必ずね。であれば、攻めてきたらどうなるかということを最初に知らしめておくことも抑止力になるはずよ。」
ん~、確かにそれは事実でしょうけど、所詮子供の言う事と真面目に取り合わないんじゃないかな。僕がその点を告げると、アレクシアさんは言いました。
「いいのよ、それで。普通は子供のいうことなんて取り合わない。彼らの親でもね。でも、10年後に攻めてくる軍勢の先頭に彼らが居る可能性は非常に高いの。彼らは王族なのだから。
その時、指揮官に絶対の勝利への確信がなければ、彼らに勝ち目はないわ。どんな優秀な軍勢でもね。その為の布石と思って頂戴。」
はぁ、闘う事が前提であれば仕方はありませんね。実際、戦いなんてつまらない理由で始まる場合も多いことは知っています。
まして、中世であれば地球でだって自分の信じる神の為に、なんら罪の無い人々を虐殺してきた歴史もありますからね。彼らが自分達とは異なる神を信じているというだけで……
*****
「そこまで!」
教官の制止の声に、僕は先を丸めた円錐状の氷柱の速射を中止します。先端を丸めてありますので、大怪我をする人は居なかったでしょう。
成人した男女6人パーティーでしたが、質量を持った氷柱は、魔法障壁では防げません。盾に守られた魔法使いから時々放たれた魔法も、イリスのシールドに阻まれ、剣士などの近接職は接近することも出来ずに倒れています。さすがにやり過ぎましたかね。半球状に彼等を包囲するよう放った氷柱に、全身を打たれて倒れている彼等を見て思います。
ユーリアちゃんは、クロエ様凄いとかいってますが、様付けはやめて欲しいなぁ。僕の後ろでは、イリスが暇そうにしています。
「さぁ、攻撃魔法Ⅲを受講することが決まった先輩が、新入生諸君の挑戦を受けてくれるそうだ。
もちろん、多少の怪我はするかもしれないが、金髪のお姉さんがキチンと治してくれるから安心して挑戦して良いぞ」
教官の声に、新入生の中から悲鳴やうめき声があがります。まあ、これを見せられて自分が闘おうとするなら、余程の自信があるかでしょうけど、僕らが10歳以下だからと舐めて来るなら遠慮せずに相手しますよ?
そして、教官に手を挙げた3本の手。はぁ、やっぱりきますか。見知らぬ男子が2名と、リンですね。周囲の新入生や、同級生はそのチャレンジャー精神に感心しています。大概の人は、僕とイリスがたいして力を出してないことは知っていますしね。
教官が彼らと話をした後、こちらにやって来ます。僕とイリスは二人揃って教官の話を伺います。
「さて、確認させて欲しい。彼らのうちの一人は銃を実弾で使用したいそうだ。万が一当たり所が悪ければ、君達を殺す事になるかもしれないといっているが、どうする?」
その質問に僕が答える前に、イリスが答えます。
「あら? こちらを殺しに来るのでしたら、相応の反撃をさせて頂きますが宜しいという事ですわね。こちらは胸を貸す立場なので、無慈悲なマネはいたしませんが、怪我位は覚悟して頂きますわよ?」
……イリスさん、怒ってますね。僕は肩を竦めますが、教官とはアレクシアさん経由で既に話はついています。
「男子はどちらも過去にアレキサンドリアを攻撃してきた国の第2、第3王子だ。帝政エリクシアは今でも併合の時期を狙っているしな。完治できる傷なら構わないとのお達しだ。やっちまいな!」
僕は呆れて口を開きます。
「教官が、片方を贔屓しちゃ不味いんじゃないですか?」
「俺は教官である前に、アレキサンドリアの国民なんだよ。よそ者よりは、お前達を応援するに決まっているだろう。」
にやっと言う表情で笑うと、教官は彼らの居る場所へと戻ります。僕は、イリスをみて確認します。
「イリス、本気でやるんですか?」
僕の声に、イリスは力強く頷きます。
「彼らが将来銃を使って、この国を蹂躙しようとするのが確実ならば、わざわざ時間を差し上げる必要はありませんわ。敵の銃が進化して、完成形を迎える前に、突出させて叩きのめしますわよ。」
はぁ、まあ僕としては殺さずに済むなら、それが一番良いのですけどね。さて、恐らく開始と同時に初弾を撃ってくるでしょうね。彼らも僕が養子である=替えがきくと思っているでしょうから、実弾で狙うのなら僕でしょう。
先手で僕を倒した後、イリスを前衛の盾を構えた仲間が押さえる感じですね。リンは、戦闘支援か防御専門なのかは解りませんが、攻撃して倒すことにしか目が行っていない男子達ですから、攻撃魔法を放ってくるかもしれません。
「双方よいか? では、開始5秒前。4、3、2,1、開始!」
教官の開始の声と同時に、銃声が聞こえました。二重銃身ですか、二発の弾丸が真っ直ぐ飛んでくるようですね。リンが使うのは符術? 詠唱が要らない分、効果が出るのは早いですね。真っ直ぐ突進してくる盾持ちの彼の突進力強化ですか。僕は加速と同時に高速簡易詠唱で魔法を発動します。
「開け転送門、行くよ、1000倍返し」
弾丸の片方を、突進してくるたての直前に転送門を開いて転送します。転送門を通過した銃弾は、加速度を加えられ、もとの1000倍の運動エネルギーを持った状態で電気を纏い、盾に直撃しました。
盾を貫通させることも出来ますが、あえて盾全面に衝撃と電撃を付与。盾を持ったまま、後方に吹き飛ばされ、次の弾の装填を行っていた男子へと激突します。
もう1発の弾丸は、イリスが無詠唱で放った、空気の壁に阻まれ、大きく速度を落として居ます。
加速しながら、左手でレッグホルスターからガンクロL1を引き抜きます。魔力刃を発生させて、弾丸を真っ二つに切り、ホルスターへ収納。斬られた銃弾は左右に分かれ、僕の後方に飛び去りました。
先手は譲りましたからね。今度はこちらのターンです。
「死の大鎌」
僕の次の詠唱で、倒れた彼らの真上には巨大な鎌を持った死神の姿が、見えているはずです。死神が振り下ろす大鎌は、彼らの盾と鎧、そして銃を真っ二つに切り裂きました。彼らの身体には傷一つ付けずに。
リンさんからは、死神の大鎌は見えないでしょうね。2人の男子はどちらも仲良く失神したようですね。電撃で動けない所に、実際に身体を切断する軌道で大鎌が通過したのですから、恐怖をしっかりと刻み込んだはずです。そして、彼らの目には見えていたはずです。死神の背後にも蠢いていた、大量の死神が。
僕が背後を振り返ると、イリスが左腕から血を流していました。僕が切った弾丸が掠めたようですね。
「イリスさん、大丈夫?」
僕の声に、イリスが答えます。
「この位かすり傷よ。直ぐ治るわ。でも、その前に……」
そう言うと、イリスは彼らの元へと歩いていきます。符術は事前にどのくらい準備が出来るかで、打てる手が決まってしまいます。急な参戦であれば、打てる手は少ないでしょう。
リンが、攻撃の気配を見せますが、担当教官に止められます。
「演習はそこまでだ。君達の実力はわかったが、相手の実力を測れないようではまだまだだと思って、今後の講義に励んで欲しい。」
教官の言葉にリンは頷きますが、男子2人は失神しているので聞いていませんね。僕は彼らの頭上に水球を生成して、落下させます。ずぶ濡れで目覚めた彼らの前に、イリスが立っています。
「あなた方の攻撃で、傷を負ってしまいましたわ。良かったですわね、少しは攻撃が通じることが判って。」
そういうと、イリスは右手で傷をなぞります。その腕にはもう何処にも傷なんかありません。
「一つ言っておきますわ。今日は手加減いたしましたが、実戦ではそれはありませんよ。他国が攻めるというなら、アレキサンドリアは何時でも全力でお受けするという事を憶えておいてくださいね。」
折角ですので、僕も一言追加します。
「次にイリスさんに怪我を負わせたら、僕を確実に仕留めないと、死神の大鎌は確実に君達の命を刈り取るよ? お兄さん達に僕を瞬殺できるかな?」
僕がそう言って二人に微笑むと、余程怖かったのでしょうか? 2人の股間辺りが異臭を放ちます。
「ぎゃぁぁ、水球生成、洗浄!」
「馬鹿クロエ、そんなことしたら被害が広がるでしょ、きゃあぁ」
イリスが慌てて逃げ出します。周辺は阿鼻叫喚に包まれて、攻撃魔法のデモンストレーションは、いつもの様にドタバタで終了しました。
0
お気に入りに追加
345
あなたにおすすめの小説
転生したら貴族の息子の友人A(庶民)になりました。
襲
ファンタジー
〈あらすじ〉
信号無視で突っ込んできたトラックに轢かれそうになった子どもを助けて代わりに轢かれた俺。
目が覚めると、そこは異世界!?
あぁ、よくあるやつか。
食堂兼居酒屋を営む両親の元に転生した俺は、庶民なのに、領主の息子、つまりは貴族の坊ちゃんと関わることに……
面倒ごとは御免なんだが。
魔力量“だけ”チートな主人公が、店を手伝いながら、学校で学びながら、冒険もしながら、領主の息子をからかいつつ(オイ)、のんびり(できたらいいな)ライフを満喫するお話。
誤字脱字の訂正、感想、などなど、お待ちしております。
やんわり決まってるけど、大体行き当たりばったりです。
おおぅ、神よ……ここからってマジですか?
夢限
ファンタジー
俺こと高良雄星は39歳の一見すると普通の日本人だったが、実際は違った。
人見知りやトラウマなどが原因で、友人も恋人もいない、孤独だった。
そんな俺は、突如病に倒れ死亡。
次に気が付いたときそこには神様がいた。
どうやら、異世界転生ができるらしい。
よーし、今度こそまっとうに生きてやるぞー。
……なんて、思っていた時が、ありました。
なんで、奴隷スタートなんだよ。
最底辺過ぎる。
そんな俺の新たな人生が始まったわけだが、問題があった。
それは、新たな俺には名前がない。
そこで、知っている人に聞きに行ったり、復讐したり。
それから、旅に出て生涯の友と出会い、恩を返したりと。
まぁ、いろいろやってみようと思う。
これは、そんな俺の新たな人生の物語だ。
異世界に転生をしてバリアとアイテム生成スキルで幸せに生活をしたい。
みみっく
ファンタジー
女神様の手違いで通勤途中に気を失い、気が付くと見知らぬ場所だった。目の前には知らない少女が居て、彼女が言うには・・・手違いで俺は死んでしまったらしい。手違いなので新たな世界に転生をさせてくれると言うがモンスターが居る世界だと言うので、バリアとアイテム生成スキルと無限収納を付けてもらえる事になった。幸せに暮らすために行動をしてみる・・・
夢幻の錬金術師 ~【異空間収納】【錬金術】【鑑定】【スキル剥奪&付与】を兼ね備えたチートスキル【錬金工房】で最強の錬金術師として成り上がる~
青山 有
ファンタジー
女神の助手として異世界に召喚された厨二病少年・神薙拓光。
彼が手にしたユニークスキルは【錬金工房】。
ただでさえ、魔法があり魔物がはびこる危険な世界。そこを生産職の助手と巡るのかと、女神も頭を抱えたのだが……。
彼の持つ【錬金工房】は、レアスキルである【異空間収納】【錬金術】【鑑定】の上位互換機能を合わせ持ってるだけでなく、スキルの【剥奪】【付与】まで行えるという、女神の想像を遥かに超えたチートスキルだった。
これは一人の少年が異世界で伝説の錬金術師として成り上がっていく物語。
※カクヨムにも投稿しています
エーリュシオンでお取りよせ?
ミスター愛妻
ファンタジー
ある男が寿命を迎え死んだ。
と、輪廻のまえに信心していた聖天様に呼び出された。
話とは、解脱できないので六道輪廻に入ることになるが、『名をはばかる方』の御指図で、異世界に転移できるというのだ。
TSと引き換えに不老不死、絶対不可侵の加護の上に、『お取り寄せ能力』という変な能力までいただいた主人公。
納得して転移した異世界は……
のんびりと憧れの『心静かな日々』を送るはずが……
気が付けば異世界で通販生活、まんざらでもない日々だが……『心静かな日々』はどうなるのか……こんなことでは聖天様に怒られそう……
本作は作者が別の表題で公開していた物を、追加修正させていただいたものです。その為に作品名もそぐわなくなり、今回『エーリュシオンでお取りよせ?』といたしました。
作者の前作である『惑星エラムシリーズ』を踏まえておりますので、かなり似たようなところがあります。
前作はストーリーを重視しておりますが、これについては単なる異世界漫遊記、主人公はのほほんと日々を送る予定? です。
なにも考えず、筆に任せて書いております上に、作者は文章力も皆無です、句読点さえ定かではありません、作者、とてもメンタルが弱いのでそのあたりのご批判はご勘弁くださいね。
本作は随所に意味の無い蘊蓄や説明があります。かなりのヒンシュクを受けましたが、そのあたりの部分は読み飛ばしていただければ幸いです。
表紙はゲルダ・ヴィークナー 手で刺繍したフリル付のカーバディーンドレス
パブリックドメインの物です。
イラついた俺は強奪スキルで神からスキルを奪うことにしました。神の力で最強に・・・(旧:学園最強に・・・)
こたろう文庫
ファンタジー
カクヨムにて日間・週間共に総合ランキング1位!
死神が間違えたせいで俺は死んだらしい。俺にそう説明する神は何かと俺をイラつかせる。異世界に転生させるからスキルを選ぶように言われたので、神にイラついていた俺は1回しか使えない強奪スキルを神相手に使ってやった。
閑散とした村に子供として転生した為、強奪したスキルのチート度合いがわからず、学校に入学後も無自覚のまま周りを振り回す僕の話
2作目になります。
まだ読まれてない方はこちらもよろしくおねがいします。
「クラス転移から逃げ出したイジメられっ子、女神に頼まれ渋々異世界転移するが職業[逃亡者]が無能だと処刑される」
スキル『箱庭』を手にした男ののんびり救世冒険譚〜ハズレスキル? とんでもないアタリスキルでした〜
夜夢
ファンタジー
この世界はスキルが全て。
成人の儀式で神様から誰もが一つスキルを授かる事ができる。
スキルを授ける神は様々おり、争いの絶えないこの世界では戦闘系スキルこそ至上と考えられていた。
そしてそれ以外の補助系スキルや生活スキルなど、後発的に習得可能とされるスキルを得た者は世界から冷遇される。
これはそんなスキル至上世界で効果不明なスキル『箱庭』を得た主人公【レイ・イストリア】が家から追放されるもそのスキルを駆使し、世界を平和に導く英雄伝説である。
平民として生まれた男、努力でスキルと魔法が使える様になる。〜イージーな世界に生まれ変わった。
モンド
ファンタジー
1人の男が異世界に転生した。
日本に住んでいた頃の記憶を持ったまま、男は前世でサラリーマンとして長年働いてきた経験から。
今度生まれ変われるなら、自由に旅をしながら生きてみたいと思い描いていたのだ。
そんな彼が、15歳の成人の儀式の際に過去の記憶を思い出して旅立つことにした。
特に使命や野心のない男は、好きなように生きることにした。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる