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「メールですか?」
「いや、画像フォルダを見てた」
「ビキニの?」
冗談めかして言ってみる。けれど、予想外に私の言葉は当たっていたらしい。
「……まぁな」
頬を染めて、奈良先生はじっと携帯電話の画面を見据えた。
その画面には、どんなエロテックな画像が映っているのだろうか。きっと私が想像できないような、色っぽい画像で溢れているに違いない。
私のなかで好奇心がうずく。
「見たい」
「見るか?」
「えっ、いいの?」
私はぱっと微笑んで、奈良先生の隣に座った。覗き込むようにして携帯電話の画面を見れば、そこには際どいビキニ姿の男性――ではなく、机のうえに広げて置かれたビキニを撮影したと思しき画像が表示されていた。
なんだ、穿いてるわけじゃないのか。ビキニ本体も好きだが、着用後の画像だとばかり思っていた私はしゅんとしてしまう。
露骨にがっかりした私を見て、奈良先生が喉の奥で軽く笑った。
「……私、先生のビキニ姿が見たいです。画像ないんですか?」
「自分の写真なんか撮ってねぇよ」
「じゃあ穿いてるとこ直接見たいです」
奈良先生は明らかに戸惑った顔をした。困らせたいわけじゃない。でも、正直かなり見たかった。もともと私はビキニが好きで、ビキニを着用した姿を生でみられる機会なんて早々ない。
戸惑っているということは、奈良先生もきっと「見せたい」欲求があるのだ。そこに、私は悪魔の囁きを乗せた。
「ねぇ、ちょっとだけ」
何もセックスをするわけじゃない。ビキニ姿を見るくらい、義理の兄妹でも許されるだろう……たぶん。
奈良先生は苦笑を浮かべ、軽く手を振った。
「だが、お前はまだ高校生だろ? 見せたら、俺は犯罪者もいいとこだろうが」
「大丈夫、誰にも言いませんから」
「言っとくが、ヘアーとか手入れしてないぞ。ボーボーだぞ」
「そんなところも素敵だと思います!」
これで駄目だったら素直に諦めよう。
そう思ったけれど、奈良先生は少し考えた末に、にやりと笑って私を振り返った。
「お前が見たいっつったんだから、後悔するなよ」
おお。
これはまさか、見せてくれるフラグですか?
奈良先生は携帯電話をポケットに突っ込むと、立ち上がった。
「ついてこい」
「はい!」
意気揚々とあとについていくと、一度も入ったことのない一番奥の部屋――奈良先生の自室の前で立ち止った。
「着るから、ここで待ってろ」
一人で部屋に入って行く奈良先生を見送り、私はドキマギと高鳴る心音を感じていた。好奇心を止められない。まるで恋をしているようだ、とさえ思う。
しばらくして、内側からドアをノックする音がした。
「穿いたが……本当に見たいか?」
「見たいです!」
「……絶対に後悔するなよ」
そう念を押されて、ドアが開いた。
十畳程度の、整頓されたシンプルな部屋だった。この部屋の持ち主は、白いビキニパンツ一枚の状態で、部屋に立っていた――恥ずかしそうに頭を掻きながら。
相変わらず腹筋は割れており、肉体美が美しい。そんな奈良先生の股間をぎりぎり隠しているのが、白いメンズビキニだった。私の手のひらほどしかない布に、性器を曲げて強引に隠しているのがもっこり感でわかる。
しかも、もっさりとした股間の毛が、ビキニのあちこちからはみ出していた。隠しているのは本当に局部だけということになる。
私のテンションはMAⅩだった。
鼻息荒く、ぐっと拳を握りしめる。
「最高です! なんてカッコいいんですかっ、めちゃくちゃ似合ってるじゃないですか!」
「そ、そうか」
まんざらでもない様子で、奈良先生は呟いた。
もしここにお姉ちゃんが帰ってきたら、悲鳴をあげて「なにやってんのあんたたち!」とゴキブリを見るような目を向けられるかもしれない。
だが、問題ない。
なぜならここにいるのは、ビキニが好きな私と奈良先生の二人だからだ。
「写メっていいですか?」
「ばか、恥ずかしいだろうが」
「あっ、じゃあ後ろも見せてください。紐の食い込み具合ってどうなってるんですか?」
奈良先生が後ろを向く。腰に回っている紐がむっちりと肌に食い込み、光沢感のある生地が引き締まったお尻の一部を包んでいる姿を見て、思わず涎が出てしまう。
うっすらと気づき始めていたが、もしかしたら私は変態なのかもしれない。
「今度は前をっ、もう一度前部分をっ」
上ずった声で懇願する。
けれど、奈良先生は振り返ってはくれなかった。
「先生?」
「もういいだろ、ほら、出ていけ」
「あれ、先生もしかして勃起してます?」
自分の股間を抑えたまま振り返らない奈良先生に、私は首を傾げてそう告げる。あまり考えなく発した言葉だったが、奈良先生は気まずそうに口をひらいた。
「しゃーねぇだろ、普通に興奮するって言っただろうが」
肯定されてしまった。つまり、普通に勃起しているということだ。
私は我に返る。
ビキニしかなかった思考が、冷静さで埋めつくされつつあった。うら若き乙女が、二十八歳の男と一つの部屋を一体何をしている?
頬がカッと熱くなり、急にそわそわと居心地が悪くなる。
「あ、あの。すみません」
「謝るな、俺がふられたみたいだろうが」
「出て行きます!」
私は慌てて部屋を出た。
頬が熱い。けれど――ぶっちゃけ、いいものを見れたという達成感のほうが勝っていた。私は間違いなく女として興奮していた。じんわりと秘部が潤んできているのを感じる。
やはり、私はどこまでもビキニが好きなのだ。
どこか夢見心地でふらふらとリビングに戻った。涼しいエアコンの風を受けながら、さっきみた光景を思い出してにやりとしてしまう。
「……先生カッコよかったなぁ」
そこでふと思った。
果たして私が興奮したのは、ビキニなのかそれとも奈良先生なのか。ビキニが好きだ。でも奈良先生も好きだ。恋かどうかは不明だが、間違いなく「好きな人」の部類に入る。
私が奈良先生のビキニ姿に興奮するのは、好きな物同士であるがゆえであり、いわゆる相乗効果というやつか。
きっと、ハゲてまるまると太った年かさの男性が同じビキニを穿いても、私はここまで興奮しなかっただろう。
顔を合わせるのが気まずかったのか、奈良先生がリビングに戻ってきたのは三十分くらい経ってからだった。
しっとりと汗ばんだ髪を掻き上げながら、奈良先生はソファに座る。
「はぁ、なかなかよかった」
よかったとはなんぞや、と首を傾げた私に向かって、奈良先生は照れながら信じられないことを告げた。
「気持ちよく抜けた」
「ぬ、抜けた……」
「ん」
ご満悦な様子である。
「たまにはこういうのもいいな」
「えっ、じゃあ、またビキニ姿見せてくれるんですか?」
「ああ。お前がよかったら」
ビキニを見る私は興奮する。見られている奈良先生も興奮する。お互いにとって都合のよいことで、そして――甘美で刺激的な二人だけの秘密になる。
ぱっと微笑んだ私を、奈良先生は手招いた。
誘われるまま近づけば、なぜか頭をいいこいいこと撫でられた。
*
「いや、画像フォルダを見てた」
「ビキニの?」
冗談めかして言ってみる。けれど、予想外に私の言葉は当たっていたらしい。
「……まぁな」
頬を染めて、奈良先生はじっと携帯電話の画面を見据えた。
その画面には、どんなエロテックな画像が映っているのだろうか。きっと私が想像できないような、色っぽい画像で溢れているに違いない。
私のなかで好奇心がうずく。
「見たい」
「見るか?」
「えっ、いいの?」
私はぱっと微笑んで、奈良先生の隣に座った。覗き込むようにして携帯電話の画面を見れば、そこには際どいビキニ姿の男性――ではなく、机のうえに広げて置かれたビキニを撮影したと思しき画像が表示されていた。
なんだ、穿いてるわけじゃないのか。ビキニ本体も好きだが、着用後の画像だとばかり思っていた私はしゅんとしてしまう。
露骨にがっかりした私を見て、奈良先生が喉の奥で軽く笑った。
「……私、先生のビキニ姿が見たいです。画像ないんですか?」
「自分の写真なんか撮ってねぇよ」
「じゃあ穿いてるとこ直接見たいです」
奈良先生は明らかに戸惑った顔をした。困らせたいわけじゃない。でも、正直かなり見たかった。もともと私はビキニが好きで、ビキニを着用した姿を生でみられる機会なんて早々ない。
戸惑っているということは、奈良先生もきっと「見せたい」欲求があるのだ。そこに、私は悪魔の囁きを乗せた。
「ねぇ、ちょっとだけ」
何もセックスをするわけじゃない。ビキニ姿を見るくらい、義理の兄妹でも許されるだろう……たぶん。
奈良先生は苦笑を浮かべ、軽く手を振った。
「だが、お前はまだ高校生だろ? 見せたら、俺は犯罪者もいいとこだろうが」
「大丈夫、誰にも言いませんから」
「言っとくが、ヘアーとか手入れしてないぞ。ボーボーだぞ」
「そんなところも素敵だと思います!」
これで駄目だったら素直に諦めよう。
そう思ったけれど、奈良先生は少し考えた末に、にやりと笑って私を振り返った。
「お前が見たいっつったんだから、後悔するなよ」
おお。
これはまさか、見せてくれるフラグですか?
奈良先生は携帯電話をポケットに突っ込むと、立ち上がった。
「ついてこい」
「はい!」
意気揚々とあとについていくと、一度も入ったことのない一番奥の部屋――奈良先生の自室の前で立ち止った。
「着るから、ここで待ってろ」
一人で部屋に入って行く奈良先生を見送り、私はドキマギと高鳴る心音を感じていた。好奇心を止められない。まるで恋をしているようだ、とさえ思う。
しばらくして、内側からドアをノックする音がした。
「穿いたが……本当に見たいか?」
「見たいです!」
「……絶対に後悔するなよ」
そう念を押されて、ドアが開いた。
十畳程度の、整頓されたシンプルな部屋だった。この部屋の持ち主は、白いビキニパンツ一枚の状態で、部屋に立っていた――恥ずかしそうに頭を掻きながら。
相変わらず腹筋は割れており、肉体美が美しい。そんな奈良先生の股間をぎりぎり隠しているのが、白いメンズビキニだった。私の手のひらほどしかない布に、性器を曲げて強引に隠しているのがもっこり感でわかる。
しかも、もっさりとした股間の毛が、ビキニのあちこちからはみ出していた。隠しているのは本当に局部だけということになる。
私のテンションはMAⅩだった。
鼻息荒く、ぐっと拳を握りしめる。
「最高です! なんてカッコいいんですかっ、めちゃくちゃ似合ってるじゃないですか!」
「そ、そうか」
まんざらでもない様子で、奈良先生は呟いた。
もしここにお姉ちゃんが帰ってきたら、悲鳴をあげて「なにやってんのあんたたち!」とゴキブリを見るような目を向けられるかもしれない。
だが、問題ない。
なぜならここにいるのは、ビキニが好きな私と奈良先生の二人だからだ。
「写メっていいですか?」
「ばか、恥ずかしいだろうが」
「あっ、じゃあ後ろも見せてください。紐の食い込み具合ってどうなってるんですか?」
奈良先生が後ろを向く。腰に回っている紐がむっちりと肌に食い込み、光沢感のある生地が引き締まったお尻の一部を包んでいる姿を見て、思わず涎が出てしまう。
うっすらと気づき始めていたが、もしかしたら私は変態なのかもしれない。
「今度は前をっ、もう一度前部分をっ」
上ずった声で懇願する。
けれど、奈良先生は振り返ってはくれなかった。
「先生?」
「もういいだろ、ほら、出ていけ」
「あれ、先生もしかして勃起してます?」
自分の股間を抑えたまま振り返らない奈良先生に、私は首を傾げてそう告げる。あまり考えなく発した言葉だったが、奈良先生は気まずそうに口をひらいた。
「しゃーねぇだろ、普通に興奮するって言っただろうが」
肯定されてしまった。つまり、普通に勃起しているということだ。
私は我に返る。
ビキニしかなかった思考が、冷静さで埋めつくされつつあった。うら若き乙女が、二十八歳の男と一つの部屋を一体何をしている?
頬がカッと熱くなり、急にそわそわと居心地が悪くなる。
「あ、あの。すみません」
「謝るな、俺がふられたみたいだろうが」
「出て行きます!」
私は慌てて部屋を出た。
頬が熱い。けれど――ぶっちゃけ、いいものを見れたという達成感のほうが勝っていた。私は間違いなく女として興奮していた。じんわりと秘部が潤んできているのを感じる。
やはり、私はどこまでもビキニが好きなのだ。
どこか夢見心地でふらふらとリビングに戻った。涼しいエアコンの風を受けながら、さっきみた光景を思い出してにやりとしてしまう。
「……先生カッコよかったなぁ」
そこでふと思った。
果たして私が興奮したのは、ビキニなのかそれとも奈良先生なのか。ビキニが好きだ。でも奈良先生も好きだ。恋かどうかは不明だが、間違いなく「好きな人」の部類に入る。
私が奈良先生のビキニ姿に興奮するのは、好きな物同士であるがゆえであり、いわゆる相乗効果というやつか。
きっと、ハゲてまるまると太った年かさの男性が同じビキニを穿いても、私はここまで興奮しなかっただろう。
顔を合わせるのが気まずかったのか、奈良先生がリビングに戻ってきたのは三十分くらい経ってからだった。
しっとりと汗ばんだ髪を掻き上げながら、奈良先生はソファに座る。
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よかったとはなんぞや、と首を傾げた私に向かって、奈良先生は照れながら信じられないことを告げた。
「気持ちよく抜けた」
「ぬ、抜けた……」
「ん」
ご満悦な様子である。
「たまにはこういうのもいいな」
「えっ、じゃあ、またビキニ姿見せてくれるんですか?」
「ああ。お前がよかったら」
ビキニを見る私は興奮する。見られている奈良先生も興奮する。お互いにとって都合のよいことで、そして――甘美で刺激的な二人だけの秘密になる。
ぱっと微笑んだ私を、奈良先生は手招いた。
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