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第三章 2、須藤先生は、我儘だ
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「なんだ、メールを送っていたのか」
「……はい」
「ならば、そう言え。てっきり、ナンパされてついて行ったのかと思っただろう」
「私をナンパする人なんていませんよ」
「世の中には、きみのようなゲテモノを好む者がいるかもしれない。変わり者には変わり者が寄ってくるからな、ほいほいついていくと攫われるぞ」
それはどういう意味だ、と問いただしたいのを、ぐっとこらえた。
「……よく考えれば、きみには恋人がいるんだったな」
「へい?」
緊張感からのギャップが原因だろう。予想外過ぎたせいで、出すつもりのなかった声音と言葉が飛び出た。
とっさに先生を見ると、サンドイッチをもごもごと食べている。ゆっくりと嚥下して、お茶で流し込む姿を眺めた。
「私、恋人出来たんですか?」
「隠すな。昨日の友人からのプレゼント、あれを見て気づかないわけがない」
「あれ、って。ああ」
ごそごそと財布を取り出して、みこちゃんがくれた避妊具を取り出した。
「これですね」
「いちいち見せなくていい」
「えへへ、みこちゃんから貰ったんですもん。嬉しくて、見せびらかしたいんです」
先生は、ふと、困ったように笑った。
そのまま黙り込んだので、軽く首をかしげる。
「あの、なんで私に恋人ができたって思うんですか?」
「きみの話から察するに、きみとみこちゃんとやらは仲がよさそうだ。鋭いきみがそれだけ言うのだから、よほど真っ当な子なのだろう。つまり、嫌がらせでコンドームをプレゼントした、という線は外れる」
「……はい」
「ならば、そう言え。てっきり、ナンパされてついて行ったのかと思っただろう」
「私をナンパする人なんていませんよ」
「世の中には、きみのようなゲテモノを好む者がいるかもしれない。変わり者には変わり者が寄ってくるからな、ほいほいついていくと攫われるぞ」
それはどういう意味だ、と問いただしたいのを、ぐっとこらえた。
「……よく考えれば、きみには恋人がいるんだったな」
「へい?」
緊張感からのギャップが原因だろう。予想外過ぎたせいで、出すつもりのなかった声音と言葉が飛び出た。
とっさに先生を見ると、サンドイッチをもごもごと食べている。ゆっくりと嚥下して、お茶で流し込む姿を眺めた。
「私、恋人出来たんですか?」
「隠すな。昨日の友人からのプレゼント、あれを見て気づかないわけがない」
「あれ、って。ああ」
ごそごそと財布を取り出して、みこちゃんがくれた避妊具を取り出した。
「これですね」
「いちいち見せなくていい」
「えへへ、みこちゃんから貰ったんですもん。嬉しくて、見せびらかしたいんです」
先生は、ふと、困ったように笑った。
そのまま黙り込んだので、軽く首をかしげる。
「あの、なんで私に恋人ができたって思うんですか?」
「きみの話から察するに、きみとみこちゃんとやらは仲がよさそうだ。鋭いきみがそれだけ言うのだから、よほど真っ当な子なのだろう。つまり、嫌がらせでコンドームをプレゼントした、という線は外れる」
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