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第三章 1、最後の期間

6、

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 それから、気持ちを切り替えるように、みこちゃんがくれた袋を手に取った。
 こんなふうに、友達からプレゼントをもらうなんて初めてのことだった。嬉しくて、心がふわふわする。頭のどこかでは、お父さんのことが気になっていたけれど、それを押し隠して、楽しい気持ちだけを胸にとどめるよう心掛けた。
 袋を開くと中には、化粧品のサンプルのようなものが入っていた。見たこともない四角いそれは、空けやすいように切り込みをいれたビニールに入っている。
「これ、なんですか? みこちゃんが、使ってねってくれたんですけど」
 先生に手渡すように、差し出すけれど。
 先生はそれを見つめたまま、これ以上ないほどに眉をひそめていた。
「先生?」
「やはり、旅支度は自分でする」
 先生は、すっくと立ちあがると、逃げるように部屋から出て行ってしまった。なんなのだろう、先生を退散させるお守りだろうか。
 袋には、英語だかローマ字だかで、何かが書いてある。目を凝らして小さなそれを読むと、極薄と書いてあった。
「あれ、これって。えっと……コン、ド……わぁ」
 いわゆる、避妊具だ。
 初めて見るため、わからないのは当然だ。名前だけは知っていてよかった。
 なるほど、みこちゃんが「使ってね」と言ったのは、これのことだったのか。可愛いと言ってくれたし、私に彼氏ができたと思ったのかもしれない。
「ありがとう、みこちゃん」
 みこちゃんの優しさに心をほっこりしながら、コンドームを財布のなかにしまった。友人からの初めてのプレゼントなのだ、大切に持っていよう。
 ***
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