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第三章 1、最後の期間

3、

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 それにしても、年始までとなると、たっぷり三週間はある。
 三週間もの間、私は何をして過ごせばいいのだろう。以前は何をしていただろうか。携帯電話で好みのハンドメイドアクセサリーを検索したり、お父さんが添付してくれた本を読んだり。
 そんなことをしていたように思うが、今の私には、どれも魅力が乏しく思えた。
「物分かりが早くて、助かる」
 先生は、軽いため息をついて、腕を組んだ。どこか安堵した声音だった。
「明日は、午前中には出発する。荷物をまとめておけ」
「わかりました」
「着替えくらいでいいだろう。足りなくなったら、向こうで買えばいい」
「はい。……え?」
「近くでビジネスホテルを取るから、そこで寝泊まりするといい。さすがに、私の実家では気を遣うだろう」
「ま、待ってください。えっと、私は、つまり、何をしたらいいんですか?」
 先生は組んでいた長い足をほどいて、レジン用のライトをぱちりと消した。コードを外して、諸々の片づけを始める。
「三日分ほどの着替えを、旅行鞄に用意しろ。明日の朝出発するから、間に合うようにな」
 それはつまり、私も先生の実家へ一緒に行く、ということだろうか。話し的には、私は実家へは行かずに、近くのホテルで寝泊まりするらしいけれど。
「私が一緒に行っても、いいんですか」
「来てもらわないと困る。パソコンは持っていくから事務作業を頼みたい。それに、最近は何かと物騒だからな。一人暮らしのきみを置いてなどいけないだろう」
 先生の思いやりに、微かに微笑む。
 確かに、ここ最近、深夜の不審者の目撃情報が増えている。メディアでも不穏なニュースが多く、未成年の犯罪や遺体遺棄事件などが、頻繁に報じられていた。
「それに、きみは今年度いっぱいを待たずに、ここを出て行くといった。以前は、三末までいると言ったのに」
 憮然とした声音に、私は苦笑する。すねているのだろうか。残念に思ってくれているのならば嬉しいが、私の代理を探さなければならないなどの面倒ごとが舞い込んだと迷惑がっているのならば、なんというか、寂しい。
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