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第二章 6、渡月は試される
6、
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「作っていないと落ちつかなかった。きみをイメージして作ったのだから、他に使うこともできない。せっかくだから、やろうと思っただけだ」
「先生って、可愛い人だったんですね」
「は?」
心底気分を害したといったような、半眼で見据えられる。
「可愛いなどと、男に言うものではない。大体、可愛いというのなら――」
じぃ、と見つめられて、首を傾げた。
「私のほうが可愛い、ですか?」
「言っていない!」
顔をそらすが、先生の頬は先ほどよりも赤い。
なんだか、胸の奥がむずむずする。もっと近くで先生に触れたい衝動に駆られて、手を伸ばす。けれど、伸ばした手を握り締めて、引き戻した。
嬉しい気持ちを沢山知ると、離れがたくなってしまう。
「もし」
明後日の方向を向いたまま、先生が口をひらいた。
「なかの花が劣化したら、新しいものを作ろう。何度でも作り直す。同じものは作れないだろうが、劣化したからといって、壊れたからといって、終わりではない。次は、もっと気に入らせてみせる」
ふ、と先生が微笑を浮かべて、振り向いた。
「花は永遠ではないが、また、新しい花が咲く。そういった意味では、終わりなどない」
新しい花。世代は続いて、時間は流れていく。
ふっ、と想像する。
竹中さんが暮らしていたであろう家や家族を。竹中さんの言葉を私が貰ったように、彼女はたくさんの人と関わって、人生を歩んできた。懸命に生きて、世代を繋いできた人。
ネックレスにそっと触れた。
こんなに可愛いネックレスは、きっと、私には不釣り合いだ。でも、先生の目に私がこんなに可愛く映っているのなら、とても嬉しい。
私を、こんなふうに見てくれる。
「先生、ありがとうございます。大切にします」
頭をさげると、私の頭に、ごつごつと男らしい手が、ポンポンと置かれた。
このまま、先生と過ごしたい。これからも、ずっと。ずっと。
「先生って、可愛い人だったんですね」
「は?」
心底気分を害したといったような、半眼で見据えられる。
「可愛いなどと、男に言うものではない。大体、可愛いというのなら――」
じぃ、と見つめられて、首を傾げた。
「私のほうが可愛い、ですか?」
「言っていない!」
顔をそらすが、先生の頬は先ほどよりも赤い。
なんだか、胸の奥がむずむずする。もっと近くで先生に触れたい衝動に駆られて、手を伸ばす。けれど、伸ばした手を握り締めて、引き戻した。
嬉しい気持ちを沢山知ると、離れがたくなってしまう。
「もし」
明後日の方向を向いたまま、先生が口をひらいた。
「なかの花が劣化したら、新しいものを作ろう。何度でも作り直す。同じものは作れないだろうが、劣化したからといって、壊れたからといって、終わりではない。次は、もっと気に入らせてみせる」
ふ、と先生が微笑を浮かべて、振り向いた。
「花は永遠ではないが、また、新しい花が咲く。そういった意味では、終わりなどない」
新しい花。世代は続いて、時間は流れていく。
ふっ、と想像する。
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ネックレスにそっと触れた。
こんなに可愛いネックレスは、きっと、私には不釣り合いだ。でも、先生の目に私がこんなに可愛く映っているのなら、とても嬉しい。
私を、こんなふうに見てくれる。
「先生、ありがとうございます。大切にします」
頭をさげると、私の頭に、ごつごつと男らしい手が、ポンポンと置かれた。
このまま、先生と過ごしたい。これからも、ずっと。ずっと。
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