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第二章 2、渡月は、須藤先生と一緒に暮らす
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背筋を伸ばし、目をぱちぱちさせて気合をいれた。首を動かすと、イヤリングが揺れる。シリコン製のノンホールピアスで加工しているため、耳たぶを挟む痛みはない。
ネックレスと同じ色をした、赤色のハートだ。二つが重なっているのではなく、一つのハートがそれぞれ揺れており、ワンポイントにピンク色のビジューが輝いている。
先生お得意のレジンで作ってあった。空枠を使用しており、透明度があるガラスのような作品で、とても美しい。光の加減で、レジンに封入されたホログラムがきらきらと輝いていた。小さな子が好きそうな、輝きである。
「少し、大人っぽいですね」
「そうか?」
「あ、でも、九歳なら、これくらいなんでしょうか」
「可愛くて綺麗なものが好きらしい」
先生は、鏡を胸の前に掲げたまま、じっと私を見た。イヤリングやネックレスではなく、私を、だ。
「どう思う?」
「なにがですか」
「きみなら、どんな作品をつくる?」
軽く目を見張ると、先生はさっと視線をそらした。先生は自分の作品にとてつもなく誇りをもっている。作品を大切に扱っているのは勿論だが、妥協を許さない姿勢だとか、即売会での接客対応なども、プロだなぁと思わせる人だ。
先生のなかには、絶対的な何かがある。私はそこに触れてはいけない、と心に決めていた。
もしかして、スランプなのだろうか。芸術面を仕事にしている人には、多々みられるという魔のサイクルだ。
視線をそらしたままどこか憮然としている先生を見て、もう一度鏡を覗き込んだ。
「私には作れませんが、もう少し可愛い雰囲気があれば、嬉しいかもしれません」
「例えば」
「ハートのなかに入っているホログラムの前に、もう一つ封入するとか。小さい子なら、ユニコーンとか好きそうですね」
「イラストを封入するのは、性に合わない。……が、なるほど」
ネックレスと同じ色をした、赤色のハートだ。二つが重なっているのではなく、一つのハートがそれぞれ揺れており、ワンポイントにピンク色のビジューが輝いている。
先生お得意のレジンで作ってあった。空枠を使用しており、透明度があるガラスのような作品で、とても美しい。光の加減で、レジンに封入されたホログラムがきらきらと輝いていた。小さな子が好きそうな、輝きである。
「少し、大人っぽいですね」
「そうか?」
「あ、でも、九歳なら、これくらいなんでしょうか」
「可愛くて綺麗なものが好きらしい」
先生は、鏡を胸の前に掲げたまま、じっと私を見た。イヤリングやネックレスではなく、私を、だ。
「どう思う?」
「なにがですか」
「きみなら、どんな作品をつくる?」
軽く目を見張ると、先生はさっと視線をそらした。先生は自分の作品にとてつもなく誇りをもっている。作品を大切に扱っているのは勿論だが、妥協を許さない姿勢だとか、即売会での接客対応なども、プロだなぁと思わせる人だ。
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もしかして、スランプなのだろうか。芸術面を仕事にしている人には、多々みられるという魔のサイクルだ。
視線をそらしたままどこか憮然としている先生を見て、もう一度鏡を覗き込んだ。
「私には作れませんが、もう少し可愛い雰囲気があれば、嬉しいかもしれません」
「例えば」
「ハートのなかに入っているホログラムの前に、もう一つ封入するとか。小さい子なら、ユニコーンとか好きそうですね」
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