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ユルティナは、カルロと向かい合うように座っていた。
窓の向こうは小雨が降っていて、室内は仄暗い。
町に来て二か月の間に季節が流れ、肌寒くなっていた。ユルティナは薄手のドレスに羽織ものを纏っているが、カルロは変わらずシャツとズボンだけである。
慌ただしく過ごしていたから、落ち着いたら季節の服を買おう。
「カルロ、真剣な話があるの」
カルロは不安そうに、顔を顰めている。
まだ解雇されると思っているのかもしれない。
ユルティナは、そっと距離を縮めてカルロの頬に触れた。
「そんな怖い話じゃないから、安心して」
微笑むとカルロはほっとした様子を見せたが、すぐにハッと顔を上げた。
「……あの、お嬢様」
「なに?」
「なぜ俺は、縛られてるんですか」
二人が向かい合っているのは、ユルティナのベッドの上だ。
カルロは両腕を後ろで縛られている。というか、ユルティナが縛った。
縛る際に抵抗するかと思ったが、意外にも素直に縛られてくれたおかげで、スムーズに話し合いに挑めそうだ――と思っていたのだが、やはりカルロ本人はなぜ縛られているのか疑問らしい。
「いきなり襲われて無茶苦茶に壊されないように、かな」
ユルティナは正直に答えた。
一応言葉は選んだが、カルロはショックを受けたように項垂れてしまう。
「……申し訳ございません」
「ねぇ、カルロ。確認なんだけど、私のことを好きだっていうのは、本当? 今でも好き?」
「はい、真実です……申し訳ございません」
「謝らなくていいの、悪いことしてないんだから」
ずいっと、カルロの瞳を覗き込む。
アメジストの色をした綺麗な目は、到底嘘をついているように思えない。
ふむ、とユルティナは考えながら口をひらいた。
「私はもう、公爵令嬢じゃないわ。今後は平民のように、静かに暮らしていきたいの。贅沢な暮らしはできないし、あなたを雇い続けるにも限度がある。それでも、傍にいたいと思う?」
「当然です。傍にさえ置いて頂けるのでしたら、俺が働きます。お嬢様を養うくらい稼いでみせます」
カルロはどこまでも真剣で、ユルティナはこのあとに用意していたいくつかの質問を飲み込んだ。
今のやり取りだけで、充分カルロの本気が伝わってきたからだ。
「……お嬢様? あの、何をお考えなのでしょうか」
考えに耽っていた間に、沈黙が降りていたらしい。
カルロはまた、迷子の子犬のように不安そうな表情になっている。
ずっとカルロを無口な男だと思っていた。
その印象が変わったのは、ユルティナが王都の公爵邸を離れて辺鄙な町に移り住むことが決まったときだ。
傍に仕えてくれていた侍女ですら共に行くことを渋ったのに、カルロは志願して護衛になってくれたのである。
ユルティナのために雇われた侍女や護衛はたくさんいた。
カルロだけが、志願してくれて――その意気込みややる気を認めたベレスレント公爵が、カルロをユルティナにつけたのである。
男手が必要だろうから、ユルティナの傍に置くにはカルロは適任だ。『王都を追放されたに等しい落ちぶれた令嬢』としてここにやってきたのだから、ほかに側仕えを置くのも不自然である。
よって、カルロが護衛と従者の両方を担ってくれるのは都合が良い。
ユルティナにとってカルロは、ベレスレント家がユルティナにつけた大勢の護衛の一人でしかなかった。
公爵令嬢としての身分を捨てるも同然で王都を去ると決まったとき、カルロだけが共に行くと志願した。
あのときユルティナは初めて、カルロを個人として意識したのである。
(……王都に居たままだったら、カルロがこんなに健気でいじらしい性分だなんて知らないままだったわ)
そもそも、知ろうとすらしなかっただろう。
ユルティナは王太子の婚約者として、未来の王妃として、生きてきたのだから。
「……私は公爵令嬢に戻れないわ。本当にそれでもいいの?」
「はい。勿論です」
迷いない返事と真摯な視線に、ユルティナは笑み崩れた。
ユルティナのなかにあった最後の迷いが払拭されて、明確な未来図が見えた気がした。
「ありがとう、カルロ。なら、さっそく結婚しましょう」
男女が共にいるとなれば、やはり結婚だろう。
今後、平民のように生きるとなれば、未婚男女の二人暮らしでは何かと不都合だ。
カルロを護衛につけて二人だけで町に越してきたのは、短期間という縛りがあったからに過ぎない。
しかし、ずっと一緒に暮らすとなれば話は変わってくる。
ぽかんとするカルロに、ユルティナは説明した。
「貴族同士の結婚は国王陛下の認可が必要だけれど、片方が貴族籍ではない場合、認可は不要なのよ。平民同士同様に、二人で夫婦だと決めた日から夫婦になるの」
平民は国籍を持たないため、前世のような明確な夫婦という証明はない。
二人で愛を誓ったり、一夜を過ごしたり、共に暮らすことにしたり、そういったタイミングで『夫婦になった』と名乗れば、もう夫婦なのである。
なかには教会のような場所で生涯の愛を違う者もいるが、それも裕福な層に限ったことだった。
カルロは伯爵家の血筋だが、神の祝福を受けていない。
そのためカルロは結婚する際に平民扱いとなるのだ。
「だから――」
「お待ちください!」
カルロが、ユルティナの言葉を遮るのは初めてだった。
目をまん丸にして驚いていると、カルロはおずおずと口をひらく。
「いつまでもルーン侯爵の時代が続くとも思えませんし、もしかしたら、お嬢様は王太子殿下の婚約者に戻る日がくるかもしれません」
泣きそうな声だ。
「ですから、今後のことを決めるには早いかと思います」
「――つまり、王太子の婚約者に戻れそうなら戻って、戻れなかったときにもう一回考えろってこと?」
意識せずに、声が冷ややかさを帯びてしまう。
実際に腹が立ったので仕方が無い。カルロもユルティナの不興を買ったことに気づいたようで、ぐっと唇を噛む。
どうやら唇を噛むのは、耐えるときの癖らしい。
ユルティナはどこまでも真剣なカルロに好感を抱きながらも、彼にはどこか当然のように自己犠牲に身を置くところがあるような気がして、胸中でため息をついた。
「あのね、そんな薄情なことするわけないでしょう? 大体、公爵令嬢にはもう戻れないの」
「諦めるには――」
「カルロ……嫌なの?」
ハッとカルロが目を見張り、それから瞳を潤ませた。
「俺で、いいんですか?」
「カルロとなら、幸せに暮らせそうだと思ったの」
「俺は、伯爵家の血を継いでいても平民です」
「うん」
「俺は、たぶん、口が悪いです。……い、嫌味な言い方になってしまうのは、そういう性分なのかもしれません」
「そうだと思ってたわ。嫌われてるわけじゃないってわかったから、もう平気」
「お、俺、その……きっと、すごく……へ、変態です」
「知ってる。今も期待してるものね」
視線を少し下げると、股間部分の盛り上がりが見える。
ユルティナに欲情しているのだと思うと愛おしい。
カルロの頬に添えた手をずらして、顔を近づけた。
「嫌なら、断っていいのよ」
カルロは抵抗しなかった。
それどころか期待するように頬を赤らめ、瞳に強い情欲の色を灯す。
触れ合った唇は少し固く、彼の吐息は熱かった。
窓の向こうは小雨が降っていて、室内は仄暗い。
町に来て二か月の間に季節が流れ、肌寒くなっていた。ユルティナは薄手のドレスに羽織ものを纏っているが、カルロは変わらずシャツとズボンだけである。
慌ただしく過ごしていたから、落ち着いたら季節の服を買おう。
「カルロ、真剣な話があるの」
カルロは不安そうに、顔を顰めている。
まだ解雇されると思っているのかもしれない。
ユルティナは、そっと距離を縮めてカルロの頬に触れた。
「そんな怖い話じゃないから、安心して」
微笑むとカルロはほっとした様子を見せたが、すぐにハッと顔を上げた。
「……あの、お嬢様」
「なに?」
「なぜ俺は、縛られてるんですか」
二人が向かい合っているのは、ユルティナのベッドの上だ。
カルロは両腕を後ろで縛られている。というか、ユルティナが縛った。
縛る際に抵抗するかと思ったが、意外にも素直に縛られてくれたおかげで、スムーズに話し合いに挑めそうだ――と思っていたのだが、やはりカルロ本人はなぜ縛られているのか疑問らしい。
「いきなり襲われて無茶苦茶に壊されないように、かな」
ユルティナは正直に答えた。
一応言葉は選んだが、カルロはショックを受けたように項垂れてしまう。
「……申し訳ございません」
「ねぇ、カルロ。確認なんだけど、私のことを好きだっていうのは、本当? 今でも好き?」
「はい、真実です……申し訳ございません」
「謝らなくていいの、悪いことしてないんだから」
ずいっと、カルロの瞳を覗き込む。
アメジストの色をした綺麗な目は、到底嘘をついているように思えない。
ふむ、とユルティナは考えながら口をひらいた。
「私はもう、公爵令嬢じゃないわ。今後は平民のように、静かに暮らしていきたいの。贅沢な暮らしはできないし、あなたを雇い続けるにも限度がある。それでも、傍にいたいと思う?」
「当然です。傍にさえ置いて頂けるのでしたら、俺が働きます。お嬢様を養うくらい稼いでみせます」
カルロはどこまでも真剣で、ユルティナはこのあとに用意していたいくつかの質問を飲み込んだ。
今のやり取りだけで、充分カルロの本気が伝わってきたからだ。
「……お嬢様? あの、何をお考えなのでしょうか」
考えに耽っていた間に、沈黙が降りていたらしい。
カルロはまた、迷子の子犬のように不安そうな表情になっている。
ずっとカルロを無口な男だと思っていた。
その印象が変わったのは、ユルティナが王都の公爵邸を離れて辺鄙な町に移り住むことが決まったときだ。
傍に仕えてくれていた侍女ですら共に行くことを渋ったのに、カルロは志願して護衛になってくれたのである。
ユルティナのために雇われた侍女や護衛はたくさんいた。
カルロだけが、志願してくれて――その意気込みややる気を認めたベレスレント公爵が、カルロをユルティナにつけたのである。
男手が必要だろうから、ユルティナの傍に置くにはカルロは適任だ。『王都を追放されたに等しい落ちぶれた令嬢』としてここにやってきたのだから、ほかに側仕えを置くのも不自然である。
よって、カルロが護衛と従者の両方を担ってくれるのは都合が良い。
ユルティナにとってカルロは、ベレスレント家がユルティナにつけた大勢の護衛の一人でしかなかった。
公爵令嬢としての身分を捨てるも同然で王都を去ると決まったとき、カルロだけが共に行くと志願した。
あのときユルティナは初めて、カルロを個人として意識したのである。
(……王都に居たままだったら、カルロがこんなに健気でいじらしい性分だなんて知らないままだったわ)
そもそも、知ろうとすらしなかっただろう。
ユルティナは王太子の婚約者として、未来の王妃として、生きてきたのだから。
「……私は公爵令嬢に戻れないわ。本当にそれでもいいの?」
「はい。勿論です」
迷いない返事と真摯な視線に、ユルティナは笑み崩れた。
ユルティナのなかにあった最後の迷いが払拭されて、明確な未来図が見えた気がした。
「ありがとう、カルロ。なら、さっそく結婚しましょう」
男女が共にいるとなれば、やはり結婚だろう。
今後、平民のように生きるとなれば、未婚男女の二人暮らしでは何かと不都合だ。
カルロを護衛につけて二人だけで町に越してきたのは、短期間という縛りがあったからに過ぎない。
しかし、ずっと一緒に暮らすとなれば話は変わってくる。
ぽかんとするカルロに、ユルティナは説明した。
「貴族同士の結婚は国王陛下の認可が必要だけれど、片方が貴族籍ではない場合、認可は不要なのよ。平民同士同様に、二人で夫婦だと決めた日から夫婦になるの」
平民は国籍を持たないため、前世のような明確な夫婦という証明はない。
二人で愛を誓ったり、一夜を過ごしたり、共に暮らすことにしたり、そういったタイミングで『夫婦になった』と名乗れば、もう夫婦なのである。
なかには教会のような場所で生涯の愛を違う者もいるが、それも裕福な層に限ったことだった。
カルロは伯爵家の血筋だが、神の祝福を受けていない。
そのためカルロは結婚する際に平民扱いとなるのだ。
「だから――」
「お待ちください!」
カルロが、ユルティナの言葉を遮るのは初めてだった。
目をまん丸にして驚いていると、カルロはおずおずと口をひらく。
「いつまでもルーン侯爵の時代が続くとも思えませんし、もしかしたら、お嬢様は王太子殿下の婚約者に戻る日がくるかもしれません」
泣きそうな声だ。
「ですから、今後のことを決めるには早いかと思います」
「――つまり、王太子の婚約者に戻れそうなら戻って、戻れなかったときにもう一回考えろってこと?」
意識せずに、声が冷ややかさを帯びてしまう。
実際に腹が立ったので仕方が無い。カルロもユルティナの不興を買ったことに気づいたようで、ぐっと唇を噛む。
どうやら唇を噛むのは、耐えるときの癖らしい。
ユルティナはどこまでも真剣なカルロに好感を抱きながらも、彼にはどこか当然のように自己犠牲に身を置くところがあるような気がして、胸中でため息をついた。
「あのね、そんな薄情なことするわけないでしょう? 大体、公爵令嬢にはもう戻れないの」
「諦めるには――」
「カルロ……嫌なの?」
ハッとカルロが目を見張り、それから瞳を潤ませた。
「俺で、いいんですか?」
「カルロとなら、幸せに暮らせそうだと思ったの」
「俺は、伯爵家の血を継いでいても平民です」
「うん」
「俺は、たぶん、口が悪いです。……い、嫌味な言い方になってしまうのは、そういう性分なのかもしれません」
「そうだと思ってたわ。嫌われてるわけじゃないってわかったから、もう平気」
「お、俺、その……きっと、すごく……へ、変態です」
「知ってる。今も期待してるものね」
視線を少し下げると、股間部分の盛り上がりが見える。
ユルティナに欲情しているのだと思うと愛おしい。
カルロの頬に添えた手をずらして、顔を近づけた。
「嫌なら、断っていいのよ」
カルロは抵抗しなかった。
それどころか期待するように頬を赤らめ、瞳に強い情欲の色を灯す。
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