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第105話 誤解
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「パンツ!!」
ドキッ!!
「食べてる!?」
「あぁ、食べてるよ!」
ビックリした。
また殴られるかと思った。
俺たちが昼食を摂っている所に宿泊客と思われる薄い紫髪ショート髪の旅人風お姉さんが宿に入ってきた。
初めて見る紫の髪が珍しくて見惚れてしまった。
べ、別にあの娘が可愛かったから見惚れてた訳じゃないんだからね!!……グフフ。
俺がそんな事を一人思いに耽っているとアイルとソフィちゃんが姦しく会話している。
「このラビットシチューね、私が狩った角兎使ったんだって!だから美味しいのね!!モグモグ。」
「お姉ちゃん!私が狩った角兎ぉ!ハムハム」
「違うよ!これは私が狩った角兎の味だね!モグモグ」
「違うよぉ!これは私が狩った角兎の味ぃいい!!ハムハム」
どちらが狩った角兎なのか揉め始めるアイルとソフィちゃん。
「もーこの子達ったら。どっちが狩ったとしても美味しいお肉だよ。」
「「へへへへー。だよねー!ムグハムグハム!!」」
揉めてる二人をコフィさんが諫めると、二人とも得意満面の笑顔になる。
流石、二人の扱いに慣れてますね母親のコフィさん。
「これは……角兎の肉か。美味いな。ご主人が作られたのか?このレベルなら王都でも店が出せるぞ。」
角兎のシチューを一口食べた先ほどの紫髪のお姉さんがステフさんに語りかける。
「おう!しかし素材の肉はこっちの嬢ちゃん達から分けて貰ったんだけどな!やっぱり料理は素材が命だな!!ガハハハハ!!勿論、料理人の腕も必要だけどな!!ガハハハハハハハハッハハハ!!!!」
1人で笑い続けるステフおっさん。
酔っぱらってないよな?
「ほぅ。君たちも冒険者なのか。」
「ムグムグ。そうよ!!ほら!!」
アイルはそう言うと先日ランクアップしたばかりの金級プレートを見せびらかす。その顔はこれでもかと言う程のドヤ顔だ。
「その若さでもう金級か。凄いね。」
「んふふふー。そうでしょーそうでしょー!!私達3人とも金級なんだよ!!」
「「!?」」
アイルはハムハムしているソフィちゃんと俺の肩をガシリと掴み、その紫髪のお姉さんの方へ振り向かせる。
「ま!!あっらぁまぁ!!なんて可愛らしい御嬢さん!!!きゃっわいいぃいい!!!」
紫髪のお姉さんは突然ソフィちゃんに抱き着いて頬ずりをし出した。
何なんだ!この人。
ガシッ!
「ヒッ!!」
するとその紫髪のお姉さんがソフィちゃんから離れて、いきなり俺の手を握り顔を近づけてくる。
相変わらずこの世界の人、顔近づけるの抵抗ないのかな……。
チューしちゃうよ?
そんな事を思っていると、その紫髪お姉さんが叫ぶ。
「私と結婚させてください!!」
「ブ――――――――――ッ」
俺は角兎シチューを横にいたアイルの顔面に噴出した。
な、何だ何だ!いきなり綺麗なお姉さんにプロポーズされたのか?俺!?
「ななななな、何うぃをいきなりいいいてるですかぁあー!!」
俺はどもりながらも当然の言葉を発する。
どこの誰かも知らない綺麗なお姉さんにいきなりプロポーズされるとか……いいね!
もしかしてこの世界では結構ありふれた事なのか!?
「ちょ、ちょっと待ちなさい!!!」
俺が噴出した角兎シチューまみれのアイルが叫ぶ。
「って、そもそもあんた誰よ!!名乗りもせずにいきなり求婚するなんて非常識にも程があるよ!!」
あ、やっぱり非常識な事なのね。
「パンツ!誰よ!!知り合いなの!?」
いや、俺はこの世界で知り合いなんて、アイル達家族を除いたら数える程しかいないぞ。
メリッサ村の住人の方々とギルド職員関係者と、先日救出したフリオセラ王国の姫君の腹の音が大きいアレクサ姫と護衛の女騎士ファムさん。
あ、忘れそうになってたけど、残念白金級4人組パーティぐらいだ。
こんな綺麗でスタイルのいいお姉さんが知り合いでいる訳ない……
居たら絶対に忘れない。
いっその事、知り合いって事にしてムフフしちゃうのもいいかもし……
ボコッ!!
「パンツ!またニヤついてる!!で、知り合いなの!?」
「イタタ……知り合いじゃないよ!名前も知らないし会ったのも今日が初めてだよ!」
「じゃぁ何でいきなり求婚されてるの!?」
「知らんがな!!」
「シランガナ!!って何よ!?『ガナ』って何!!」
そこ引っかかるんかい。
ガタッ!!
目の前にいたソフィちゃんが突然立ち上がる。
「お兄ちゃんは私を攫う予定なんだからダメ―!!」
「「「「 !? 」」」」
立ち上がったソフィちゃんは俺の腰に抱き着きとんでもない事を口走る。
「パンツゥ!!ソフィを攫う予定ってどーゆー事よ!!」
「パンツ君?どーゆー事かな?」
「おい!パンツ兄ちゃん!!どーゆー事だぁ!!返答次第では……命貰うぜぇ!!」
コフィさんとステフおっさんのこめかみに怒りマークが浮き出ている。
誤解だ!!全くの誤解なんだ!!
これ以上、話をややこしくしないでくれ!
ドキッ!!
「食べてる!?」
「あぁ、食べてるよ!」
ビックリした。
また殴られるかと思った。
俺たちが昼食を摂っている所に宿泊客と思われる薄い紫髪ショート髪の旅人風お姉さんが宿に入ってきた。
初めて見る紫の髪が珍しくて見惚れてしまった。
べ、別にあの娘が可愛かったから見惚れてた訳じゃないんだからね!!……グフフ。
俺がそんな事を一人思いに耽っているとアイルとソフィちゃんが姦しく会話している。
「このラビットシチューね、私が狩った角兎使ったんだって!だから美味しいのね!!モグモグ。」
「お姉ちゃん!私が狩った角兎ぉ!ハムハム」
「違うよ!これは私が狩った角兎の味だね!モグモグ」
「違うよぉ!これは私が狩った角兎の味ぃいい!!ハムハム」
どちらが狩った角兎なのか揉め始めるアイルとソフィちゃん。
「もーこの子達ったら。どっちが狩ったとしても美味しいお肉だよ。」
「「へへへへー。だよねー!ムグハムグハム!!」」
揉めてる二人をコフィさんが諫めると、二人とも得意満面の笑顔になる。
流石、二人の扱いに慣れてますね母親のコフィさん。
「これは……角兎の肉か。美味いな。ご主人が作られたのか?このレベルなら王都でも店が出せるぞ。」
角兎のシチューを一口食べた先ほどの紫髪のお姉さんがステフさんに語りかける。
「おう!しかし素材の肉はこっちの嬢ちゃん達から分けて貰ったんだけどな!やっぱり料理は素材が命だな!!ガハハハハ!!勿論、料理人の腕も必要だけどな!!ガハハハハハハハハッハハハ!!!!」
1人で笑い続けるステフおっさん。
酔っぱらってないよな?
「ほぅ。君たちも冒険者なのか。」
「ムグムグ。そうよ!!ほら!!」
アイルはそう言うと先日ランクアップしたばかりの金級プレートを見せびらかす。その顔はこれでもかと言う程のドヤ顔だ。
「その若さでもう金級か。凄いね。」
「んふふふー。そうでしょーそうでしょー!!私達3人とも金級なんだよ!!」
「「!?」」
アイルはハムハムしているソフィちゃんと俺の肩をガシリと掴み、その紫髪のお姉さんの方へ振り向かせる。
「ま!!あっらぁまぁ!!なんて可愛らしい御嬢さん!!!きゃっわいいぃいい!!!」
紫髪のお姉さんは突然ソフィちゃんに抱き着いて頬ずりをし出した。
何なんだ!この人。
ガシッ!
「ヒッ!!」
するとその紫髪のお姉さんがソフィちゃんから離れて、いきなり俺の手を握り顔を近づけてくる。
相変わらずこの世界の人、顔近づけるの抵抗ないのかな……。
チューしちゃうよ?
そんな事を思っていると、その紫髪お姉さんが叫ぶ。
「私と結婚させてください!!」
「ブ――――――――――ッ」
俺は角兎シチューを横にいたアイルの顔面に噴出した。
な、何だ何だ!いきなり綺麗なお姉さんにプロポーズされたのか?俺!?
「ななななな、何うぃをいきなりいいいてるですかぁあー!!」
俺はどもりながらも当然の言葉を発する。
どこの誰かも知らない綺麗なお姉さんにいきなりプロポーズされるとか……いいね!
もしかしてこの世界では結構ありふれた事なのか!?
「ちょ、ちょっと待ちなさい!!!」
俺が噴出した角兎シチューまみれのアイルが叫ぶ。
「って、そもそもあんた誰よ!!名乗りもせずにいきなり求婚するなんて非常識にも程があるよ!!」
あ、やっぱり非常識な事なのね。
「パンツ!誰よ!!知り合いなの!?」
いや、俺はこの世界で知り合いなんて、アイル達家族を除いたら数える程しかいないぞ。
メリッサ村の住人の方々とギルド職員関係者と、先日救出したフリオセラ王国の姫君の腹の音が大きいアレクサ姫と護衛の女騎士ファムさん。
あ、忘れそうになってたけど、残念白金級4人組パーティぐらいだ。
こんな綺麗でスタイルのいいお姉さんが知り合いでいる訳ない……
居たら絶対に忘れない。
いっその事、知り合いって事にしてムフフしちゃうのもいいかもし……
ボコッ!!
「パンツ!またニヤついてる!!で、知り合いなの!?」
「イタタ……知り合いじゃないよ!名前も知らないし会ったのも今日が初めてだよ!」
「じゃぁ何でいきなり求婚されてるの!?」
「知らんがな!!」
「シランガナ!!って何よ!?『ガナ』って何!!」
そこ引っかかるんかい。
ガタッ!!
目の前にいたソフィちゃんが突然立ち上がる。
「お兄ちゃんは私を攫う予定なんだからダメ―!!」
「「「「 !? 」」」」
立ち上がったソフィちゃんは俺の腰に抱き着きとんでもない事を口走る。
「パンツゥ!!ソフィを攫う予定ってどーゆー事よ!!」
「パンツ君?どーゆー事かな?」
「おい!パンツ兄ちゃん!!どーゆー事だぁ!!返答次第では……命貰うぜぇ!!」
コフィさんとステフおっさんのこめかみに怒りマークが浮き出ている。
誤解だ!!全くの誤解なんだ!!
これ以上、話をややこしくしないでくれ!
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