Switch jobs ~転移先で自由気ままな転職生活~

天秤兎

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第104話 結成と絆の証2

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「はいはーい!わたしはねぇ、『おいしいもの食べ隊』がいいと思うぅ!!調査隊であちこち回って美味しい物食べ尽くすんだぁ!」
「ソフィ!それいいね!それにしようっか!!」


ダメだ。この姉妹……。


「おいおい!そんな気の抜けた名前にするのか?そんな安易なパーティ名付けたらダメだぞ!パンツ兄ちゃんだって困惑してるじゃねぇか。」


危うくパーティ名が『おいしいもの食べ隊』に決まりかける所にステフおっさんが待ったをかける。
流石、年長者!頼りになる!
俺も元おっさんだから年長者に変わりない筈だけど……。


「ここは俺が名付け親になってやろうかぁ?『幻の酒探し隊』とかどうだ!?」


うん。ソフィちゃんとどっこいどっこいのネーミングセンス。


「あんたのネーミングセンスも大概なんだから任せられないよ。何だい。『ゆっくりしていっ亭』とか『のんびりしていっ亭』とか。ダジャレの宿屋なんてあんた達夫婦の宿ぐらいだよ。」


即座にアイル達の母親のコフィさんが断るとステフおっさんはションボリしてしまった。


「じゃあどうするの!決まらないよぉ!パンツ!あんたは何かないの!?」


そ~だな。中二感のあるネーミングのパーティ名……やはりここは先程の……。


エンドオブ終焉ダークネスとか……どう?」

………
……………

「何か子供じみてるから嫌だ。」
「うん。ちょっと……患ってるっぽいから幾らお兄ちゃんの提案でも……。」


アイルとソフィちゃん同時にダメ出しされた。
中2病ネーミングダメっすか。
ん~どうするかな。
調査隊ならあちらこちらに出向く事が多くて、各地で色々な経験出来るってステフさん言ってたな。
あちこちで収穫……。


「じゃぁ「収穫者達ハーベスターズ」はどうだ?」
「ハーベスターズ?ど~ゆー意味?」
「収穫者達みたいな事かな。調査隊ならあちこち行けるんだろ?各地で色んな事を収穫するみたいな意味合いで。」
「あら、いいわねそれ。」
「うん。いいな。食物だけじゃなく、知識や経験も収穫するって事か。」


お、コフィさんもステフおっさんも気に入った様だ。
肝心のメンバー二人の反応は?


「「それに決定!!」」


決まったみたいです。
良かった。アイルもソフィちゃんも気に入った様子。


「ん~でも俺の『幻の酒探し隊』の方がよくねぇか?」
収穫者達ハーベスターズに決まり!!」


まだ不服そうなステフおっさんが食い下がるが、それを無視してアイルとソフィちゃんは手を取り合って喜んでいる。
こうして俺達のパーティ名は決定した『収穫者達ハーベスターズ』。
…………どこぞの浜の球団みたいな名前だけど……ま、いっか。
パーティ名も決まった所で、俺達は昼食を取ろうと提案した所、ここで食べて行こうとコフィさんが提案する。
ステフさんもそろそろ昼食の準備をする前だったので問題ないとの事だったのでお昼御飯は久しぶりのステフさんの手料理だ!


「ステフさん、俺も手伝いますよ。それとこれ使って下さい。」


俺は収納魔法ストレージマジックから角兎ホーンラビットの肉を取り出す。


「おお!角兎ホーンラビットの肉か!新鮮だなぁ。よし。じゃぁ兄ちゃん、一口大に切って貰えるかい?」


俺は肉をサイコロステーキ程度の大きさにカットする。
ステフさん、何を作るんだろう。
ステフさんは大鍋にバターと塩と砂糖、そしてトマトをざく切りにし、薄くスライスした玉葱を入れて炒めはじめる。
そして水を入れてトマトの形が無くなるまで沸騰するとそこに葡萄酒ワインをドバドバ入れ始めた。

煮詰まってきたら人参やらジャガイモ芋もザクザクカットしてドボドボと投入して煮込む間に、俺に角兎ホーンラビットの肉を油で炒める様、指示を出す。
肉に焦げ目が付いたらその鍋の中に肉を投入してひと煮立ちして塩胡椒で味を調えたら完成だ。


「出来たぜ!『ラビットシチュー』完成だ!ワインとバター、トマト、玉葱が溶け込んだ汁がうめぇんだこれが。」


汁て……。
シチューって言ってんだからシチューでいいんじゃん。
ラビットシチューを皿に盛り付けてパンと野菜の盛り合わせで昼食だ。


「「おいしぃぃいー!!」」


アイルとソフィちゃんは一口、口に運ぶと同時にそう感嘆の声を上げる。


「フッ……やるじゃないかい。ステフ。」
「当たりめぇじゃねぇか!料理の腕もコフィ!お前に負けねぇぜ!」
「何を言ってんだい。宿屋を出すから何かいい料理ないかと泣きついて来たからこの料理を教えたのは私じゃないか。」
「うぐッ……。」


何だ。ステフおっさんの料理の師匠はコフィさんだったのか。
俺も一口食べてみる。
成る程、デミグラスソースっぽいビーフシチューみたいな感じだ。
コンソメとかソースがないから深いコクは出ていないが、味としては悪くないな。
硬いパンに付けても食べると、シチューの汁気を吸って柔らかくなり、美味しく食べる事が出来た。
俺達5人が食事をしていると宿泊客だろうか?
1人、扉を開けて入って来た。


「……!?いい匂いだ。」
「お客さん。丁度いい所に帰って来たな!昼食がまだなら美味いシチューがあるけどどうするね?」
「うむ。是非頂こう。」


帰って来た客にステフさんがシチューを進めると、その客も昼食はまだだった様で、二階に荷物を降ろすと直ぐに戻って空いている席に着席する。
先程はマントを羽織り、目深に被ったフード姿だったので気づかなかったが、女性だったのか。
薄く紫がかったショートの髪型が似合っててカワイイなぁ。グフフゥ。
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