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第102話 獲物への食い付き2

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外傷が少ない事に気付くゼダンおっさん。
流石、解体専門職ってだけの事はあるな。


「オホホ、何ででしょうねぇ~?足を滑らせてショック死でもしたのかなぁ~?……そんな事より、こっちの鳥はどうですか?」


俺は詮索される前に話を逸らす。


「こちらは『クロウブルーバード』ですね。こちらも綺麗な状態ですね。」


ドキッ
そりゃそうだ。底無沼で溺れさせて倒してるし……。(2回目)
ミリィさんも気付かなくていいよ!

※クロウブルーバード
ランクF魔獣。全身、黒色の体毛に覆われている。
体高2.0m~4m程度。体重1.8t~3.0t程度
見た目はほぼダチョウで飛ぶ事も可能だが、飛ぶ事より走る方が得意。
特徴的な青い鶏冠とさかがある。
脚先の鋭い鉤爪で得物を鷲掴みにして失血死させる。
肉は非常に美味。


「では、角兎ホーンラビット10頭、クリープタイガー1頭、クロウブルーバード4頭の計15討伐ですね。では手続きをしますので戻りましょうか。」


良かった。また外傷がない事を探られるかと思ったけど、スルーしてくれたみたいだな。
そうだ。解体するならお肉も非常食用に頂いておこう。


「あの、兎肉と鳥肉を2頭分ほど解体後に頂けないでしょうか?」
「おう。分かったぜ。おい、ミリィ。そう言う事だから。処理の方は宜しくな。」
「分かりました。では解体費用を引いた差額分を討伐報酬にしておきますね。牙や毛皮などはどうしますか?そのままギルドで買い取りも出来ますよ?」
「クリープタイガーなんて久々見たぜ。こいつの素材は高く売れるしな!買い叩かれない様にしろよぉ?ニヒヒ」


ありがたい事にヤ〇ザ……じゃなかった。ゼダンちゃんが忠告してくれる。見た目は怖いが、いい人なのかな?


「買い叩くなんて事しませんよ!!もぅ!ちゃんと想定の相場で買い取りますぅ!!もぅ!!変な事吹き込まないでくださいよ!ゼダンさん!!もぅ~。」


ミリィさんがぷりぷりとご立腹だ。
興奮すると「もぅ!」を連発するんだな。可愛い。
それにしても狩るのは簡単だとしても、解体が出来ないからな。
肉があればいつでも非常食に出来るし、俺の収納魔法ストレージマジックで保管しておけば腐る事もない。
俺とソフィちゃんはその後、討伐報告書を提出し、その場で受理され報酬を頂いた。
全ての解体には時間が掛かるらしく明日一杯かかるとの事。
しかし角兎ホーンラビットのお肉だけは報告書を作成中に2頭分解体が終わったらしく頂く事が出来た。


角兎ホーンラビットの解体なんざ、モンスター解体業の初歩中の初歩だからな!!俺に掛かればあっという間よ!!」


肉を引取に行った際に、ゼダンおっさんは胸を張りながら人差し指で鼻の下をこする仕草をする。
俺が元いた世界でも魚を三枚おろしにする職人さんは早かったしな。
確か鰹、丸々1匹を見事な手捌きで1分もかからずに解体する動画を見た事がある。
勿論、魔獣と魚の三枚おろしとは異なるだろうが、モンスター解体職人の手に掛かればあっという間なのだろう。
今度、暇を見つけて見学させてもらおうかな。


「ソフィちゃん、そろそろ帰ろうか。お姉ちゃん達と合流してお昼ご飯にしよう。」
「うん!お姉ちゃん達、まだ買い物してるのかなぁ?」


落ち合う場所はステフさんの宿にしている。
コフィさんもいる事だし、アイルも迷子にはならないだろう。


「おじちゃぁーん!」
「おぉ!ソフィ!よく来たなぁ!」


宿に入ると、ソフィちゃんがステフおっさんの胸に飛び込む。
いいなぁー。いつでもこのお兄ちゃんの胸に飛び込んでくれてもいいんだよ?


「ステフさん。コフィさんとアイルは来てないですか?」
「ん?来てないぞ?二人もこっちに来てるのか?」


あの二人、まだ買い物してるのか……。
もう少し待つか。
待っている間にガガンさんに頼まれ事を済ませよう。


「ステフさん。ガガンさんからのお願いされた事があって、少しお酒を融通して貰えないかって言ってましたよ。」
「ガガンの奴が酒を?勿論いいぜ!!どんな酒がいいんだ?」
「……酒類は聞いてないので、ステフさんが選んでいいと思います。」
「そうか。分かった。じゃあ適当に見繕っとくぞ!」
「ありがとうございます。」


さて、あの二人が来るまで待つとするか。
俺達二人は、宿のフロント兼食堂となっている場所にある備付けの椅子に座り図書館から借りた本を開き魔法の復習会をする。
そして暫くすると宿の扉が開いた。


「はぁ~買ったわねぇ~。」
「もう!お母さん、買い過ぎだよ!!」
「だって安いんだも~ん。しょうがないじゃな~い。アイルだって一杯買ってるじゃな~い。」
「そ、それは……だってこれからここに住むんだからそれの準備だよ!」


おしゃれに興味ないのかと勝手に思っていたけど、アイルも女の子だったんだね。
服がぎっしり入った袋を両手にぶら下げている。


「ソフィの分も買って来てたから、後でみて見て!カワイイの買ってきたから!」
「ホント!お姉ちゃん!?ありがとう!!」
「アイル、早くパンツ君に渡しなさいよぉ~。パンツ君の為に買ったんでしょぉ~?」
「ちょ、ちょっと!そんなんじゃないから!お母さん!?」


コフィさんとアイルがキャッキャウフフしている。
何だ何だ。俺に何か渡すつもりなのか?
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