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第94話 呼ばれた理由5

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え?魔王を通した後、問題を起こす?
勇者や英雄が?


「だってさぁ、魔王を倒す程の力を持ってるんだよ?国から危険視されて暗殺とかされそうになったりして人間不信で逆に次の魔王になったりする事もあるのよぉ。まぁ全員が全員て訳じゃないんだけど、勇者、英雄みたいな人外の力を持つと大変なんだぁ~と思うよ。
だから、あなたもなるべく力は隠しておいた方がいいかもね。そんな連中を軽く上回る力を持ってるんだからさ!」


女神様は『ビシィッ!!』と俺の眉間に指差して言い聞かせる様に話す。
勝手に人外な力を付与しておいて何を言うのかこの女神様は。
…………はぁ。

ん?でも勇者やら英雄が現れるなら俺(調整者コンコード)いらなくね?


「勇者とか英雄は自然発生的と言うか、突然変異で産まれる云わばイレギュラー的な存在なの。
だから必要な時に生まれてくれたらいいんだけど、必要じゃない時に生まれるとね‥…その力を悪い方に使っちゃう勇者、英雄もいるのよね。」
「悪い方?」
「そ。戦争起こしたり、選民思想に取りつかれちゃったりめんどくさいんだよ。これが。
もしかしたら、あなたも魔王、悪魔、天使だけじゃなくて、勇者、英雄とも戦う事になるかもね。」
「えぇええ!!戦いたくない!!めんどくさい!!」
「勇者、英雄が生まれなければいいのよ。でもあなた、不老不死だから遅かれ早かれ遭遇する事になるかもね。ま、その時はいい感じにあしらっておいてね!」


いい感じにって……。
簡単に言ってくれるなぁ。
言うはやすし師匠ですよ?丸投げじゃないか……。
しかし魔王をチャチャっとっ倒すって……。
魔王とか悪魔、天使の件も実際に出会ってからでないと分からないな……。
その時になってから考えるか……。
後は、俺の存在についてだな。


「あの、確認なのですが、もしですよ?あくまで例え話なんですけど、もし俺が残虐非道の限りを尽くして、星のバランスを崩し始めたらどうなるんですか?あと、断ったりしたら……。」
「そんなの簡単よ。そしたら私があなたをチョチョイと消去して、次の候補者を召喚するだけ!すっごく簡単!!」
「そんな簡単に俺、始末されるんですか……。」
「当然。あなたの力は私の力を分け与えている様なもんだし、私達神は星に住まう生物達には直接干渉出来ないけど、調整者コンコードとは繋がって干渉出来るしね。指先一つであなたを消せちゃうよ。まぁ、そうなる前に私がフォロー入れるけどね。」
「ちなみにお聞きしますけど………元の世界に戻れたりしますか?」
「………戻せるけど……あなた、戻りたい?」


……正直な所、悲しいかな。
元の世界に戻っても俺を待っている家族も親しい友人もいない。
ならばこの世界で調整者コンコードとして活動した方がまだ有意義な生活かもしれない。


「そうでしょ?その方が楽しいよ!きっと!!元いた世界とは全く違う世界だしね!」


女神様は俺の心を読んでにこやかにそう答える。
ここは覚悟決めてやるしかないか!


「女神様……改めて、調整者コンコード、受けようと思います。宜しくお願いします。」
「うんうん!結構結構!!!」
「ちなみに、俺の前任者もいたんですか?」
「いたよー。でもその子は寿命全うしちゃってね。その子はエルフで長生きだったんだけど、不老不死じゃなかったしねー。
いい子だったんだけどねぇー。で、その子が死んじゃってから200年間は特に何事も無かったんだけど、バランスが崩れ始めたからあなたを召喚したって訳!
それに今までの調整者コンコードとしての傾向から推測すると、余り出しゃばったり目立ちたがる奴等よりかは、逆に目立つのを嫌う縁の下の力持ち的な人がいいんだよね~。
必殺!仕事人!!みたいな?陰で仕事を淡々と熟す……カッコよくない!?」
「女神様、何に影響を受けてるんですか……。」
「ま、いいじゃない!そんな深く考えなくていいよー。
あなた、家族とも早くに死別したり、友人とも疎遠になってたでしょ?
もう一度、人生やり直すチャンスを貰ったって捕えて欲しいわね!
楽しい人生であらん事を!!!じゃーねー!!気が向いたらまたLive音声やるからその時はヨロシコ!!あっ!そうだ。私も忙しいからずっとフォローできる訳じゃないけど、どうしてもって時にはこれで呼んでね?はい、これ!じゃね!!」


ちょ……!?一方的に会話を終わらせようとしてる!!
しかも女神様の姿が徐々に薄くなって行く!!
はい、これと言って渡された物……四角い板状のモノ……これって……ス、スマ……



「ちょっと女神様!!まだ聞きたい事があるんですけどぉお……………」
………。
………………。

女神様の姿も消え、声も聞こえなくなってしまった。
そう言えば、女神様の名前も聞いてない……。
と言うか、俺、この世界からどうやって出ればいいんだ?
真っ白な光の世界で1人佇む……。


「あぁー、後、それあなたの世界で馴染みのある『通信手段』としてのイメージを具現化した物だから別に深い意味はないよー!!あくまで『スマホの様な物』だから!それとあたしの名前は『コンコーディア』って言うの!!今度こそ、バーイ!頑張ってね~!!!」
「ちょっと……女神様!!ここからどうーやって出る……………!!」

………。
………………。
ユサユサ
ユサユサ


「パンツ!起きて!!」
「お兄ちゃん!!起きてよぉー!!!」


俺は揺さぶられて目を覚ます。


「んん……ちょっと待って!!…女神様ぁ!!」


ガバッ!

「ギャァアアァアアァ!!」


ん?俺の顔……とても柔らかい二つ物で挟まれている感触があります……。
何だろう。物凄く落ち着くと言うか……ずーっとこうしていたい……。
………。
はい。次の展開はもうお分かりですね。


「このへんたぁぁぁあぃい!!!」
「ほらねぇぇえええ!!!」


ボコーん

俺は寝惚けてアイルに抱き着いてしまった様だ。
おっぱい。とても気持ちよかったです。
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