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第88話 やっちゃいました?1
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「村からこんな近い所でモンスターが出るのか?」
「モンスターと言っても、ほぼ普通の動物よ?野良の兎とか猫とか犬とか鳥が魔力を持ってしまってモンスター化した様な奴。」
アイルは退屈そうにそう話す。
俺たち3人は今、メリッサ村を南下して約1km程歩い場所までやって来ていた。
「でも鳥さんとか兎さんとか美味しいよね~!」
「そうね。昨日の夕食で食べた鳥もここで取れた鳥だよ?」
「え?そうだったの!?」
昨夜の夕食は、鳥の胸肉の塩胡椒炒めだった。
俺が買ってきた胡椒を使って久々にファミレスに出て来るグリルチキンに近い物が出てきたのだ。油が乗っていて非常に十三……ジューシーで美味しかったなぁ……。
「へー。しかしモンスターも色々いるんだなぁ。」
「お父さんも言ってたけど、ここはランクFの弱いモンスターばかりだけど、でも偶に、ほんとーに偶に、滅多にないんだけど稀に、マゾン草原から移動して来た高ランクのモンスターが出て来る事もあるから油断は禁物だけどね。」
………。
それ言っちゃいけない奴じゃない?
フラグびんびんに立てるね。アイルさん。
「ここら辺では大体、4、5種類のモンスターが出るんだぁ!ほら!あれもそうだよ!」
ソフィちゃんが指さす先に兎が1匹、ぴょんぴょんと言うか、ドスンドスンと跳ねていた。
その額には1~2m程度の角が生えている。
俺の知っている世界の動物で言えば、大きさはライオンぐらいの大きさの兎だからデカいな。でもモッフモフだ。
しかしあんな角で一突きされたら普通の人間なら間違いなくあの世行きだろう。
あれがランクF(最弱モンスター)ってんだからこの世界は恐ろしいな。
※角兎
ランクF魔獣。体高1.5m~3m程度。体重1.0t~4.0t程度
特徴的な角(1m~2mほど)で刺突攻撃を仕掛けて来るモンスター。
敏捷性に優れており見かけは鈍重そうに見えるが、戦闘時には水魔法第2位階魔法の身体強化魔法を自身に掛けて敏捷性、攻撃力を上げる個体もいる。
「じゃぁ、ソフィ。あの角兎で試そうか。ソフィの『泥沼魔法』を試すには丁度いいかもしれないよ?」
「うん!分かったぁ!じゃぁ行って来るー!!」
ソフィはそう答えると、トテトテと角兎に向かって走って行った。
俺達3人は今、前夜、魔法属性を付与した武器の効果を試す為、メリッサ村のほど近い草原に来ていた。
そこで見つけた手頃の角兎に向けて、モンス〇ーハンターと化したソフィちゃんが走って行く。
「え?ソフィちゃん1人で行かせるの?危なくない!?」
「何言ってんの?ソフィだって金級(ゴールド)なのよ?それに角兎なんて昔からここで何匹も倒してるし平気よ。」
「えぇ……でも、でも万が一って事もあるし……。」
ソフィちゃんの魔法使いとしての実力は知っているつもりだが、やはり見た目がまだ幼いのでどうしても心配してしまう。
しかしアイルは心配する俺を呆れた眼差しで見かえしている。
「大丈夫だって。パンツ心配性なんだね。あたしの時もそれぐらい心配してくれるかな……?」
「……え?何か言った?」
「う、うぅん?何でもない!」
俺とアイルがそんなやり取りをしていると、突然、突風が俺達の間を吹き抜けた。
ソフィちゃんが先制攻撃で風魔法を使った様だ。
しかし角兎はソフィちゃんの初撃を躱して、左右に高速でジャンプを繰り返しながらソフィちゃんへ角を向けて突進して来ている。
「……ソフィったら、わざと初撃を外したね。」
「え?初撃の風魔法をわざと外したのか?」
「そう。ソフィの風魔法なら1発で仕留められる筈だし、それに今回の目的は属性付与の効果確認だからね。動きの素早い角兎相手に通用するか試そうとしてるんだよ。」
「はぁー、成る程ねぇ。」
「パンツ!ソフィが杖を使うよ!」
アイルがそう言うと、ソフィちゃんが杖を角兎に向けて杖に魔力を込め詠唱なしで魔法を発動させる。
「泥沼魔法!!!」
すると角兎(ホーンラビット)が飛び跳ねた直後に土魔法を発動させると、着地点が一瞬で泥状になり、角兎(ホーンラビット)はその泥沼に足を取られて下半身ごと埋もれてしまった。
そして身動き出来ず、徐々に泥沼に沈んでいく……。
所謂、もがけばもがく程……って奴だな。
「ゴゴオォ!!ゴゴゴォオオゴー!!ゴゴゴォオ――ゴゴボオ―――…………」
…………。
まだ午前です……。
泥沼に少しずつ埋もれて行く角兎。
見た目カワイイのに、凄い鳴き声だな。
何だよ『午後ぉー!!』って。発音良すぎだろ。
ブラッドボアより迫力ある鳴き声だ。
しかしその声も徐々に掻き消えて行く。
1分もすると全身が泥沼に埋もれて耳と特徴的な角先だけ残して声も聞こえなくなった。
どうやら俺の属性付与は上手くいったみたいだな!
するとソフィちゃんが頭を傾げながらこちらにやって来る。
「…………あれぇ?私、『泥沼魔法』を発動させた筈……なんだけど……。」
「上手く行ったんじゃないの?ソフィちゃん?もしかして失敗?」
ソフィちゃんの顔をすぐれない。
「失敗と言うか……あれ、土魔法の第5位階魔法の『底無沼魔法』だよ。きっと。」
…………。
うん。知ってた。
あれ……もしかして……やっちゃってる?
「モンスターと言っても、ほぼ普通の動物よ?野良の兎とか猫とか犬とか鳥が魔力を持ってしまってモンスター化した様な奴。」
アイルは退屈そうにそう話す。
俺たち3人は今、メリッサ村を南下して約1km程歩い場所までやって来ていた。
「でも鳥さんとか兎さんとか美味しいよね~!」
「そうね。昨日の夕食で食べた鳥もここで取れた鳥だよ?」
「え?そうだったの!?」
昨夜の夕食は、鳥の胸肉の塩胡椒炒めだった。
俺が買ってきた胡椒を使って久々にファミレスに出て来るグリルチキンに近い物が出てきたのだ。油が乗っていて非常に十三……ジューシーで美味しかったなぁ……。
「へー。しかしモンスターも色々いるんだなぁ。」
「お父さんも言ってたけど、ここはランクFの弱いモンスターばかりだけど、でも偶に、ほんとーに偶に、滅多にないんだけど稀に、マゾン草原から移動して来た高ランクのモンスターが出て来る事もあるから油断は禁物だけどね。」
………。
それ言っちゃいけない奴じゃない?
フラグびんびんに立てるね。アイルさん。
「ここら辺では大体、4、5種類のモンスターが出るんだぁ!ほら!あれもそうだよ!」
ソフィちゃんが指さす先に兎が1匹、ぴょんぴょんと言うか、ドスンドスンと跳ねていた。
その額には1~2m程度の角が生えている。
俺の知っている世界の動物で言えば、大きさはライオンぐらいの大きさの兎だからデカいな。でもモッフモフだ。
しかしあんな角で一突きされたら普通の人間なら間違いなくあの世行きだろう。
あれがランクF(最弱モンスター)ってんだからこの世界は恐ろしいな。
※角兎
ランクF魔獣。体高1.5m~3m程度。体重1.0t~4.0t程度
特徴的な角(1m~2mほど)で刺突攻撃を仕掛けて来るモンスター。
敏捷性に優れており見かけは鈍重そうに見えるが、戦闘時には水魔法第2位階魔法の身体強化魔法を自身に掛けて敏捷性、攻撃力を上げる個体もいる。
「じゃぁ、ソフィ。あの角兎で試そうか。ソフィの『泥沼魔法』を試すには丁度いいかもしれないよ?」
「うん!分かったぁ!じゃぁ行って来るー!!」
ソフィはそう答えると、トテトテと角兎に向かって走って行った。
俺達3人は今、前夜、魔法属性を付与した武器の効果を試す為、メリッサ村のほど近い草原に来ていた。
そこで見つけた手頃の角兎に向けて、モンス〇ーハンターと化したソフィちゃんが走って行く。
「え?ソフィちゃん1人で行かせるの?危なくない!?」
「何言ってんの?ソフィだって金級(ゴールド)なのよ?それに角兎なんて昔からここで何匹も倒してるし平気よ。」
「えぇ……でも、でも万が一って事もあるし……。」
ソフィちゃんの魔法使いとしての実力は知っているつもりだが、やはり見た目がまだ幼いのでどうしても心配してしまう。
しかしアイルは心配する俺を呆れた眼差しで見かえしている。
「大丈夫だって。パンツ心配性なんだね。あたしの時もそれぐらい心配してくれるかな……?」
「……え?何か言った?」
「う、うぅん?何でもない!」
俺とアイルがそんなやり取りをしていると、突然、突風が俺達の間を吹き抜けた。
ソフィちゃんが先制攻撃で風魔法を使った様だ。
しかし角兎はソフィちゃんの初撃を躱して、左右に高速でジャンプを繰り返しながらソフィちゃんへ角を向けて突進して来ている。
「……ソフィったら、わざと初撃を外したね。」
「え?初撃の風魔法をわざと外したのか?」
「そう。ソフィの風魔法なら1発で仕留められる筈だし、それに今回の目的は属性付与の効果確認だからね。動きの素早い角兎相手に通用するか試そうとしてるんだよ。」
「はぁー、成る程ねぇ。」
「パンツ!ソフィが杖を使うよ!」
アイルがそう言うと、ソフィちゃんが杖を角兎に向けて杖に魔力を込め詠唱なしで魔法を発動させる。
「泥沼魔法!!!」
すると角兎(ホーンラビット)が飛び跳ねた直後に土魔法を発動させると、着地点が一瞬で泥状になり、角兎(ホーンラビット)はその泥沼に足を取られて下半身ごと埋もれてしまった。
そして身動き出来ず、徐々に泥沼に沈んでいく……。
所謂、もがけばもがく程……って奴だな。
「ゴゴオォ!!ゴゴゴォオオゴー!!ゴゴゴォオ――ゴゴボオ―――…………」
…………。
まだ午前です……。
泥沼に少しずつ埋もれて行く角兎。
見た目カワイイのに、凄い鳴き声だな。
何だよ『午後ぉー!!』って。発音良すぎだろ。
ブラッドボアより迫力ある鳴き声だ。
しかしその声も徐々に掻き消えて行く。
1分もすると全身が泥沼に埋もれて耳と特徴的な角先だけ残して声も聞こえなくなった。
どうやら俺の属性付与は上手くいったみたいだな!
するとソフィちゃんが頭を傾げながらこちらにやって来る。
「…………あれぇ?私、『泥沼魔法』を発動させた筈……なんだけど……。」
「上手く行ったんじゃないの?ソフィちゃん?もしかして失敗?」
ソフィちゃんの顔をすぐれない。
「失敗と言うか……あれ、土魔法の第5位階魔法の『底無沼魔法』だよ。きっと。」
…………。
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