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第72話 御礼?2
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しかし久々の徹夜だったなぁ。
俺は道の脇で背伸びをして欠伸をする。
しかしこの世界は本当に空気が美味しい。
大気汚染が進んでいないからなのか、徹夜したにも関わらず清々しい気分だ。
「グネグネの兄ちゃん!!」
俺が街の入り口でボーっとしているとさっきの無駄話衛兵が話しかけてくる。
と言うか、その『グネグネの兄ちゃん』て何だよ。
軟体人間みたいな呼び方ヤメテ。
しかしステフさんからは『パンツ兄ちゃん』と呼ばれて衛兵から『グネグネの兄ちゃん』と呼ばれ碌な名前じゃねーな。
グネグネグネール・パンツさん。
………。
………………。
……………………あ、俺の事か……。
「あのお姫様とどこで会ったんだよ!?」
「…………森を散策してたら偶々、野盗に襲われていた所を助ける為に加勢しただけですよ。それだけです。」
「そうなのか?野盗ってどんな連中だったんだ?討伐したら報奨金出るぞ?」
報奨金出るのか。
何て言ってたかな?あの鼻毛さん……。
「あぁ、そうだ。『龍の巣』とか言ってましたね。」
「り……『龍の巣』!?それマジか!!あいつら王族にまで手を出すのかよ!!やべぇ連中ってのは聞いてたが、マジやべぇな。」
そう。マジやべぇよ。所で仕事しなくていいのか?マジやべぇよ?
ゴチンッ!
「いてっ!!」
無駄話衛兵の後ろに上官らしい別の衛兵が頭にゲンコツを叩き込んでいた。
「こんの朝一で忙しい時にサボるんじゃねぇ!!さっさと仕事に戻れ!!」
「あい!!すみませぇぇぇえん!!」
ゲンコツされた衛兵は全速力で門へと戻って行く。
確かに門の周辺はいつの間にか街へ入ろうとする商人と冒険者でごった返していた。
「ったく。少し目を離すとすぐサボりやがる。君も街の中に入るのか?」
「あ、いえ、俺は大丈夫です。」
「そうか。では気を付けてな。」
「はい。有難う御座います。」
俺は上官衛兵に挨拶をして森の中へ移動する。
街に入るには金を払って許可証を貰う必要があるしな。
許可証を持ったまま街を出ると魔法が発動して動けなくなるらしいし今の俺には不要だ。
そして周囲に誰もいない人目の付かない場所まで移動すると、メリッサ村のガガンさんの家へと戻る為、空間転移を発動させて顔を入れて様子を伺う。
「…………。」
「…………。」
「「ぎゃぁぁぁっぁぁぁっぁっぁぁ!!」」
ガガンさん家のリビングに空間転移で顔だけ出した所、既に起床して朝食の支度をしていたアイル達の母親、コフィさんの目の前に出てしまい、お互いにビックリして大声を出してしまった。
「どうした!何があったぁ!!おい、どうした!何があったんじゃぁ!!」
「パパパ、パン…パン…パンッ……顔が……」ブクブク
「パンの顔!?何をいっとるんじゃ!かあさぁん!誰かあぁあぁぁ!だずげでくだざぁぁぁぁっぁい!!!!」
ガガンがコフィを助け起こすとコフィはうわ言の様に呻きながら泡を吹いて気絶してしまった。
「びっくりしたぁ!反射的に逃げてしまった……。危うくコフィさんとチューする所だったぞ。お互いの鼻先と鼻先が触れ合う距離だった……。危ない危ない。
しかしコフィさん、大丈夫かなぁ…。そしらぬ顔で自分の部屋に空間転移しよう。」
そして俺は自分の部屋に空間転移を発動し、恐る恐る顔を入れて覗き込み誰もいない事を確認してから部屋へと降り立つ。
「パンツゥウウウウウ!!」
ビクッ!!
俺が空間転移から出て来るやいなやアイルが扉を勢いよく開け放ち入って来た。
「パンツ!!母さんが!母さんがぁあ!!」
「ちょ、ちょっと落ち着け。どうしたんだ!?」
いや、知ってるけど。
アイルが俺の手を引いてリビングまで連れてくる。
そこにはコフィさんを抱き抱えるガガンさんとそれを見守るソフィちゃんがいた。
「誰かあぁあぁぁ!だずげでくだざぁぁぁぁっぁい!!!!ウオォオオオォオオオオンン!!!!」
ガガンさんがコフィさんを抱きながら泣き叫んでいる。
取り乱しすぎだろガガンさん……。
まるで『セカ○ュー』のラストシーンみたいだな。
「朝の支度をしていたらお母さんが急に倒れちゃったの!!どうしよう!!」
「アイル、落ち着いて……びっくりし……じゃなくて、過労で倒れただけだと思うから……。」
コフィさんは気を失っているが息はしているし今は静かに眠っている。
暫く寝かせていれば起きる……と思う。
ステータスにも状態が『気絶』と表示されていた。
「ソフィちゃん、一応、治癒魔法をかけておいてくれる?」
「うん!分かったぁ!お兄ちゃん!!」
ソフィちゃんはそう言うとコフィさんに治癒魔法を掛ける。
これでダメならさっきファムさんにもらった特級復癒液を使ってみるか。
100本もあるし。
でも使い方知らないんだよなぁ……。
俺は道の脇で背伸びをして欠伸をする。
しかしこの世界は本当に空気が美味しい。
大気汚染が進んでいないからなのか、徹夜したにも関わらず清々しい気分だ。
「グネグネの兄ちゃん!!」
俺が街の入り口でボーっとしているとさっきの無駄話衛兵が話しかけてくる。
と言うか、その『グネグネの兄ちゃん』て何だよ。
軟体人間みたいな呼び方ヤメテ。
しかしステフさんからは『パンツ兄ちゃん』と呼ばれて衛兵から『グネグネの兄ちゃん』と呼ばれ碌な名前じゃねーな。
グネグネグネール・パンツさん。
………。
………………。
……………………あ、俺の事か……。
「あのお姫様とどこで会ったんだよ!?」
「…………森を散策してたら偶々、野盗に襲われていた所を助ける為に加勢しただけですよ。それだけです。」
「そうなのか?野盗ってどんな連中だったんだ?討伐したら報奨金出るぞ?」
報奨金出るのか。
何て言ってたかな?あの鼻毛さん……。
「あぁ、そうだ。『龍の巣』とか言ってましたね。」
「り……『龍の巣』!?それマジか!!あいつら王族にまで手を出すのかよ!!やべぇ連中ってのは聞いてたが、マジやべぇな。」
そう。マジやべぇよ。所で仕事しなくていいのか?マジやべぇよ?
ゴチンッ!
「いてっ!!」
無駄話衛兵の後ろに上官らしい別の衛兵が頭にゲンコツを叩き込んでいた。
「こんの朝一で忙しい時にサボるんじゃねぇ!!さっさと仕事に戻れ!!」
「あい!!すみませぇぇぇえん!!」
ゲンコツされた衛兵は全速力で門へと戻って行く。
確かに門の周辺はいつの間にか街へ入ろうとする商人と冒険者でごった返していた。
「ったく。少し目を離すとすぐサボりやがる。君も街の中に入るのか?」
「あ、いえ、俺は大丈夫です。」
「そうか。では気を付けてな。」
「はい。有難う御座います。」
俺は上官衛兵に挨拶をして森の中へ移動する。
街に入るには金を払って許可証を貰う必要があるしな。
許可証を持ったまま街を出ると魔法が発動して動けなくなるらしいし今の俺には不要だ。
そして周囲に誰もいない人目の付かない場所まで移動すると、メリッサ村のガガンさんの家へと戻る為、空間転移を発動させて顔を入れて様子を伺う。
「…………。」
「…………。」
「「ぎゃぁぁぁっぁぁぁっぁっぁぁ!!」」
ガガンさん家のリビングに空間転移で顔だけ出した所、既に起床して朝食の支度をしていたアイル達の母親、コフィさんの目の前に出てしまい、お互いにビックリして大声を出してしまった。
「どうした!何があったぁ!!おい、どうした!何があったんじゃぁ!!」
「パパパ、パン…パン…パンッ……顔が……」ブクブク
「パンの顔!?何をいっとるんじゃ!かあさぁん!誰かあぁあぁぁ!だずげでくだざぁぁぁぁっぁい!!!!」
ガガンがコフィを助け起こすとコフィはうわ言の様に呻きながら泡を吹いて気絶してしまった。
「びっくりしたぁ!反射的に逃げてしまった……。危うくコフィさんとチューする所だったぞ。お互いの鼻先と鼻先が触れ合う距離だった……。危ない危ない。
しかしコフィさん、大丈夫かなぁ…。そしらぬ顔で自分の部屋に空間転移しよう。」
そして俺は自分の部屋に空間転移を発動し、恐る恐る顔を入れて覗き込み誰もいない事を確認してから部屋へと降り立つ。
「パンツゥウウウウウ!!」
ビクッ!!
俺が空間転移から出て来るやいなやアイルが扉を勢いよく開け放ち入って来た。
「パンツ!!母さんが!母さんがぁあ!!」
「ちょ、ちょっと落ち着け。どうしたんだ!?」
いや、知ってるけど。
アイルが俺の手を引いてリビングまで連れてくる。
そこにはコフィさんを抱き抱えるガガンさんとそれを見守るソフィちゃんがいた。
「誰かあぁあぁぁ!だずげでくだざぁぁぁぁっぁい!!!!ウオォオオオォオオオオンン!!!!」
ガガンさんがコフィさんを抱きながら泣き叫んでいる。
取り乱しすぎだろガガンさん……。
まるで『セカ○ュー』のラストシーンみたいだな。
「朝の支度をしていたらお母さんが急に倒れちゃったの!!どうしよう!!」
「アイル、落ち着いて……びっくりし……じゃなくて、過労で倒れただけだと思うから……。」
コフィさんは気を失っているが息はしているし今は静かに眠っている。
暫く寝かせていれば起きる……と思う。
ステータスにも状態が『気絶』と表示されていた。
「ソフィちゃん、一応、治癒魔法をかけておいてくれる?」
「うん!分かったぁ!お兄ちゃん!!」
ソフィちゃんはそう言うとコフィさんに治癒魔法を掛ける。
これでダメならさっきファムさんにもらった特級復癒液を使ってみるか。
100本もあるし。
でも使い方知らないんだよなぁ……。
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