Switch jobs ~転移先で自由気ままな転職生活~

天秤兎

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第61話 襲撃3

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俺は右ストレートを突進して来たブラッドボアの鼻先に叩き込む。
するとブラッドボアは鼻先から真っ二つに両断されて俺は返り血で全身血だらけになってしまった。


「最後はコピペじゃなかったな……しかし……おえッ……気持ち悪いし……獣くっさ!おぇえええ!」


ブラッドボアを仕留めた俺は、血だらけ、臓物、内容物だらけになってしまった。
獣臭と血の臭いの入り交じった何とも言えない匂いが辺りに充満する。
自分の力は大体、理解しつつあるが……モンスターを倒すのはやはりまだ慣れないな……。ウプッ……くっさ。オゥエッ……。


「あっ、そう言えば、騎士とお姫様っぽい人がいたな。」


俺は後ろを振り返り馬車を見るとお姫様風の女の子を庇う様に覆いかぶさっている騎士風の人に話しかける。


「あの~、大丈夫ですか?」


全身、ブラッドボアの返り血まみれの俺が語りかけると、騎士風の人間はビクリとしたかと思うと俺に剣先を向ける。


「ヒッ!貴様!何者だ!!」
「あの決してあやし……」
「この化け物め!!貴様も奴等の一味か!!」
「いや、俺は野盗なんかじゃ……」
「うるさい!!この化け物め!!素手でブラッドボアを討伐するなど聞いた事がない!!貴様!悪魔なのか!?」
「え?イヤ、だから俺は化け物でも野盗でも悪魔でも……」
「えええぇい!!うるさいうるさい!!黙れ黙れ!!」


自分で聞いておいて黙れとはこれ如何に。解せぬ。
何か面倒臭そうだからこのまま放置した方がいいのかな?この人達が何者なのかわからんし。それに俺は臓物まみれの血だらけで臭いし汚いし早く身体を洗いたい。さっさと空間転移ワープで途中どっかの川で洗い流したい。


「じゃ、じゃあ、俺はこれで……。まだ他のブラッドボアがいると思いますからお気をつけて……。」
「待て!」
「はい?」
「貴様!何者だ!!」


またふりだしに戻る。
しかしこの娘もかわいいな。
久々の魔眼!『眼見巣琉ガンミスル―』はつ☆どう!!

青味ががっていいるロングの髪が綺麗だなぁ。
目元はキッと吊り上って性格がきつそうなお姉さまって感じだが上品さも漂わせている。
どこかルク・スエルの副ギルマスのリッターさんを思わせるな。
うん!カワイイ!Aランク!!……0.5秒

胸は……鎧を装備しているから全くわからんな。
胸元に大きな水色の宝石のネックレスがある。魔石か?
しかしスレンダーでも貧乳でも問題ない!!
カワイイから総合でAランク!!……0.8秒

アイルやリッターさんにも負けず劣らずスタイルがいいな。素晴らしい!!
はい!鑑定終了!そして時は動き出す!!…1秒

続いてお姫様風の娘……は気絶しちゃってる……。
明らかにどっかの王族っぽい雰囲気のドレスを着ているな……。
髪も綺麗な金髪で体つきは華奢だがソフィちゃんと同じく将来有望そうな娘だ。


「貴様!!さっきから何をジロジロと見ているのだ!?」
「え?」
「私はどうなってもいいがお嬢様には手出しはさせんぞ!!」


元気な女(ひと)だなぁ。まさか『クッころ……』なんて事は今時言わないよな?この騎士さん。
忠義心があるのは結構だけど、そんなに大声あげないで欲しい。
俺、一応恩人だよ?
何者って聞きたいのは俺もなんだけど……。
ステータス確認すればいいのか。

===================================
【 名 前 】ファム・クランシー
【 種 族 】クォル族
【 職 種 】魔法騎士 :水 適正
【 体 力 】203
【 魔 力 】132
【 攻撃力 】291
【 防御力 】230
【 俊敏性 】203
===================================

ふむ。ギルマス達よりか数値は低いがアイル達よりは数値が高い。
冒険者クラスで言えば白金級プラチナって感じか。
さてどうしたものか。


「あの、取りあえず俺の話聞いてもらえます?」
「………。」


警戒はしている様だが多少、落ち着きを取り戻して来た様だ。
相変わらず剣を構えて黙って俺を射抜く様なで睨み付けてはいるが。


「俺は偶々、森を散策中にブラッドボアに襲われた只の冒険者です。なのであなた達を襲撃した野盗達とは何の関係もないんですよ。」
「しかし貴様は助けをあの野盗に求めていただろう!」
「まぁ、そうなんですけど、あいつらが倒してくれたら楽かなぁと思ったので……。倒そうと思えば倒せたんですよ?実際、倒したし。」
「……確かにそうだが。」
「早くここから逃げないとあいつらまた戻ってきますよ?『半刻して死体の確認に戻ってくる』みたいな事言ってましたし。」
「何!?………迷っている暇はないか……。突然ですまないが私に雇われる気はないか?」
「え!?俺を雇うんですか?」
「あぁ。ルク・スエルまで私達を護衛して貰えないだろうか。当然、礼はする。何でも聞いてやろう。」


え?何でも?それはムフフな事もOKなのかな?グフ……フグググ。
しかしこんな事、前もあったな。
アイル達と最初に出会った時にウェアウルフを撃退した後、村に帰る迄の護衛を依頼されたんだっけ。
随分昔の事の様だが、まだ1か月経っていないんだよなぁ。


「な、何をニヤニヤしているのだ?………男の考える事だ。そう言う事を要求しようとしているのだろう……。お嬢様さえ無事であれば、私はどうなってもよい……。好きにするがいい。」
「………。」


いやあ確かに?一瞬そう言う事を考えたけどさぁ。
やっぱり見返りにそう言うのって何か萎えると言うか……やっぱり愛?がないとお互いに盛り上がらないと思わない?ねぇ思わない?
『さっさとやれや!』とか言わないで!!俺は雰囲気、ム~ディを大事にする派なの!
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