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第17話 地図
しおりを挟む俺達はギルド依頼を受け、ポーションの原料である『復癒草』の依頼採取達成の為、早朝からルク・スエル郊外の森の中へ入っていった。
今は既に辺り一面、オレンジに染まりもうすぐ陽も落ちて夜になろうとしているが、俺達はまだ森の中をさまよっている。
そう…案の定、やはり俺たちは森で迷っていた。
「あれ~?おっかしいなぁ~?あれ~?」
ポーションの素材『復癒草』の収集も終わり、街へ帰ろうとなって昼過ぎから引き返し始めるとアイルがこんな事を一人ぶつぶつ言い始めたのだ‥。
俺はそっと話しかける。
「……あの…アイル団長…。」
「な、何!?今、忙しいの!」
「まさかですけど…念の為確認なんですけど……。」
「何!?」
「迷ってません?」
「………そ、そ、そんなこ、事な、なな、ないじゃない!!」
めっちゃ目が泳いでる…。目玉がピンボールの如く動いている。
「ソフィちゃん、街の方角とか分かる?」
「う~ん…大体は分かるけど…正確な方向はわかんない…。」
ヤバいなぁ‥これじゃあまた何かモンスターに襲われるパターンじゃないのか?これ…。
しかし地図も持たずに森の中に入るのが冒険者のデフォなのか…?
「ここはどこなんだ一体…。」
鬱蒼と茂る森の中、目印になる様な物もない…。
「地図でもあればまだ何とかなるのに…。」
そんな事を思うと例の声が頭に響いた。
(天の声:この世界の地図を認識…更新しました。)
その声が頭に響いたと思った瞬間、この世界の地図と思わしきもモニター?が突然、俺の目の前に表示された。
「なんだこれは…ゲームのマップ画面の様な…。」
茫然としているとアイルに声を掛けられた。
「パンツ、どうしたの?」
「え?これ、これが目の前に現れてびっくりしたんだけど…。」
「これ?これって何?何もないじゃない…。おかしな事言うのね。
やっぱり変態ですね。パンツさんは。」
両手を挙げて「ふぅ…やれやれ」と言ったジェスチャーをするアイル団長。
団長が迷ってるからこんな事になってるのに…。
しかしアイルにはこれが見えてないのか?
いや、魔法の属性によるかもしいれない…。ソフィちゃんにも見てもらおう。
「ソフィちゃーん!」
「なに~?お、おにいちゃん…かぁぁ」
まだ『お兄ちゃん』のフレーズに慣れていないのか照れている。
カワイイ…ってそうじゃなくて
「ソフィちゃん、これ見える?」
俺は目の前のマップモニターと思われる物を指しながら聞いてみる。
「??ん~んフルフル、何もないよ~?何かあるの?」
「もう!何があるのよ。ここにさ!!(ブンブン!!)」
「あぶなッ!」
アイルが俺の指を指し示す空間に向かって不快そうに剣を振ってくる。
…この地図?俺にしか見えてないのか…!?
これ使えるのか?試しに現在地を検索してみるか…。現在地は?
そう思うとマップモニターが移動して緑のビーコンが三つ移動してる箇所でSTOPする。
これが俺達って事か?間違いない…これ、この世界の地図だ…。
しかも思っただけで動かせるなんて……って、気にしてもしゃーないか。
使えるモノ(道具)は使いましょう…。
「ねぇ、パンツ、どうしたの?何もない所をぼーっと見て固まって。」
「え?あぁ…ちょっとね。帰る方角はどっちかなーと思ってたんだ。」
「ま、迷ってないわよ!…まだ!……多分…………恐らく…。」
段々自信なさげな風になるアイル団長。耳が垂れている…。これは迷ったな。
俺はマップを再度確認する。
すると街からどんどん離れて森の奥に進んでいる事が分かる。
……アイル団長ぉ…。
「あの、団長…。一つ進言させて頂いて宜しいでしょうか?」
「何!?今忙しいの!?」
アイルは迷ってる事に焦りを感じているらしくイライラしている。
「お、恐らくですが、街の方角は逆方向ではないかと思われます…。」
「…な、何でそんな事が分かるの!?」
そうだよなぁ…。ここの土地勘がない俺がこんな事言っても信じて貰えないよな…。さてどうするか…。
「……そ、そうだな…。以前、俺は山奥で修行してるって話しただろ?」
「…うん。そんな事言ってたわね。」
「それで、山や森の中で修行中に道に迷っても帰る方角を大体分かる能力をその時に身に付けたんだよ。だから帰る方向は分かる……的な?」
「……的な?そうなの?言ってる事は良く分からないけど…まぁ…その…信じてあげてもいいわよ!迷ってないけどね!!ふん!」
うん。身に着けたのは間違いないので嘘は言っていない。
何の苦労もなくついさっきサクっと身に付けたばかりだけど。
俺達は今来た方向から踵を返して逆方向へ再び歩き出す。
するとマップ画面に妙な表示がある事に気付いた。
俺達がいる方向に赤い点のビーコンが多数近づいてくる。
「ん?何だ?これ?」
俺がマップに表示される赤いビーコンに指で触れるとそれの情報が表示される。
そこに表示されたのは…。
『キラーアント』
「………。はい?」
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