Switch jobs ~転移先で自由気ままな転職生活~

天秤兎

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第15話 初依頼 

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「…………………はぁぁぁあ!?誰!これ!!」





そこにはおっさんではなく、10代後半と思われる青年が鏡に映っていた。



俺は慌てて自分の顔をぺたぺたと触り確認するが、間違いなく俺の様だ…。

と言うかもしかして?若返ってる!?え?目の下のクマも無くなってるし、

20年ぐらい若返ってる気がする…!?



今、この鏡に映っているのは10代後半の優男の青年がいる。

…どうりで今朝のマイサン(股間)の元気っぷりが異常だった訳だ…。
って、なんで…若返ってるの…?



洗面所で腕組みをしばしし思案してみるが…当然答えは出ない…。

確かに若ければもっと動けたのに~とか、残業も徹夜ももっと楽に熟こなす事が出来るのに…なんて事を常日頃から思っていたけどさぁ…。



…………。



「…ま、いいか!もうこの世界に来てしまって俺の記憶の世界の常識は通用しないんだからもう受入よう!考えた所でしょーがない!若返って不都合はないし万事オッケーオッケー!!」



もう開き直る(諦め)しかないと俺は決めた。

成る程、アイルやソフィちゃんが年齢的に変わらないと言っていたのは納得だ。

………いやいや、流石にソフィちゃんとはダメでしょ…。

でもアイルならOKなのか?などと良からぬ事を自問自答していると

アイルが家政○は見たよろしく洗面所の陰から半身を出してこちらを見ていた。



「パンツ…1人で何ぶつぶつ言ってるの?」

ドキッ!



「え?そ、そんな事ない…よ?」

「そうかなぁ…。青ざめたと思ったら今度は急にニヤニヤし出して気持ち悪かったんだけど…。」



え!?どこから見てたの?



「最初から見てたわよ。私も顔を洗おうと部屋から出て来たら丁度パンツが見えたから後ろから付いて言ったら洗面所の前でオロオロしだすし急にニヤニヤし出すし…。」

俺の内心を読んだかの様に話すアイル様。



「貴様!何者だっ!!キリッ!」

「………。」



そんな事を言う俺をアイルは呆れ顔のまま洗面所の奥に追いやり顔を洗い始めた。



「準備が出来たら朝ごはん食べてからギルドに行くからね?」

「はい!団長…承知しました!」



俺はさっと片膝を付いてタオルをアイル団長に手渡すのだった。

着替えて準備支度が終わる頃にアイルとソフィちゃんが俺の部屋に迎えに来てくれた。



「おーいパンツ―!用意出来たぁ?」ガチャ

「あぁ、丁度支度が終わった所だよ。」

「この宿で朝食にしてからギルドに行こう!ステフおじさんのスープ美味しいんだよ!」

「へぇ…そりゃ楽しみだな。」



…今日も冒険者日和の爽やかな朝だなぁ…。



スープの味はトマト風味で中々おいしかった…。

他の客の食後の片付けをしていたステフおっさんと目が合うとニカッと笑いながら親指を立ててサムズアップしてやがる。

ステフおっさん…やるじゃねぇか…。今度、作り方教えて貰おうかな…。



朝食を終えた俺達はギルドへ移動した。



ギルド内……



「ではこちらがギルドの登録証になります。

これは通行証、身元の確認証にもなりますので、無くさない様にして下さい。

紛失した場合には、再発行料金がかかりますので。」

「分かりました。有難うございました。」



『勇者パンツは冒険者カードを手に入れた!!』



……ゲームなら画面にそんなメッセージが出つつアイテム取得BGMでも流れている事だろう…。

そんな事を妄想しつつ俺は受付嬢Aのミリィさんから静かにギルドカードを受けとった。



「登録証の説明をしますと上から所属ギルド名・現在の階級・職種・氏名・年齢・種族となっております。」

「「見せて見せて!」」



アイルとソフィちゃんが二人して俺のカード覗き込んで来る。



所属ギルド  :ルク・スエル都市ギルド

階級     :貝殻シェル級

職種     :武道家

氏名     :グネグネグネール・パンツ

年齢     :17歳

種族     :人族



「パンツって17歳だったんだぁ。」



俺はこの世界の字が読めないので上から順にアイルが教えてくれる。

アイルは俺とカードをを見比べている。やっぱり20年程若返ってる…。

しかし待て、年齢よりも名前についてだ!何だそれ!?グネグネグネール・パンツ!?

何だ?その柔軟そうなパンツは!?



「ちょっと!アイル!この名前…何でこんな事になってんの!?」

「え?最初マゾン草原で自己紹介した時にそんな感じだったでしょ?

だからそれを記入して冒険者登録したの。」

「いやいや、グネーヴァル・パンツだから!いや、パンツァーだから!!」

「グネグネーもグネーなんちゃらも変わらないじゃない。どうせパンツなんだし(笑)」



……そんな適当な感じで身分証明書作られちゃっていいの?この世界…。



「そう言えば、アイルに俺の年齢言ってたっけ?」

「ん?聞いてないよ?」

「え?それじゃぁ何で年齢が勝手に記載されてるの?」

「年齢についてはオーブが生体情報を読み取りますのでそれを登録しています。」



疑問に思い口にすると、受付嬢Aのミリィさんが答えてくれた。

あの玉か…。ほんと魔法万能だな…。

この世界で科学が発展していないのも良くも悪くも魔法のせい…なのかな。



「それともう一つ、このプレートがあなたの階級を証明する物になりますので、

カードと一緒にお持ちください。」



そう言ってミリィ受付嬢は1枚の黒っぽい鉄のプレートを渡してきた。



「これは持ってるだけでいいんですか?」

「そうですね。ほとんどの冒険者の方は目立つ所に付けたり、

自分達のパーティ名を記したプレートと一緒につけていますね。」



チラッ そういえばアイルは『銀級』だったか…。

腕に付けているあの銀色のプレートがギルドの階級証だったんだな。

ただのアクセサリーかと思ってた…。



「そう言えば、昨日はギルマス、あなたと会ってから凄い機嫌が良かったんですよ?

うちにも久々に有望な武闘派冒険者が登録された!!って。」



「武闘派て…それは機嫌がよくなる事なんですか?」



「それはそうですよ。依頼を達成した後、依頼者から達成報酬金が支払われますが

それの2割をギルドが回収して残り8割を冒険者にお支払いますが、当然、大きな依頼達成となれば

金額も大きくなってギルドもウハウハ、私達のお給金もウハウハ…ウフフ……ん…ゴホン…。

それにご存じの様にいつ誰が何の依頼を達成したのか、各支部、国のギルド間で情報共有されてますから

有名な冒険者が所属していればそれに憧れて新規の冒険者も多く集まってくるんです。」



なるほど、広告塔みたいな感じか…。



「でも、俺、まだ何もしてないですよ?」



「ギルマスはあなたは将来絶対、俺に並ぶ、いや超える程の冒険者になれる!って断言していましたよ!それにいつもはギルマスを諌める立場の副ギルマスも同様な事をおっしゃてましたから。

それにギルマスはあなたをいきなり白銀級からスタートさせようとしたらしいですけど、まだギルド登録してから実績もないのに流石にそれはダメ!って副ギルマスに怒られてましたけどね。」



「まだ何もしてないのでそこまで配慮してくれるなんて…買いかぶりな気もしますけどね…ははは」



「そんな事ないです!!」



いきなりミリィさんの横から受付嬢Bプラーニャちゃんが胸の双丘をぶりんぶらん揺らしながら割り込んできた。

わぁ…しかしほんとデカいなぁ…目の保養ですな!眼福眼福(笑)



「魔法の全属性持ちで、しかもうちのギルマスと素手で互角にわたり合える方がいるなんて信じられませんでした!

あの、よければ今度二人でお食事でも如何ですか?…ニコ」



なんて言いながら俺の手をニギニギしてくるじゃあーりませんか!!

おいおい…いきなりデートのお誘いですかぁ?タマランチですぞ!!これは!…



と浮かれていると、後ろからアイル団長の殺気が…コ゛コ゛コ゛コ゛コ゛コ゛ッコ゛コ゛オコ゛コ゛

……怒



「あ、あの、それじゃぁ今日から早速冒険を始めたいので依頼板みてきます~ぅ。」



俺は団長の殺気に怖気づいてプラーニャちゃんの手を優しく振りほどいて依頼掲示板の方へ走り出す。



「なぁ、アイル?何かいい依頼ありそう?」

「知らないわよ!受付のお姉ちゃん達と行けば?」



怒ってる…何で…。



「受付嬢さんとは世間話をしてただけじゃないかぁ…俺もこの国の事不慣れだから聞いてただけだって。」



「ふん、どうだか!!鼻の下伸ばしてデレデレしてた癖に!怒…・」

って、なんで私が怒る事あるのよ…。



「あの、アリス団長様…わたくし、字が読めなのですがいい感じの…依頼…などないでしょうか…。」

「そうね、これなんかいいんじゃない(棒)」



アイルは適当に掲示板から紙を引っぺがして俺に押し付ける。

冷たい対応…ショホ゛ン



「ソフィちゃん…これ何の依頼って書いてるの?」

「ポーションの原材料の薬草採取依頼って書いてるよ。」



ふ~ん、ポーションの原材料の薬草採取か…。

今のランクじゃ高難度のモンスター討伐依頼はとか受けられないし、簡単そうだからひとまずこの依頼をうけるか…。

でもショボンとポーションて響きが似てるよね。



「アイル団長ぉ…、さっきのこの依頼を受けようかと思うんだけどどうかな?」

「ふ~ん…いいんじゃない?受ければ?(冷ッ)」



まだ怒ってる…。

何なんだよもう…。ヒ゛クヒ゛ク



「じゃぁ受付に持っていくけどいいよね?」



俺はそう言いながらおっぱい受付嬢Bプラーニャちゃんの受付へ歩みだすと、アイルが俺の手から依頼書を強奪して受付へダッシュする。



「私が依頼登録してくる!!ダダダダ、私とソフィ、パンツ3人でこの依頼を受けます!!宜しく!!」

「は、はぁ…分かりました。」



プラーニャちゃんはポカンとしながら受付の手続きを済ます。



依頼手続きを済ませるとアイルはフン!と鼻を鳴らしながら俺の前を通り過ぎて行く。

この間、ソフィちゃんは図書館から借りた魔導書をずーっと読み耽っていた。



しかしアイルの奴…多感な時期なのはわかるけど…いきなり怒り出したり意味がわからない…。年齢的に思春期か?

亜人に思春期?があるのかしらんけど…。


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