虎に百合の花束を

六花瑛里

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本編

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 シャワーを浴びてリビングに戻ると、そこは薄暗い中に仄かな鈍いオレンジの灯りに照らされていた。


 「俺もシャワー浴びてくる」

 悠莉が戻ったのと同時に大雅が足早にリビングから出て行くのを見送り、自分の姿を見た。

 ルームウェアにショートパンツを選んだのは、あざとかっただろうか。
 自分の部屋の鏡で何度も見たし、バスルームの鏡でも確認したから、あざとくて大丈夫!

 お泊りセットの準備をしていた時に、ルームウェアは一番可愛く見えるのを選んだ。彼の家での初めてのお泊りで寝る時も起きた時も可愛い姿でいたかったから。……誘惑したかったってのもあるけどね。


 自分の格好に満足して顔を上げれば、寝室のドアが開いていて、少しだけベッドが見えて、心臓が跳ねた。その部屋も薄暗い中に淡いオレンジ色の灯りに薄っすらと照らされている。

 心臓が煩くて、手が震えた。

 冷蔵庫の中からミネラルウォーターのペットボトルを取り出してグラスに注ぎ、震える手でグラスを持って冷えた水を飲めば喉が渇いていたのか一息つけた。

 「俺にもくれ」
 「えっ?早くない?」

 いつの間にか戻ってきた大雅にビックリした。まだ5分も経ってない。

 「洗うとこは洗ってきたし、歯磨きも終わらせた」

 どこを?って聞き返しそうになって言葉を飲み込んだ。想像してしまい顔が熱い。
 ボトルに残っていた水をグラスに注ぐと、大雅がそれを一気に飲み干す。グラスをテーブルに置く音がして、未だに恥ずかしくて、大雅を見ることが出来ない悠莉の顔に大雅の手が触れる。無理やりとは違う、彼の方を向くように誘われる仕草に従って彼を見れば、

 「ちょ、なっ、なんでバスタオル1枚なの?」

 腰にタオルを巻きつけただけの姿に目のやり場に困った。

 引き締まっていて綺麗な体から発する色気が凄い。腹筋も六つに割れていて、触っていて気持ちが良いのを思い出して無意識に手が伸びてしまう。


 ずっと、触れていたい――私の…――


 悠莉の顎が大雅の手に掬い上げられて、交わす視線がゆっくりと近づき、触れるだけの口づけから深まるのは…愛情か、それとも欲情なのか。

 身長差がもどかしくて、大雅の首に腕を回せば、悠莉の顔を包み込んでいた両手は彼女の身体を滑るように下がり、太腿を撫でられてゾクッとした。その手はすぐに臀部まで戻る。
 臀部を揉まれて撫でられるたびに、声が漏れそうになるも、深い口づけに飲まれていく。
 口内を乱す彼の舌に、流れ込まれる唾液が甘く感じる。その唾液を嚥下すれば、彼も飲み込みたいのか舌を吸われ、いつの間にか脱がされたショートパンツとショーツに気づいたのは、彼の臀部を揉んでいた手が割れ目をなぞったから。直接触れられるそこに、ゾワリと肌が粟立った。
 割れ目を辿って触れる秘所に指を入れてほしいとくねる身体に、彼の硬いモノが押し付けれれて、彼もまた望んでいるのだと云わんばかりに硬いそれを悠莉の身体に擦った。
 彼の巻き付けているバスタオルに手を掛けた時、臀部のあたりを触っていた彼の手が悠莉の身体ごと持ち上げた。

 「……あっ、」

 急な浮遊感に驚けば、お尻を支えられての縦抱きに、大雅との目線が逆転した。片手でお尻を支え、別の手が太腿と足の付け根を撫でまわす。
 彼に見下ろされていたのが、今度は彼を見下ろす方になっている。

 「…ん」
 「リリィ、キスして」

 差し出してきた大雅の舌に自分の舌を差し向けて、ぺろぺろと彼の舌を舐めれば、足りない刺激に頭を押さえつけられて彼女の舌は彼の口内へと収まった。
 彼の舌で侵される口内が気持ち良くて、もっと気持ち良くなりたくてクリトリスを彼の腹に擦れば、

 「…あぁ…リリィ…」

 くちゅっと濡れた秘所が大雅の滾ったモノを擦った。いつの間にか取り払われたバスタオル。悠莉が何度も上下に腰を動かせば、大雅の滾ったモノは濡れた秘所を擦り、入りそうで入らないのもどかしさに、

 「入れて?」

 恍惚とした表情で強請られて、頷きそうになるのを何とか堪えた。

 ゆるゆると腰を動かせば、滾った自身を擦られて、気持ち良さに力が抜けそうになる。
 大雅はこのひと月、禁欲に近い生活をしていたから、少しでも挿入したら理性が飛んでしまう。誘惑に負けそうで、大雅は悠莉を抱き上げ直して寝室へと向かうことにした。

 「ああん、タイガの気持ちいいのぉ」

 歩く振動に、大雅の自身が蜜口に触れ、入るかのギリギリのところを掠めていく。ぐずぐずに溶かされた悠莉は請うように大雅の耳朶に唇を寄せた。

 ベッドまでたどり着き、悠莉をそっとベッドに横たわらせ、彼女のトップスを脱がす。
 現れた二つの淡い果実とその膨らみに、大雅の喉がゴクリとなった。膝立ちで彼女を見下ろせば、悠莉は足を開き、そして両手で恥ずかし気に秘所を開いた。

 「入れて?」

 首を傾げ恥ずかしそうに強請る悠莉の姿に、大雅はベッドサイドテーブルからコンドームを掴み取り、口にくわえて硬く滾った自身を見せるように扱く。それは芸術品のような立派さに、悠莉は扱かれるそれから目を離すことが出来なかった。

 コンドームの袋を口でちぎり、ゴムを取り出して自身へ被らせる。そこから、大雅の理性は切れた。

 「ひゃあああ…」

 広げられて露わにされた秘所に顔を近づけて、舌で突起物を探す。見つけた突起物を吸い上げれば、ビクビクッと悠莉の身体が小さく跳ねた。与えられる官能に溢れだす蜜が大雅の口を濡らしていく。

 顔を上げれば、感じすぎて喘ぎ震える悠莉に、彼女の蜜で濡れた口周りを手の甲で拭き、右手は突起物を捏ねくりまわしながら、彼女の唇に軽く触れると、左手で胸を掴み果実の一つを口に含み、舌で転がしてたまに奥歯で甘噛みし、乳輪回りを舐め、柔らかな乳房に強めに吸って痕を付ける。

 隣の触ってない方の胸を見れば、触っていないのに起った乳首に、息を吹きかけて、ちろっと舌先で突く。

 「イク、イク、イッちゃ――」

 声にならない嬌声と、ビクビクッと弾む身体に、突起物を強めに摘まめば彼女の身体が大きく弾んだ。
 イッた彼女の蜜口に、もう限界に滾った自身をあてがい、彼女の溢れた蜜を纏わせてパクつくそこに誘われるままに沈めた。

 「ん…ああっ、…」
 「ああ…久しぶりのまんこ、すげぇ締まる…」

 久しぶりの蜜道は狭くて、大雅の硬くなったそれを拒むかのようで、その圧迫感が気持ち良くて堪らない。逆らうように進めれば、きつく締めあげてくる感触に射精しそうになるのを息を吐いてやり過ごす。
 一度、引いてから一気に進めれば、

 「あ、あぁん…」

 さらに質量を増した大きさに、目の前が真っ白になって身体がまた大きく弾んだ。
 悠莉がイッた時の子宮の収縮が、拒んでいたのが噓のように奥へと奥へと誘う。何度か腰を振り、すぐにやってきた射精感に従って射精した。

 「気持ち良過ぎて秒でイク…」

 ビュービュッビュッと止まらない射精に苦笑しながら、蜜道から引き抜いた。
 大雅は自身に被せていたゴムを取り換える。射精しても滾ったままの自身を、蜜口に当ててゆっくりゆっくりと蜜道内の感触を確かめるように進め、全部奥まで入れて息を吐く。
 動かないのが不満なのか子宮内は、きゅうきゅうと動けと大雅の滾ったモノを急かしだす。その感触も堪らない。奥へ進めれば絡みつき離さないと云わんばかりの締まり具合に、引き抜いては進めるを繰り返す。

 「あっ、あっ、んぁ…」

 律動に合わせて出る悠莉の喘ぎ声に、てらてらと蜜を纏って蜜道を出し入れする滾った自身と、その蜜道の締め付けが、聴覚も視覚も触覚さえもやらしく刺激し、気持ち良くて永遠に続いてほしいと思ってしまう。

 「リリィ、」

 名を呼び、彼女の腕を引っ張り上体を起こす。悠莉は、大雅のを咥えたまま膝の上に乗った。

 「ああ…ん…」

 深く繋がるそこに、今日一番の快楽が襲う。
 クリリトスが擦れて気持ち良くて、下から突かれるのに振り落とされないように大雅の首にしがみつく。

 「あん、あん、あん」
 「リリィ、リリィ、リリィ」
 「…たい、がぁ…」

 ビクビクッと痙攣する悠莉。強い締め付けに、気持ち良過ぎて目がくらむ。
 律動を止め彼女を抱きしめれば、柔らかい感触と愛しさが身体中を満たしていく。
 甘い香り漂う首筋に吸い付いて痕を残す。赤く色を付けた首筋に満足して、律動を再開する。ゆるゆるとゆっくりと。

 「…ん、や…タイガ、もっとぉ…」

 緩慢な動きに焦れて悠莉が腰を動かした。

 「ああ…リリィ、そんなにしたら……」

 上下に蜜道で扱かれて、押し寄せる射精感に堪らなくなり、悠莉を横たえると激しく腰を振った。

 「ぁあ、ああ…イクぅ」
 「俺も…イク!」

 大雅の滾ったモノから射精されるのを搾り取るような締め付けた。


 暫くは悠莉の中に居たくて、抜かぬまま彼女の横に寝転んだ。未だにビクビクッと痙攣する悠莉を抱きしめる。




 充足感と安心感が二人の心を満たしていく。

 気持ち良い眠気が訪れて、二人は眠りについた。







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