我慢ができない勇者くん。

かろ丸

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おしっこすると戻されるダンジョン

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「アルバ…はやいって」

 さっきまではルカのほうがおいていく勢いで歩いていたのに、いつの間にかアルバのほうが随分とまえをあるいていて、おいていかれないように、小走りで追いついてアルバの服の袖をひっぱった。

「ルカが遅いんだろ」

 アルバが笑う。
 一度お漏らしをして入り口まで戻されたダンジョンを、二度目に歩きだしてからまだ2時間もたってない。
 1度目で道も敵も覚えたため、2回目のダンジョンはかなり早く進むことができたものの、まだそれほど立っていないのにすでにはっきりと無視できないほどに尿意を感じだして苦しい。
 一度漏らした服は一度目で訪れた泉に立ち寄ってざっと水をかけて洗いはしたものの、ほぼ絞っただけで乾かす時間をおしんででてきたため、濡れたままだ。その服がベッタリと足に張り付き体を少しずつ冷やして、それがまた尿意を誘う。
 あの泉。あれに立ち寄らなければよかった。このダンジョンでは泉を出るのにも条件がかせられるらしく、出るために小さめの水瓶いっぱいの水を飲めといわれ従った。
 その水が容赦なくこの短時間でたまってきて、膀胱がもう結構ふくらんで力を入れていないと出てしまいそうなほど尿意がちかい。
 敵を倒すたび、どうしても腹圧がかかってへんなこえがもれた。

「んっ、ふ」

「喘ぐなよ」

「喘いでない!」

 全くそんなつもりはなくて強く否定すると、アルバは鼻で笑う。癪に障るものの口論をする気力もおしくてイライラししながら先へ進んだ。
 

 といれ…おしっこ…
 何をしててもずっとおしっこがしたくてあたまがいっぱいで気が散る。ソワソワとしすぎて手が震えて素材を拾うのにも何度も取り落として落ち着かない動きを繰り返しては、気づけばアルバが素材をほとんど全部拾ってくれていて、先に進むようになっていた。
 だしたい…。一旦出さなきゃ、最後まで絶対もたない。頭は尿意でいっぱいで、最後までクリアすることよりもどうやってアルバに足を止めて納得してもらおうということばかり考えていた。
 波が来るたび何かと理由をつけて立ち止まってしまうから、全然進まないし、ちょっとアルバに断って済ませたほうがいいのに次でクリアすると大見得を切った自分を取り消せなくて尿意に耐えた。

「そんなんじゃいつまで立っても進まないよ」

 モンスターを倒したあと、ズボンをぎゅ…とつかんで括約筋をしめて波に耐えて立ち止まっているとアルバは退屈そうに呆れた声で言った。
 動いているときは気を張っているのもあって気が紛れるものの、急に立ち止まった瞬間にいつもきゅぅう…と膀胱が縮もうとして、おしっこがあふれそうになる。

「俺は別にゆっくり進んでもいいけど、ゆっくりしてたら困るのはルカだと思うけどな」

 ゆっくりしたくてゆっくりしてるわけじゃない!と言ってやりたいが、我慢してるせいだなんていえない。アルバだってまだ一回もトイレに行ってないはずなのに、余裕な顔が憎たらしい。なんで、だしたはずの俺のほうが限界なんだ…?

「なぁお前…といれ行きたくないの」

「なに?ルカ、もうおしっこ我慢できないの?」

 純粋な興味で聞いただけなのに、子供に聞くみたいにこちらの尿意を指摘されてカッとなって反射的に否定する。

「ばっ……親切心でおまえに聞いてんだろ!」

「そうか。大丈夫なんだ?我慢できないならしちゃって戻ってもいいよって言おうと思ったんだけど」

「え」

 してもいい、と言われた瞬間頭に放尿するイメージが浮かんで、膀胱が勝手に収縮し始める。

「あっまっ…て、ちが」

 焦って股間を押さえてからだにちからをいれる。少しだけちびってしまったものの、出ずに済んではぁはぁといきをととのえた。
 もう眼の前で盛大に我慢した仕草を見られてしまったし…意地を張ってももたないとアルバに許可を取ろうとすると、遮るようにアルバはいった。

「さっきだしたばっかりだし、そんなにすぐにトイレに行きたくなるはずがないよな。ルカが我慢出来ないんじゃないかなんて疑って悪かった。俺に気を使ってくれてありがとう」

 いつもそんな丁寧な話し方しないくせに。さっきみっともなく我慢するところをしっかり見ていたのに。アルバは態とらしくしおらしい顔をしてみせる。
 ながされちゃだめだ。トイレしてくるっていわなきゃ。眼の前で出口を抑えるのは恥ずかしくてでも我慢する動きを止めたらでちゃいそうでズボンを握って引っ張って、そわそわちいさく足踏みをくりかえした。

「アル「ルカほど立派な勇者がおしっこがしたくてまた戻るなんてことありえないよな」

 食い気味に被せられた言葉が、戻ると言わせてくれない。思ってもない言葉を、並べやがって。
 こんな言葉なんてことない。無視して今出したいって言ってしまえば苦しいお腹が解放されるはず、煽られながらしたいなんて言うのはあまりに恥ずかしいけど、でもまた漏らすよりは、と顔があつくなるのを感じながらアルバの服の裾を引っ張った。

「アルバ…っおしっこ…」

 したい、までは言えず、でも伝わるだろうと顔を伺えばにこ、とわらってそっと裾を握った手を下ろさせた。

「わかってるよ。まだおしっこがまんできるって。いこうか」

 背を向け歩きだされ、意を決していった言葉が無視されたことに戸惑って何も言うことができず、先に行く彼を無視して出せるときはないかと周囲を伺ったものの、結局重い下腹部を抱えたまま後をついていった。



 幸い、歩いているうちに波がひいておなかはすこしいたいもののまだ我慢できそうだと思えるようになってきた。
 少し先に進むと、当たりか外れか中ボスらしき大きな植物がいる部屋に入った。どうやらそれが居座っている根のもとに次の扉があるらしい。
 赤い百合のような花がパックリとこちらに向けて口を開けていて、蔦を壁や床にはわせている。見た目は美しいものの、体長のでかさは人を喰いそうだ。
 内心これがラスボスならしめたと思ったのに、このダンジョンのランクではこれがラスボスなはずないことはすぐにわかる。
 
 倒さなければ進めないならさっさと切り倒してしまおうと走って進むとその植物はこちらに向けて花から液体を吐いてきて、後ろへ回避した。
 液体を吐き続けるために近づけず、この狭い空間で魔法を使うことはあまりしたくなかったが魔法でどうにかするしかないか、と火焔魔法を唱えようとしたところ、壁際にいたアルバの方へ植物がツルを伸ばした。

「アルバっ」

 ツルを剣で切り落とし、アルバと植物の間に入ると切り落としたツルの切り口から液が飛び散り、身体に飛沫がかかった。 
 幸いにアルバは無傷でホッとして植物の核でありそうな花の部分を最小限の火で燃やすと、多少嫌な煙がでたもののあっという間に植物の動きは止まり、その下に人一人分が入れるような隙間を開けて枯れ落ちた。そこには次の部屋につながる扉がみえる。

 ぞく、と急に尿意がまた猛烈に押し寄せて思わずちんちんを抑えた。
 さっきからずっとしたかったけど、急に抑え切れそうもない尿意がやってきて戸惑う。
 体をくの字によじらせて、足踏みをくりかえすと、ぴちゃ、と音がして、うっかり花が出した液体を踏んでブーツが少し少ししみるのを感じた。
 意識もせずに溢れそうな尿意を我慢しながらその液体を見ていると、瞳に宿した祝福スキルが発動してその液体を解析し始める。

『地下に生える巨大花の体液。強力な利尿作用をもつ。医療用に高価に取引されている。内服する他皮膚吸収でも即効性がある』

 ご丁寧に解析された結果が流れ込み、ぞっとして液体から離れた。
 排泄するなと言ってみたり、排泄を促すものをおいてみたり、ダンジョンの意図がわからない。

(どうしよう、もうもれちゃう…もれちゃう)

 内腿が震えてきて、ジワ、ジワ、と股間にあたたかさをかんじる。
 アルバはこの液体が何なのか知ってか知らずか触れもせず小瓶に詰め素材として回収していた。
 その作業を横目に見ながら、せっかく中ボスらしきものを倒したのに、このままじゃまたアルバも一緒に入口に戻らせてしまうかもしれないとじわじわと股間にあたたかさがひろがっていくのを感じながら焦った。

「ぅ…ゃだ…っ」

 止まって止まって、とちんちんを揉み込んでいるとようやく下にどうにか水たまりを作ることなくおしっこがとまった。

「はっ…は…」

 でも、動いたらでそうで膝をついて座り込んでいると、作業の終わったアルバが近づいてきた。

「終わったから行こう」

 そういわれアルバの顔を見上げる。手が離せなくてみっともないかっこうのまま。少しでも気を抜いたらでちゃう。我慢してももう動けないしどうにもできないとわかっていても、股間を抑えたまますこしでもその時を先延ばしにしようともだえる。

「ぁ…ぁ…っでちゃぅ…」

 うわ言のようにつぶやいてから、アルバも一緒に戻されるならだしていいかきいておかなきゃとふとあたまにうかんだ。

「アルバ…だ、だして、いい?」

 こんなふうに許可など取る必要はないはずだが、罪悪感も相まって懇願するように震えながらアルバに許可をもとめた。アルバは少し考えるような素振りを見せ、扉を指差す。

「せっかくなら扉の向こうに行ってからにしたら?」

「だめ…っも…でる、でちゃ…ぁ…っ」

 止まってたはずの水流がまた指をすり抜けて流れ始める。

「ぁあ…っぁ、あ」

 じゅわぁ…ぽたぽたぽたと床に水滴が落ちてひろがっていく。我慢をしてるのにでてしまうのが気持ち良くて自然と声も漏れる。
 パァァァと魔法陣が現れ、入口に強制的に戻された。それを確認してもう我慢しなくていい、とおそるおそる力を緩めると、ジョォオオオオッと勢い良く音をたてておしっこが溢れ出した。膝立ちのたいせいからから地べたにぺたん、とすわっておしっこの解放感に浸った。
 入口にはモンスターがいたけれど腰がぬけてしまって、防御魔法で結界を張るくらいの余裕しかなく、おしっこが広がっていくのを感じているだけで頭もろくに回らない。
 雑魚敵だったのもあり、アルバが代わりに倒してくれている間呆然としていると、結界内に偶然すり抜けた子供スライムがおもらしにつられてぽよん、ぽよん、と音を立てて跳ねてルカの足元まで近づいた。

 普段ならばすぐつぶして殺すはずなのに、敵意の全くないスライムがジュゥウウと音を立てておしっこをすい始めるのを、無邪気さにぼんやりとゆるしてしまったのが間違いだった。
 スライムは床の水たまりを吸ったあと、ズボンをきれいにするように足から股間にまとわりついてじゅうじゅう尿を吸い取り始める。

「ぅっあ」

 股間にまとわりついたスライムが服にしみた尿をすうたびに、性器まで揉み込まれ吸い付かれるような刺激を感じ、おもらしでゆるく立ち上がったちんちんがスライムによってどんどん硬くなっていった。

「あぁ…っだ、め」

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