29 / 42
29.支援役ロベル 魔族四天王のひとりをカンタンに倒す②
しおりを挟む「けど、あんた。本当は、あと3回しか復活できないんだろ?」
「クカカカカカ……カ?」
「それならあと4回だけ、あんたを倒せばいい。カンタンな話だ」
「な!? なな、なななななななな!?」
魔族は動揺しまくっている。
「あ、あ、ああああアナタは何を言っているのです!?」
「さっきあんたが復活するとき、マントの宝玉が砕けてたろ?」
「いっ!?」
「宝玉は残り3つ。それが、あんたの復活の限界ってわけだな」
「バ!? ババ!? ババババカなことを!? なななな何を根拠に!?」
「根拠なんてない。状況から判断しただけだ。ま、あんたの態度が何よりの証拠だろうけどね」
「ぐぐっ……クク……クククク……」
魔族がふるえ出したか思うと。
「クククククククク……クカカカカカカカ! クカーーーーーーーーーーーッカカカカカカカカカカ! クカーーーーーーーーーーーーーーーーーーッカカカカカカカカカカ!」
いきなり高笑いを始めた。
「このワタシ! 『不死のガイナ』を! あと4回も倒す!? 倒せるものなら倒してみなさい! 人間ごときにその様なマネができると! 本気でお考えなのですかァ!?」
「本気も何も。今さっきカンタンに倒したし」
「ホザくなあああああァァァァァ! ならばワタシも全力を出しますよおおおおォォ! 受けて見よおおおおおおォォォォ! 『不死のガイナ』の究極暗黒魔――」
「させないよーーー! セイクリッド・サンライトォォ・ブレイジングウェェェェェェェェブ!」
魔族の先手を打ち!
サミーの体と『太陽のペンダント』から、オレンジ色の波動がほとばしった!
カアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!
「ノギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!?」
魔族は一撃で倒れた。
パキイイイイイイイイイイイイイイイイン!
魔族のマントに埋め込まれた、宝玉の1つが砕け散る。
残りはあと2つ。
バシュウウウウウウウウウウウウウウウ!
あふれ出た闇を受け、魔族が復活する。
「こ、こここここの小娘がぁぁぁぁぁぁぁ!? ブチ殺して――」
「スキだらけですね! ジャスティス・ホーリーライト・ヴォルテックス!」
今度はアンリの体と『光のペンダント』から、白い光の渦が放たれる!
パアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!
「ホギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!?」
魔族はあっさり倒れ伏す。
パキイイイイイイイイイイイイイイイイン!
宝玉が1つ砕け散る。
残りは1つ。
バシュウウウウウウウウウウウウウウウ!
闇に包まれ、魔族が再生する。
「き、ききききキサマぁぁぁぁぁぁぁ!? エルフごときが、エルフごときが魔族に盾つくなどと――」
「まだ終わりじゃない。ディバイン・ムーンライト・エクスプロード」
続けてトウナの全身と『月のペンダント』から、金色のエネルギーがあふれ出る!
ブアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!
「ゴゲァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!?」
魔族は一瞬で崩れ落ちる。
パキイイイイイイイイイイイイイイイイン!
最後の宝玉が砕けた。
残りはゼロ。
バシュウウウウウウウウウウウウウウウ!
闇があふれ、魔族の体を包むが。
「ば、バカな!? バカなバカなバカなバカな!? こんなバカなぁぁぁぁぁぁ!? 『魔族四天王』のこのワタシが!? 『不死のガイナ』様が!? なぜこんな小娘ごときにぃぃぃぃぃ!? いったいなぜえええええええええええええええええええぇぇ!?」
……はあ。何言ってんだか。
「言うほどたいしたことないよ、あんた」
「なっ!?」
「さっき無限によみがえる、とかウソついただろ? 本当は4回しか復活できないクセに」
「ぐぬっ!?」
「最初に瞬殺されてビビったのか? とても『四天王』とは思えないセコさだね」
「あぐっ、ぐぐぐ……!」
「今だって。小娘ごときに、とか言ってたけどな。はっきり言って格が違うよ。サミーもアンリもトウナも、あんたの100倍は強い」
「がっ、がっ、がががががが……」
……さて、と。
「宝玉はぜんぶ砕けたな」
「ヒ、ヒィッ!?」
「チェックメイト、ってとこか」
「まままま待て! 待ってくれ! わかった! アナタ方の力はよくわかりました! ワタシから魔王様に掛け合ってみましょう!」
「掛け合う?」
「そそそそそその通りでございます! アナタ方を魔王様の側近にしていただけるよう、ワタシが頼んであげましょう! これからこの世界を手に入れる、偉大な魔王様の右腕になれるのです! 悪い話じゃないでしょう!?」
「断る」
即決した。
何ひとつ迷う余地がなかった。
「なっ!? ななな!? なななな、なぜ!?」
「邪悪な野望の支援なんてゴメンだね。ついでに言うと、目立つのは好きじゃないんだ」
「い、いいいいいったいアナタは何者なのです!? まさか!? かつて魔王様を倒した、勇者の生まれ変わりだとでも!?」
「違う。ただの『支援役』だ。あんたを倒せる程度のな」
「ヒイイイイイイイイイイイイイアアアアアアアアアアアアアアアアア!? ヒアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!」
いきなり魔族が逃げ出した。
転移魔法を使う余裕もないらしい。
「悪いけど、逃がすつもりはない」
俺は魔族の背中に、ショートソードを投げつける。
ドシュッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッ!
「ぐあああアアアア! ウソだああああああアアアアアアアアア!? なぜ不死のガイナが死ななければならんノダアアアアアアアアアア!? ワタシガ死ヌハズガナイ! 死ヌハズガナインンンダアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァ…………」
魔族の体とマントはチリとなり、消滅していった。
「もう復活してこないな! これにて完全決着だ!」
「やったねお兄様! すっごくすっごくすーーーーーっごくカッコよかったよ!」
「魔族四天王、ひとり目を撃破ですね! さすがはあなた様! わたし、ほれぼれしちゃいました!」
「主様の力で完封」
「いやいや! すごいのはみんなの神聖魔法だよ! 俺の支援スキルなしでも、メチャメチャ威力が出てたじゃないか!」
「へへー! ステータスがマックスになったおかげだね! つ・ま・り! ステータスを上げてくれたお兄様のお・か・げ!」
「すべて、あなた様のお力です! あなた様が先を見通して、わたしたちを強くしてくれたからこそ! ですよ!」
「主様は偉大。世界でいちばん偉大」
「そんなことないさ! 全部みんなの力だよ!」
……しかし。
「魔族四天王が出てくる状況、か」
「魔王は本気で、世界を侵略する気なんだね」
「わたしたちも、急いで手を打たなければいけません」
「主様。ご指示を」
……そうだな。
「少し、散歩してきてもいいか? 歩きながら、考えをまとめたいんだ」
□ □ □
俺はみんなと離れ、ぶらぶら歩き出す。
前にアンリが言ってた話が、頭の中でぐるぐる回る。
『文献によりますと。かつての勇者様はレベル66で魔族四天王を、レベル77で魔王を倒したそうですよ?』
「俺の今のレベルは1,934。過去の勇者をぶっち切っている」
もちろん。
魔族四天王や魔王が、以前よりもパワーアップしてよみがえった可能性は高い。
しかし。
それでも。
「俺にはたった今、四天王のひとりを完封した事実がある」
ここから導き出される結論は、ひとつ。
いくら慎重に考えても、ひとつ。
「俺は魔王を倒せる」
……そうだ。
さっき、自分で言ったばかりじゃないか。
『レベルやステータスが高くても。スキルをたくさん使えても。力を見せびらかすだけじゃ意味がない。大事なのは手にした力で、どんな支援ができるか、だからな!』
……よし。
「覚悟を決めるか。俺が『支援役』であり続けるためにも、な」
7
お気に入りに追加
1,108
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
クラス転移して授かった外れスキルの『無能』が理由で召喚国から奈落ダンジョンへ追放されたが、実は無能は最強のチートスキルでした
コレゼン
ファンタジー
小日向 悠(コヒナタ ユウ)は、クラスメイトと一緒に異世界召喚に巻き込まれる。
クラスメイトの幾人かは勇者に剣聖、賢者に聖女というレアスキルを授かるが一方、ユウが授かったのはなんと外れスキルの無能だった。
召喚国の責任者の女性は、役立たずで戦力外のユウを奈落というダンジョンへゴミとして廃棄処分すると告げる。
理不尽に奈落へと追放したクラスメイトと召喚者たちに対して、ユウは復讐を誓う。
ユウは奈落で無能というスキルが実は『すべてを無にする』、最強のチートスキルだということを知り、奈落の規格外の魔物たちを無能によって倒し、規格外の強さを身につけていく。
これは、理不尽に追放された青年が最強のチートスキルを手に入れて、復讐を果たし、世界と己を救う物語である。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
大器晩成エンチャンター~Sランク冒険者パーティから追放されてしまったが、追放後の成長度合いが凄くて世界最強になる
遠野紫
ファンタジー
「な、なんでだよ……今まで一緒に頑張って来たろ……?」
「頑張って来たのは俺たちだよ……お前はお荷物だ。サザン、お前にはパーティから抜けてもらう」
S級冒険者パーティのエンチャンターであるサザンは或る時、パーティリーダーから追放を言い渡されてしまう。
村の仲良し四人で結成したパーティだったが、サザンだけはなぜか実力が伸びなかったのだ。他のメンバーに追いつくために日々努力を重ねたサザンだったが結局報われることは無く追放されてしまった。
しかしサザンはレアスキル『大器晩成』を持っていたため、ある時突然その強さが解放されたのだった。
とてつもない成長率を手にしたサザンの最強エンチャンターへの道が今始まる。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
無能扱いされ会社を辞めさせられ、モフモフがさみしさで命の危機に陥るが懸命なナデナデ配信によりバズる~色々あって心と音速の壁を突破するまで~
ぐうのすけ
ファンタジー
大岩翔(オオイワ カケル・20才)は部長の悪知恵により会社を辞めて家に帰った。
玄関を開けるとモフモフ用座布団の上にペットが座って待っているのだが様子がおかしい。
「きゅう、痩せたか?それに元気もない」
ペットをさみしくさせていたと反省したカケルはペットを頭に乗せて大穴(ダンジョン)へと走った。
だが、大穴に向かう途中で小麦粉の大袋を担いだJKとぶつかりそうになる。
「パンを咥えて遅刻遅刻~ではなく原材料を担ぐJKだと!」
この奇妙な出会いによりカケルはヒロイン達と心を通わせ、心に抱えた闇を超え、心と音速の壁を突破する。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
ザコ魔法使いの僕がダンジョンで1人ぼっち!魔獣に襲われても石化した僕は無敵状態!経験値が溜まり続けて気づいた時には最強魔導士に!?
さかいおさむ
ファンタジー
戦士は【スキル】と呼ばれる能力を持っている。
僕はスキルレベル1のザコ魔法使いだ。
そんな僕がある日、ダンジョン攻略に向かう戦士団に入ることに……
パーティに置いていかれ僕は1人ダンジョンに取り残される。
全身ケガだらけでもう助からないだろう……
諦めたその時、手に入れた宝を装備すると無敵の石化状態に!?
頑張って攻撃してくる魔獣には申し訳ないがダメージは皆無。経験値だけが溜まっていく。
気づけば全魔法がレベル100!?
そろそろ反撃開始してもいいですか?
内気な最強魔法使いの僕が美女たちと冒険しながら人助け!
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
スキル間違いの『双剣士』~一族の恥だと追放されたが、追放先でスキルが覚醒。気が付いたら最強双剣士に~
きょろ
ファンタジー
この世界では5歳になる全ての者に『スキル』が与えられる――。
洗礼の儀によってスキル『片手剣』を手にしたグリム・レオハートは、王国で最も有名な名家の長男。
レオハート家は代々、女神様より剣の才能を与えられる事が多い剣聖一族であり、グリムの父は王国最強と謳われる程の剣聖であった。
しかし、そんなレオハート家の長男にも関わらずグリムは全く剣の才能が伸びなかった。
スキルを手にしてから早5年――。
「貴様は一族の恥だ。最早息子でも何でもない」
突如そう父に告げられたグリムは、家族からも王国からも追放され、人が寄り付かない辺境の森へと飛ばされてしまった。
森のモンスターに襲われ絶対絶命の危機に陥ったグリム。ふと辺りを見ると、そこには過去に辺境の森に飛ばされたであろう者達の骨が沢山散らばっていた。
それを見つけたグリムは全てを諦め、最後に潔く己の墓を建てたのだった。
「どうせならこの森で1番派手にしようか――」
そこから更に8年――。
18歳になったグリムは何故か辺境の森で最強の『双剣士』となっていた。
「やべ、また力込め過ぎた……。双剣じゃやっぱ強すぎるな。こりゃ1本は飾りで十分だ」
最強となったグリムの所へ、ある日1体の珍しいモンスターが現れた。
そして、このモンスターとの出会いがグレイの運命を大きく動かす事となる――。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
復讐完遂者は吸収スキルを駆使して成り上がる 〜さあ、自分を裏切った初恋の相手へ復讐を始めよう〜
サイダーボウイ
ファンタジー
「気安く私の名前を呼ばないで! そうやってこれまでも私に付きまとって……ずっと鬱陶しかったのよ!」
孤児院出身のナードは、初恋の相手セシリアからそう吐き捨てられ、パーティーを追放されてしまう。
淡い恋心を粉々に打ち砕かれたナードは失意のどん底に。
だが、ナードには、病弱な妹ノエルの生活費を稼ぐために、冒険者を続けなければならないという理由があった。
1人決死の覚悟でダンジョンに挑むナード。
スライム相手に死にかけるも、その最中、ユニークスキル【アブソープション】が覚醒する。
それは、敵のLPを吸収できるという世界の掟すらも変えてしまうスキルだった。
それからナードは毎日ダンジョンへ入り、敵のLPを吸収し続けた。
増やしたLPを消費して、魔法やスキルを習得しつつ、ナードはどんどん強くなっていく。
一方その頃、セシリアのパーティーでは仲間割れが起こっていた。
冒険者ギルドでの評判も地に落ち、セシリアは徐々に追いつめられていくことに……。
これは、やがて勇者と呼ばれる青年が、チートスキルを駆使して最強へと成り上がり、自分を裏切った初恋の相手に復讐を果たすまでの物語である。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
俺だけに効くエリクサー。飲んで戦って気が付けば異世界最強に⁉
まるせい
ファンタジー
異世界に召喚された熱海 湊(あたみ みなと)が得たのは(自分だけにしか効果のない)エリクサーを作り出す能力だった。『外れ異世界人』認定された湊は神殿から追放されてしまう。
貰った手切れ金を元手に装備を整え、湊はこの世界で生きることを決意する。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
スキルハンター~ぼっち&ひきこもり生活を配信し続けたら、【開眼】してスキルの覚え方を習得しちゃった件~
名無し
ファンタジー
主人公の時田カケルは、いつも同じダンジョンに一人でこもっていたため、《ひきこうもりハンター》と呼ばれていた。そんなカケルが動画の配信をしても当たり前のように登録者はほとんど集まらなかったが、彼は現状が楽だからと引きこもり続けていた。そんなある日、唯一見に来てくれていた視聴者がいなくなり、とうとう無の境地に達したカケル。そこで【開眼】という、スキルの覚え方がわかるというスキルを習得し、人生を大きく変えていくことになるのだった……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる