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17.支援役ロベル SSSランク・モンスターを配下に置く
しおりを挟むワンズ王国を目指し、俺は歩みを進める。
今回は『ゴッド・スピード』を使っていない。
少し、考えごとをしたかった。
トウナの件も含めて、頭を整理しておきたかったからだ。
歩きながら、俺は考える。
「これから俺には仲間が増える。『太陽の聖女』サミーに、『光の聖女』アンリ。それから……いや」
最後のひとりは、まだ決まったわけじゃないか。
「パーティーを組むとなると、『支援役』としての仕事は一気に増えるな。今のうちに、これからの戦略や戦術を考えておこう」
必要になりそうなものといえば……そうだ。
「広範囲への攻撃手段」
1対1ではSランク・モンスターをカンタンに倒せても、複数相手では話が違うだろう。
たぶん。
おそらく。
「数の暴力で押されてるうちに、支援が遅れて仲間を守れなかった! なんてのは許されないからな」
そういえば。
「気になるスキルがあったんだよな。今後の役に立ちそうなヤツが」
ステータス画面から支援スキル一覧を開く。
ズラッと表示された中に、目をひくスキルが1つ。
『モンスター・テイマー(セットして戦うと、倒したモンスターが確率で手なずく。手なづけたモンスターはアイテム・ボックスに収納され、いつでも召喚可能)』
「これだ! 範囲攻撃できるモンスターを召喚できれば、支援の幅も大きく広がるだろう!」
よし。
まずは下調べだな。
「スキル『モンスター・ライブラリ』発動! コンプリート・モンスター図鑑を表示!」
表示されたモンスター・データを眺め、スペックと手なずく確率を確認していく。
『ゴブリン:Fランク・特徴なし(手なずく確率 1/50)』
『コボルト:Fランク・特徴なし(手なずく確率 1/70)』
「キビしいなー。ゴブリンやコボルトでもこの確率かー」
スペックに対して、手なずく確率が低すぎる。
「モンスター・ランクが上がれば上がるほど、手なずく確率はどんどん低くなるんだろうし……って」
あれ?
ちょっと待てよ?
ピンと来たぞ!
「そうだよ! 『エンカウント操作・インスタント』の『瞬殺』を使えばいいんだ! 何体でも呼び出せるなら、数の暴力で確率を押しつぶしちゃえばいい! プラチナメタル・ブレスレットのときと同じ理屈じゃないか!」
……まあ、そうは言っても。
「今度の相手はアイテムじゃなくて、モンスター自身だからなー。いくら反則スキルでも、さすがにそこまで甘くない……か?」
とりあえず、ダメもとで試してみよう。
「スキル『モンスター・テイマー』をセット!」
からの、まずはおためしで。
「『エンカウント操作・インスタント』使用! 種類はコボルト、数は100体、瞬殺するか? はイエスで!」
ポンポンポンポンポンポンポンポンポンポン!
大量に現れたコボルトが。
バシュッバシュッバシュッバシュッバシュッバシュッバシュッバシュッバシュッバシュッ!
次々に消し飛んでいく。
「うーん。ハデに消し飛んじゃってるしなー。さすがにこれで手なずくのは無理か?」
『200の経験値を手に入れました』
『200のスキルポイントを手に入れました』
『コボルトを1体 手なづけました』
「……いけちゃうんだ。消し飛んでるのに」
恐るべし、『エンカウント操作・インスタント』。
恐るべし、チート覚醒。
仕組みはサッパリわからないけど、とにかく恐るべし。
「よーし! そういうことなら選び放題! もう1回『モンスター・ライブラリ』発動!」
あらためてモンスター・データを表示し、片っ端から目を通していく。
「広範囲攻撃持ちが最低条件だな。あとはスペックが優秀で、飛行能力なんかもあるとありがたい」
ターゲットを絞って調べていくと、2体のモンスターが目に留まった。
『ドラゴン・タイラント:SSSランク・飛行可能・灼熱の炎(仲間になる確率 1/15000)』
『フェニックス:SSSランク・飛行可能・聖なる炎(仲間になる確率 1/15000)』
「この2体だ! ランク的にもスペック的にもまちがいないだろう!」
そうと決まれば!
「『エンカウント操作・インスタント』使用! 種類はドラゴン・タイラントとフェニックス、数は20,000体ずつ、瞬殺するか? はイエスで!」
ポンポンポンポンポンポンポンポンポンポン!
巨大な黒い暴君龍と、赤い炎をまとった不死鳥が。
バシュッバシュッバシュッバシュッバシュッバシュッバシュッバシュッバシュッバシュッ!
現れては消し飛んでいった結果。
『600,000,000の経験値を手に入れました』
『600,000,000のスキルポイントを手に入れました』
『ドラゴン・タイラントを1体 手なづけました』
『フェニックスを1体 手なづけました』
『レベルアップ! ロベル・モリスのレベルが844になりました』
「オッケー! 1発でダブル・ゲット!」
アイテム・ボックスを確認すると、まちがいなく『召喚:ドラゴン・タイラント』と『召喚:フェニックス』が表示されていた。
「カンタンに手なづけたけど、問題は俺だな。いくらモンスターが強力でも、俺がきちんと指示を出せなきゃ意味がない」
いつもみたいに、ここは慎重にいくとしようか。
「ぶっつけ本番はリスクが大きいからな。今のうちに練習しておこう」
相手に選ぶのは、前にも倒したSランク・モンスターたち
「『エンカウント操作・インスタント』使用! 種類はマスター・ゴーレムとグレート・デーモン、数は5体ずつ、瞬殺するか? はノーで!」
俺が宣言すると。
「ガオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!」
「キシャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!」
目の前に、Sランク・ゴーレムとSランク・デーモンの群れが出現した。
すかさず俺は宣言する!
「コール、ドラゴン・タイラント! コール、フェニックス!」
すると。
「グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!」
「クオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!」
暴君龍と不死鳥が、俺の左右に出現する。
感覚でわかった。
「力の差は圧倒的だ。召喚モンスターたちに支援スキルを使うまでもない」
よし、一気に決めるぞ。
「ドラゴン・タイラントはマスター・ゴーレムに灼熱の炎を! フェニックスはグレート・デーモンに聖なる炎だ!」
俺の号令を受け。
「グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!」
ドラゴン・タイラントの口からは、灼熱の炎が吐き出され。
「クオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!」
フェニックスの全身から、光り輝く炎が放たれる。
ゴアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!
「ガォォォォォォォォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!?」
「ギャォォォォォォォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!?」」
ドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!
すべてのゴーレムとデーモンが、チリひとつ残さずに消滅した。
『200,000の経験値を手に入れました』
『200,000のスキルポイントを手に入れました』
「オッケー! 手ごたえはつかんだ! 案外カンタン! これだけの威力の範囲攻撃があれば、今後の大きな助けになるはずだ!」
結果に満足した俺は、『モンスター・テイマー』を解除する。
「とりあえずはこの2体で十分だろう! 状況が変わったら、またお世話になるとしようかな!」
……って。
うーーむ。
冷静に考えると。
「もしかして俺……またもやなんかすごいこと、しちゃってる?」
反則級スキル『エンカウント操作・インスタント』所持。
支援スキルは1,000個取得済み。
伝説級の防御アイテムゲット。
さりげなくレベルは800を突破。
加えてSSS・ランクモンスターを2体召喚可能。
「ま、いいか。あんまり気にしないにしよう」
そうだ。
イチイチ気にしてたらキリがない。
それに。
「世の中、上には上がいくらでもいるだろうしな! たぶん! きっと!」
俺は気持ちを切り替え、『ワンズ王国』を目指すのだった。
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