菜の花散華

了本 羊

文字の大きさ
56 / 56
番外編

筒井菜月

しおりを挟む


「菜月ちゃん・・・」
 「ご、ごめんなさい~・・・、心結お姉ちゃん~~・・・」


 菜月は現在、心結と実の家で毛布を幾重にも被って、絶賛逃亡中である。






 「ただい・・・」


 実が早目に帰宅すると、その異様な光景は嫌でも実の目に入ってきた。
 結婚したばかりの妊娠中の妻が、毛布を何重にも積み重ねた場所をジッ、と見つめている。


 「心結・・・、その」
 「こんにちは! 実お兄さん! 新婚家庭にお邪魔するのはとっっても逡巡したのですが、緊急事態なので少しだけ匿って下さい!!」


 実の言葉を遮り、毛布の山から菜月が顔を出し、早口に捲し立てると、また毛布の中に隠れてしまった。


 「・・・・・・何なんだ?」


 実は毛布の山、正確には隠れている菜月を指差して、怪訝な表情をしている。
それに困り顔で心結は口を開く。


 「実は・・・、千咲さんから逃げているらしくて・・・」
 「あら、アタシがどうかした?」


この場にいるはずのない人物の声に、心結はえっ? と振り返った。







 「みぃちゃん、身体のほうは大丈夫?」
 「あ、それは大丈夫です。悪阻は酷いですけど、初産ですし・・・。それよりも、どうして千咲さんが此処に・・・?」
 「ああ、トキ君にみぃちゃんとちょっと話したいってお願いしたの。だって・・・」


 笑顔で話す千咲は毛布の山からソロリソロリ、と逃げようとしている菜月を素早く捕獲した。


 「ヤダ――――ッ!!」
 「絶対になっちゃんはみぃちゃんの所に隠れてるだろうなって確信してたから」


そのまま菜月を軽々と肩に担ぎ上げると、千咲は玄関に向かい、心結と実のほうを振り返り、片手を上げて、手を振る。


 「それじゃあ、夫婦水入らずでゆっくりね。なっちゃんが迷惑を掛けてごめんなさい」
 「ヤダ、ヤダ――――!!!」


 往生際悪く暴れ続けている菜月を軽々と肩で支えながら、千咲は心結と実の家を後にして行った。







 「・・・・・・何だったんだ?」


 首を傾げる実に、心結はどう説明したらよいものか、と思案しつつ、言葉を選びながら話す。


 「えっと・・・。二ヶ月に一度くらい、菜月ちゃんはあんな状態の日があってね? どう言ったらいいのかな・・・。ああいった状態の日は、必ず千咲さんにお誘いを受けている日で・・・・・・」
 「ああ、セックス日か」


 実の明け透けな物言いに、心結は顔を赤らめるが、実はさして気にした風もなく、二人が出て行った玄関を仰ぎ見る。
 菜月は世界的な画家として嘱望されており、とても多忙なことが多い。
 幾ら行動を毎日共にしている婚約者とはいえ、菜月の身体に負荷を強いることは出来ないのだろう。


 「だからって、なんであんなに嫌がるんだ? 婚約者同士だろう?」
 「ええと・・・、その、ね・・・。そういった日から一週間ぐらい、菜月ちゃん、ベッドの住人になっちゃうんだ・・・・・・」


 両手で真っ赤になった顔を隠して暴露する心結に、実は唖然としてしまう。


 「・・・・・・あのおっさん・・・。一回り以上歳の離れた女になにやってんだよ・・・」


 実も己のことは言えないが、心結の様子から、まず間違いなく、千咲は自分よりも粘着質だと察知した。








 「で? なっちゃん、言うことがあるわよね?」
 「・・・・・・ゴメンナサイ」
 「とっても棒読みだけど、許してあげるわね」


ニッコリ微笑んで菜月の頬にキスをしてくる千咲であったが、菜月としては、


 毎回毎回逃げ出す理由を真剣に考えてほしい! 


と千咲に対して思っている。
 現在、帰宅してすぐにベッドに放り込まれ、圧し掛かられている。



 千咲のことは異性としてキチンと好きだし、婚約者なのだから身体の関係があっても何ら問題などない。だが。


 「ザッカリーから特別に有給を貰ったから、四日はゆっくり過ごせるから」
 「よっ・・・?!」
 「大丈夫。なっちゃんが動けなくなって、アタシがキチンと面倒看てあげるから」


だからそれが嫌だから、毎回毎回逃亡してるんじゃないかッ!! 


 何とか千咲の下から這い出そうとするが、無駄な足掻きにしかならない。


 「せ、せめてお風呂を先に・・・ッ」
 「我慢出来ないから、却下」



・・・そうですか。確かにわたしも、忙しいので毎日傍に居ても我慢をさせていますがね! 
ザック小父様のバカ~~~~~ッ!!!










 「ん、ふぅ・・・、や、あぁっ」


 深いキスから解放されても、千咲の指が菜月の秘部から離されることはなく、雌芯を何度も擦られ、舐めまわされ、観察され、膣内には三本の指が挿入されている。
 指が抜き差しされる度、奥内から際限なく膣液が滴り、菜月の息があがる。



 情事の最中、千咲は普段の様子からは一変して男らしい雰囲気と逆らえない何かを醸し出す。
 既に何度イカされたのか、回数など菜月は覚えていない。
 此方を労わってくれているように感じるが、そんなことは全然ない。
 寧ろネチッコ過ぎるのだ。
 身体から完全に力が抜けきるまで待って、挿入されるが、それまでの責め苦は拷問にも等しい。


 絶ッッッ対に千咲の性癖だ!! 


と声を大にして叫びたい。


 「あああっ」


 乳首を吸われ、秘部を弄られ続け、再度菜月がイクと、それを見計らったかのように、千咲の張り詰めた雄が勢いよく挿入され、それだけでまたイッてしまう。


 「んあああぁぁぁ、やァあっああぁぁぁ!!!」


イッている最中なのに、抽挿は止まらず、菜月の目尻から幾度も涙が零れ落ちる。


 「ハッ・・・。ホント、最高・・・っ!」


ビクビクしている膣壁を擦られ、身体は菜月の意思に反して、大きく仰け反り、更に強い快感を拾ってしまう。


 「やッ、も、もう! イァ、クのやああああぁっぁぁッ!!!」


 菜月が絶頂に達すると同時に、千咲も菜月の膣内に熱い飛沫を放った。


 「は、ああぁ・・・」
 「んっ・・・、菜月、大丈夫?」


 情事の最中は普段の呼び方ではなく、キチンとした名前呼びになる。
 千咲の無意識なのだろうが、その容姿も相まって心臓に悪い。
 名前を呼ばれる度に、不覚にも膣が収縮し、千咲のものを締め付けてしまう。


 「っ・・・。まだ、大丈夫そうね」
 「もっ、むりぃ・・・っ」


 菜月の懇願など意に介さず、再び淫猥な水音が部屋に響きはじめた。









 後日、心結が菜月に電話を掛けると、ガラガラ声の菜月が出た。
その声の酷さに、後日実は千咲に、


 「体力差が違い過ぎる子に無茶させんなよ」


と実らしからぬ苦言を呈することとなった。







しおりを挟む

この作品は感想を受け付けておりません。

あなたにおすすめの小説

愛されないと吹っ切れたら騎士の旦那様が豹変しました

蜂蜜あやね
恋愛
隣国オデッセアから嫁いできたマリーは次期公爵レオンの妻となる。初夜は真っ暗闇の中で。 そしてその初夜以降レオンはマリーを1年半もの長い間抱くこともしなかった。 どんなに求めても無視され続ける日々についにマリーの糸はプツリと切れる。 離縁するならレオンの方から、私の方からは離縁は絶対にしない。負けたくない! 夫を諦めて吹っ切れた妻と妻のもう一つの姿に惹かれていく夫の遠回り恋愛(結婚)ストーリー ※本作には、性的行為やそれに準ずる描写、ならびに一部に性加害的・非合意的と受け取れる表現が含まれます。苦手な方はご注意ください。 ※ムーンライトノベルズでも投稿している同一作品です。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

あなたがいなくなった後 〜シングルマザーになった途端、義弟から愛され始めました〜

瀬崎由美
恋愛
石橋優香は夫大輝との子供を出産したばかりの二十七歳の専業主婦。三歳歳上の大輝とは大学時代のサークルの先輩後輩で、卒業後に再会したのがキッカケで付き合い始めて結婚した。 まだ生後一か月の息子を手探りで育てて、寝不足の日々。朝、いつもと同じように仕事へと送り出した夫は職場での事故で帰らぬ人となる。乳児を抱えシングルマザーとなってしまった優香のことを支えてくれたのは、夫の弟である宏樹だった。二歳年上で公認会計士である宏樹は優香に変わって葬儀やその他を取り仕切ってくれ、事あるごとに家の様子を見にきて、二人のことを気に掛けてくれていた。 息子の為にと自立を考えた優香は、働きに出ることを考える。それを知った宏樹は自分の経営する会計事務所に勤めることを勧めてくれる。陽太が保育園に入れることができる月齢になって義弟のオフィスで働き始めてしばらく、宏樹の不在時に彼の元カノだと名乗る女性が訪れて来、宏樹へと復縁を迫ってくる。宏樹から断られて逆切れした元カノによって、彼が優香のことをずっと想い続けていたことを暴露されてしまう。 あっさりと認めた宏樹は、「今は兄貴の代役でもいい」そういって、優香の傍にいたいと願った。 夫とは真逆のタイプの宏樹だったが、優しく支えてくれるところは同じで…… 夫のことを想い続けるも、義弟のことも完全には拒絶することができない優香。

魔性の大公の甘く淫らな執愛の檻に囚われて

アマイ
恋愛
優れた癒しの力を持つ家系に生まれながら、伯爵家当主であるクロエにはその力が発現しなかった。しかし血筋を絶やしたくない皇帝の意向により、クロエは早急に後継を作らねばならなくなった。相手を求め渋々参加した夜会で、クロエは謎めいた美貌の男・ルアと出会う。 二人は契約を交わし、割り切った体の関係を結ぶのだが――

屈辱と愛情

守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。

屋上の合鍵

守 秀斗
恋愛
夫と家庭内離婚状態の進藤理央。二十五才。ある日、満たされない肉体を職場のビルの地下倉庫で慰めていると、それを同僚の鈴木哲也に見られてしまうのだが……。

【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される

奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。 けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。 そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。 2人の出会いを描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630 2人の誓約の儀を描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」 https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041

「今とっても幸せですの。ごめんあそばせ♡」 捨てられ者同士、溺れちゃうほど愛し合ってますのでお構いなく!

若松だんご
恋愛
「キサマとはやっていけない。婚約破棄だ。俺が愛してるのは、このマリアルナだ!」 婚約者である王子が開いたパーティ会場で。妹、マリアルナを伴って現れた王子。てっきり結婚の日取りなどを発表するのかと思っていたリューリアは、突然の婚約破棄、妹への婚約変更に驚き戸惑う。 「姉から妹への婚約変更。外聞も悪い。お前も噂に晒されて辛かろう。修道院で余生を過ごせ」 リューリアを慰めたり、憤慨することもない父。マリアルナが王子妃になることを手放しで喜んだ母。 二人は、これまでのリューリアの人生を振り回しただけでなく、これからの未来も勝手に決めて命じる。 四つ違いの妹。母によく似たかわいらしい妹が生まれ、母は姉であ、リューリアの育児を放棄した。 そんなリューリアを不憫に思ったのか、ただの厄介払いだったのか。田舎で暮らしていた祖母の元に預けられて育った。 両親から離れたことは寂しかったけれど、祖母は大切にしてくれたし、祖母の家のお隣、幼なじみのシオンと仲良く遊んで、それなりに楽しい幼少期だったのだけど。 「第二王子と結婚せよ」 十年前、またも家族の都合に振り回され、故郷となった町を離れ、祖母ともシオンとも別れ、未来の王子妃として厳しい教育を受けることになった。 好きになれそうにない相手だったけれど、未来の夫となる王子のために、王子に代わって政務をこなしていた。王子が遊び呆けていても、「男の人はそういうものだ」と文句すら言わせてもらえなかった。 そして、20歳のこの日。またも周囲の都合によって振り回され、周囲の都合によって未来まで決定されてしまった。 冗談じゃないわ。どれだけ人を振り回したら気が済むのよ、この人たち。 腹が立つけれど、どうしたらいいのかわからずに、従う道しか選べなかったリューリア。 せめて。せめて修道女として生きるなら、故郷で生きたい。 自分を大事にしてくれた祖母もいない、思い出だけが残る町。けど、そこで幼なじみのシオンに再会する。 シオンは、結婚していたけれど、奥さんが「真実の愛を見つけた」とかで、行方をくらましていて、最近ようやく離婚が成立したのだという。 真実の愛って、そんなゴロゴロ転がってるものなのかしら。そして、誰かを不幸に、悲しませないと得られないものなのかしら。 というか。真実もニセモノも、愛に真贋なんてあるのかしら。 捨てられた者同士。傷ついたもの同士。 いっしょにいて、いっしょに楽しんで。昔を思い出して。 傷を舐めあってるんじゃない。今を楽しみ、愛を、想いを育んでいるの。だって、わたしも彼も、幼い頃から相手が好きだったってこと、思い出したんだもの。 だから。 わたしたちの見つけた「真実の愛(笑)」、邪魔をしないでくださいな♡

処理中です...