52 / 56
番外編
道化師《ピエロ》は菜の花の花束を抱えて歩く 28
しおりを挟む一階に一部屋しか存在しないその高級マンションの部屋は、普通の家で暮らす面積よりも嫌味ではなく、本当に広い。
玄関に入った瞬間、心結は実に肩に担ぎ上げられ、抵抗の言葉も口に出来ないまま、寝室のベッドに放り投げられた。
そのまま覆い被さってこようとする実に、心結は慌てる。
「ま、待って! せめてシャワーを・・・! んぅっ・・・!」
反論は難なく唇で塞がれ、頭をシッカリと固定されては逃げられない。
息継ぎもままならないほどの深いキスに頭が酸欠に陥いりそうになる。
身体の力が抜けていくと同時に衣服を強引に剥ぎ取られてしまう。
徹底的に実に覚え込まされた快感のせいで、心結の身体はすぐに実を受け入れるように従順になっていく。
「んんっ」
既に硬くなりはじめていた乳首を捏ねられ、堪らずに漏れる声を必死で押し殺そうと両手で口を塞ぐが、実の容赦のない責め苦に涙が止まらない。
身体中に赤い痕がつけられていく。不意に両足を持ち上げられ、あらぬ所に息を感じ、心結は逃げようとするが、大の男の力に適うはずもない。
秘裂を指でひらかれて、ぬめった生温かい舌が心結の雌芯や陰核、膣内にまでのびて、舐めまわされる。
「ひゃああああああぁぁぁっ」
何度イカされても蹂躙は止まず、卑猥な音をたてて秘部を吸われ、まともに考えることも難しくなっていく。
口の端からは涎が伝い落ち、息を吸うことに必死になる。
それでも、もっと、と思ってしまう。
明確な熱が欲しい。とても硬い熱で貫いて欲しい。
そんな欲求が強く湧き上がるが、そんなことは到底口に出して言えるものではない。
その後も続く淫蕩な時間は心結の思考を酩酊させ、遂には涙腺が崩壊したように涙が止まらなくなっていた。
しゃくりあげる心結を眺めていた実はため息を吐き、心結を抱え上げると、胡坐をかいた膝の上に落とした。
「やああああああぁぁぁっ!!!!」
いきなり屹立した雄で貫かれた衝撃に、心結は達してしまい、膣内が収縮して、肉棒を締め付ける。
眉間に皺を寄せた実だったが、すぐに律動をはじめる。
「んんっ!! ふあっ!!」
すぎる快楽に本能的な恐怖から実に強くしがみ付く。
子宮口を亀頭が突くたびに白い世界が目の奥で点滅し、声すらも変に上擦る。
一際強く突かれた瞬間、大きな絶頂を迎えた。
「ふあああああぁぁぁっ!!!」
「くっ・・・!」
胎内で熱いものが流れ込んでくる感覚を感じながら、心結の意識は遠のいていった。
目覚めると、実に抱き込まれている形で心結は眠り込んでいたらしい。
暫くの間、ボンヤリと間近にある実の寝顔を眺めていたが、シャワーでも浴びてこようと思い、身体を反転させてベッドから降りようと、起き上がりかけた。
が、強い力で腰を引かれ、再度ベッドに倒れ込んでしまう。
心結が驚いて見上げると、眠っていた実が心結をジッ、と見つめていた。
「起きてたの・・・?」
「さっき起きた」
簡潔な答えで返すと、実は心結の身体を抱き込んで、仰向けにし、耳元で囁かれる。
「・・・・・・なんで黙ってた?」
実の声は歪な関係にあったあの頃の、暴走していた折によく聞いた無機質なものだった。
それだけで、実が本気で怒っているのが心結にもわかる。
心結の身体が自然と強張る。
「か、香恋のことは別に「妹だから」っていう理由で黙っていたわけでも、優しさからでもないよっ。ただ・・・、あの時は全部どうでもいいと思ってたから・・・」
言葉にしてみると、あの当時自分は絶望していたのだな、ということが今更ながらに心結は理解出来る。
自分の世界から色が失われた瞬間に、誰かを憎むにはそれなりの気力と根性が必要なのだ。
大分経ってから、実はため息を吐いて心結を抱き締めた。重いけれど、実の怒りがなくなったのがわかり、ホッ、と安堵する。しかし・・・・・・。
「・・・・・・あの、実? なんで手が身体を撫で回してるのかな・・・?」
しかもなにか硬いものが当たってるし!
「仕切り直し」
「無理! もう無理ッ!」
「人間簡単に壊れるように出来てないから大丈夫だ」
そんな屁理屈があるかッ!
そう叫びたかったが、言葉は唇で塞がれて何も発することは出来なかった。
0
お気に入りに追加
112
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
黒の神官と夜のお世話役
苺野 あん
恋愛
辺境の神殿で雑用係として慎ましく暮らしていたアンジェリアは、王都からやって来る上級神官の夜のお世話役に任命されてしまう。それも黒の神官という異名を持ち、様々な悪い噂に包まれた恐ろしい相手だ。ところが実際に現れたのは、アンジェリアの想像とは違っていて……。※完結しました
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
蔑ろにされた王妃と見限られた国王
奏千歌
恋愛
※最初に公開したプロット版はカクヨムで公開しています
国王陛下には愛する女性がいた。
彼女は陛下の初恋の相手で、陛下はずっと彼女を想い続けて、そして大切にしていた。
私は、そんな陛下と結婚した。
国と王家のために、私達は結婚しなければならなかったから、結婚すれば陛下も少しは変わるのではと期待していた。
でも結果は……私の理想を打ち砕くものだった。
そしてもう一つ。
私も陛下も知らないことがあった。
彼女のことを。彼女の正体を。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる