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闇の臨界点
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だいぶ大規模な群れだ。
見た目もおぼろげな影ではなくしっかりしている。
やはり村などより町の方が人口も多いせいか強い死霊が多く集まるようだ。
「……臨界点を越える前で良かった。」
俺は少し冷や汗を流した。
目の前の状況は、小規模とはいえこの小さな町を飲み込むには十分な規模に近かい。
偶然とはいえ俺とハックがここに立ち寄って良かった。
話を聞いた時点ではそこまで酷い状況ではないように感じたが、やはりそこは普通の人々だ。
死霊に対しての感知、危機感や危険認知が優れていない。
人の数に引き寄せられる様に死霊は集まる。
始めはふらりと夜に影が蠢くくらいだ。
だが次第に数を増やし、集まった事で共鳴し、力を強める。
本来なら死霊がいても生きている人間のエネルギーの方が強いから、さまよう姿を見かけたり、多少の霊障が起こる程度で済む。
しかし死霊の数が集まりすぎると生者のエネルギーと死霊のエネルギーの力関係が崩れ、死霊のエネルギーが勝りだすと途端に事態は悪化する。
死霊達は姿形をはっきりさせ、実体を持ち出し、町を襲うのだ。
だから定期的に街や周辺の浄化や駆除・除霊をしていかなければならない。
そしてそれが追いつかなくなると死者と生者のエネルギー比率は反転し、死者の方が格段に強くなる。
それが臨界点超えだ。
臨界点を超えると死霊が溢れ出し、町や村は死者のモノになる。
人々はネズミように死者から身を隠しながら暮らさねばならなくなる。
そうさせない為にRPGの勇者や冒険者よろしく、除霊師や悪魔祓い、ヒーラーが各地を巡っているのだ。
財力のある大きな街なら祈り屋や術師を住まわせ、日々、少しずつでも浄化を行っている。
しかし村や小規模の町ではそうもいかない。
下手をすると教会や祈りの場などもない場合もある。
神聖な湧き水や神木みたいなものがあれば別だが、そうでなければちょっとした拍子にバランスが崩れてしまう事が起こり得るのだ。
「……………………。」
俺は腹を括った。
やりたくはないが、この状況を放置する事はできない。
チラリとハックの方に目をやる。
ハックは町の人々にこれからの事を説明をしている。
俺の力は人々の協力があってさらに強まるからだ。
形を成し、ぞろぞろとこちらに向かってくる魑魅魍魎たち。
俺は覚悟を決めて大きく息を吸い込んだ。
さあ、嫌でも何でもやるしかない。
恥も外聞もなくやり遂げるしかない。
俺は俺自身の力を信じ、近づいてくる死霊の群れをキッと睨み、腹の底から大声で叫んだ。
「パワーッ!!」
見た目もおぼろげな影ではなくしっかりしている。
やはり村などより町の方が人口も多いせいか強い死霊が多く集まるようだ。
「……臨界点を越える前で良かった。」
俺は少し冷や汗を流した。
目の前の状況は、小規模とはいえこの小さな町を飲み込むには十分な規模に近かい。
偶然とはいえ俺とハックがここに立ち寄って良かった。
話を聞いた時点ではそこまで酷い状況ではないように感じたが、やはりそこは普通の人々だ。
死霊に対しての感知、危機感や危険認知が優れていない。
人の数に引き寄せられる様に死霊は集まる。
始めはふらりと夜に影が蠢くくらいだ。
だが次第に数を増やし、集まった事で共鳴し、力を強める。
本来なら死霊がいても生きている人間のエネルギーの方が強いから、さまよう姿を見かけたり、多少の霊障が起こる程度で済む。
しかし死霊の数が集まりすぎると生者のエネルギーと死霊のエネルギーの力関係が崩れ、死霊のエネルギーが勝りだすと途端に事態は悪化する。
死霊達は姿形をはっきりさせ、実体を持ち出し、町を襲うのだ。
だから定期的に街や周辺の浄化や駆除・除霊をしていかなければならない。
そしてそれが追いつかなくなると死者と生者のエネルギー比率は反転し、死者の方が格段に強くなる。
それが臨界点超えだ。
臨界点を超えると死霊が溢れ出し、町や村は死者のモノになる。
人々はネズミように死者から身を隠しながら暮らさねばならなくなる。
そうさせない為にRPGの勇者や冒険者よろしく、除霊師や悪魔祓い、ヒーラーが各地を巡っているのだ。
財力のある大きな街なら祈り屋や術師を住まわせ、日々、少しずつでも浄化を行っている。
しかし村や小規模の町ではそうもいかない。
下手をすると教会や祈りの場などもない場合もある。
神聖な湧き水や神木みたいなものがあれば別だが、そうでなければちょっとした拍子にバランスが崩れてしまう事が起こり得るのだ。
「……………………。」
俺は腹を括った。
やりたくはないが、この状況を放置する事はできない。
チラリとハックの方に目をやる。
ハックは町の人々にこれからの事を説明をしている。
俺の力は人々の協力があってさらに強まるからだ。
形を成し、ぞろぞろとこちらに向かってくる魑魅魍魎たち。
俺は覚悟を決めて大きく息を吸い込んだ。
さあ、嫌でも何でもやるしかない。
恥も外聞もなくやり遂げるしかない。
俺は俺自身の力を信じ、近づいてくる死霊の群れをキッと睨み、腹の底から大声で叫んだ。
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