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第一話
ロープと猫缶④
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「いいじゃねえか!いいじゃねえか~!!」
「何がいいんだよ?勝手だな。」
猫はそれまでの妙に悟った感じをかなぐり捨てて、唐突に駄々をこね始めた。
「お前、死ぬんだろー!俺は生きるー!」
「はぁ。」
「腹が減ったら、生きてけねぇ~!!」
「はぁ。」
「お前、もう、金要らないじゃんか!最後に俺に上手い飯食わしたって!バチ当たらねぇだろうが!」
「まぁ、そうなんだけど。」
「猫缶よこせー!」
何だか、猫の話しにちょっとでもぐっと来てしまった自分が馬鹿馬鹿しくなってきた。
猫は興奮して、シャーとか言いながら、何故かぐでんぐでんしている。
謎過ぎる。
そしてぐでぐでしながらにじり寄ってきて、ガシッと俺の足に爪を立てた。
(そして俺はジャージである。)
「痛ってー!何するんだ!」
「腹へってんだよ!」
「知ってるよ!」
「何か食わせろー!高い猫缶買ってこいー!」
「何かじゃねぇじゃん!指定してるだろ!」
「細かい事は気にするな。」
「気にするよ!」
俺は足を動かして、猫を振り払った。
腹減り猫は、こてんと落っこちた。
「お、おのれ~!!下手に出ればいいようにしやがって!!」
「いや待て!お前、いつ下手に出たんだよ?!」
何だかもう、ツッコミ所、満載である。
少し離れて、ジャージをめくってみると、小さいみみず腫が出来ていた。
それを見た猫が不適に笑う。
「クククッ。」
「な、何だよ。」
「お前に呪いをかけたー!」
「は?」
「お前、俺が言葉を話すのを奇妙に思わなかったのか?!」
「いや、初めから驚いてただろうが。」
「俺が何者か、考えもしなかっただろうよ!」
「考える暇をあたえなかっただろ、お前。」
「聞いて驚け!俺はただの猫ではない!」
「だろうな。」
「猫又だー!」
得意気に猫は告げると、しゅるりと座ってふんぞり返った。
「あ、うん。だろうな。」
俺は格段、驚くでもなく、そう言った。
猫は、豆鉄砲でも食らったかのような顔をした。
「ここは驚くところだろ!!」
「いや、まんま過ぎて、特には?」
「何だとー!」
なんなんだ、この漫才は?
俺はあんなに動揺していたにも関わらず、昔からの友人と話しているような感覚になっていた。
俺が全く驚きも怖がりもしていないことに気づいた猫は、ささっと毛繕いをすると、気を取り直して話し出した。
「とにかく、俺は普通の猫ではない。猫又だ。今、お前の足に、印をつけた。呪いを避けたければ、大人しく猫缶を買ってこい。」
正直に言うと、別に呪いとか関係なく、猫缶は買ってくる心持ちになっていた。
考えてみれば、誰かと話したのは久しぶりだった。
それが猫であっても、少しだけ救われた気がした。
何もかもダメになった。
何もかも嫌になった。
猫のお陰で、ただただ暗い気持ちで人生を終わらせなくてよくなった。
それだけでもありがたい気がした。
でも、素直にそうは言えなかった。
「呪いってどうなるんだ?」
「恐ろしい目に合う。」
「具体的には?」
「…ね、熱が出る…かなぁ?」
「野良に引っ掛かれて熱が出るかもって、普通の猫でも起こらないか?」
「猫はみんな魔物なんだよ!!」
さすがに俺は吹いてしまった。
魔物か、カッコいいな。(笑)
「いいからさっさと買ってこいー!」
分が悪くなったと思ったのか、猫はそう言うと、草むらの中に素早く消えて行った。
「何がいいんだよ?勝手だな。」
猫はそれまでの妙に悟った感じをかなぐり捨てて、唐突に駄々をこね始めた。
「お前、死ぬんだろー!俺は生きるー!」
「はぁ。」
「腹が減ったら、生きてけねぇ~!!」
「はぁ。」
「お前、もう、金要らないじゃんか!最後に俺に上手い飯食わしたって!バチ当たらねぇだろうが!」
「まぁ、そうなんだけど。」
「猫缶よこせー!」
何だか、猫の話しにちょっとでもぐっと来てしまった自分が馬鹿馬鹿しくなってきた。
猫は興奮して、シャーとか言いながら、何故かぐでんぐでんしている。
謎過ぎる。
そしてぐでぐでしながらにじり寄ってきて、ガシッと俺の足に爪を立てた。
(そして俺はジャージである。)
「痛ってー!何するんだ!」
「腹へってんだよ!」
「知ってるよ!」
「何か食わせろー!高い猫缶買ってこいー!」
「何かじゃねぇじゃん!指定してるだろ!」
「細かい事は気にするな。」
「気にするよ!」
俺は足を動かして、猫を振り払った。
腹減り猫は、こてんと落っこちた。
「お、おのれ~!!下手に出ればいいようにしやがって!!」
「いや待て!お前、いつ下手に出たんだよ?!」
何だかもう、ツッコミ所、満載である。
少し離れて、ジャージをめくってみると、小さいみみず腫が出来ていた。
それを見た猫が不適に笑う。
「クククッ。」
「な、何だよ。」
「お前に呪いをかけたー!」
「は?」
「お前、俺が言葉を話すのを奇妙に思わなかったのか?!」
「いや、初めから驚いてただろうが。」
「俺が何者か、考えもしなかっただろうよ!」
「考える暇をあたえなかっただろ、お前。」
「聞いて驚け!俺はただの猫ではない!」
「だろうな。」
「猫又だー!」
得意気に猫は告げると、しゅるりと座ってふんぞり返った。
「あ、うん。だろうな。」
俺は格段、驚くでもなく、そう言った。
猫は、豆鉄砲でも食らったかのような顔をした。
「ここは驚くところだろ!!」
「いや、まんま過ぎて、特には?」
「何だとー!」
なんなんだ、この漫才は?
俺はあんなに動揺していたにも関わらず、昔からの友人と話しているような感覚になっていた。
俺が全く驚きも怖がりもしていないことに気づいた猫は、ささっと毛繕いをすると、気を取り直して話し出した。
「とにかく、俺は普通の猫ではない。猫又だ。今、お前の足に、印をつけた。呪いを避けたければ、大人しく猫缶を買ってこい。」
正直に言うと、別に呪いとか関係なく、猫缶は買ってくる心持ちになっていた。
考えてみれば、誰かと話したのは久しぶりだった。
それが猫であっても、少しだけ救われた気がした。
何もかもダメになった。
何もかも嫌になった。
猫のお陰で、ただただ暗い気持ちで人生を終わらせなくてよくなった。
それだけでもありがたい気がした。
でも、素直にそうは言えなかった。
「呪いってどうなるんだ?」
「恐ろしい目に合う。」
「具体的には?」
「…ね、熱が出る…かなぁ?」
「野良に引っ掛かれて熱が出るかもって、普通の猫でも起こらないか?」
「猫はみんな魔物なんだよ!!」
さすがに俺は吹いてしまった。
魔物か、カッコいいな。(笑)
「いいからさっさと買ってこいー!」
分が悪くなったと思ったのか、猫はそう言うと、草むらの中に素早く消えて行った。
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