雨に濡れた犬の匂い(SS短文集)

ねぎ(ポン酢)

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電池交換師

電池交換師〜忘れないよ

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ねぇ、忘れないよ?

小さくて弱かった僕。
あなたは何も言わずにいつもご飯をくれた。

ねぇ、忘れないよ?

嵐の夜。
怪我をした僕を家に入れ、手当してくれた事。

あなたは目が悪いから僕を犬だと思ってたけど、本当は違うんだよ。
だって犬なら三日の恩を三年忘れないじゃないか?

あのね?
僕は犬じゃないけど鼻は利くんだ。
だからね、わかってたんだよ。

大丈夫。
あなたと似た匂いの女の子には花畑を教えたから、まだ少し時間がある。

でも僕は犬じゃないけど人間でもないから、取り換えても馴染むのに時間がかかるんだよね?

大丈夫。
僕の電池が馴染んで目を覚ますまで、女の子の相手は僕がしておくから。

「おばあちゃん?おばあちゃんのお口はどうしてそんなに大きいの?」

「それはね?お前とお話ができるように訓練したからだよ?」

本当はあなたと話したかった。

ありがとうって伝えたかったから……。
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