雨に濡れた犬の匂い(SS短文集)

ねぎ(ポン酢)

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私は今、ここに立っている。

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一年という月日は、長かったのか短かったのか、それはわからない。

けれど今、私はここに立っている。

それは一年前とは違う場所だ。
どれくらい違うかと言われてもわからない。

でも私はここに立っている。

人から見れはさして変わりもしない場所だろう。
けれどたとえ半歩であろうと私は進んだのだ。

一年前とは違う場所に立っている。

過去は振り返るものじゃない。
今の自分を作るものだ。
過去の塊が今の自分を作っている。

苦しみも絶望も、過去の全てが私を作る。
息ができないほど悔し涙を流した事も、血が滲むほど奥歯を噛み締めた事も、辛く悲しい別れに大切なものを失おうとも、その全てが私を作る。

失敗や後悔のない人生などない。
その時あった幸福に気付なかったこともある。

自分からは決して逃げられない。
だからただ、まっすぐに自分と向き合うしかない。

一年後、半歩でも前に進んだ自分になる為に。
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