雨に濡れた犬の匂い(SS短文集)

ねぎ(ポン酢)

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またまた

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またまた、そんな話があるものか。

皆さんそう仰るんですよと、大きな猫を膝に乗せた男は笑った。

若い頃、森の精霊を助けたという男はお礼に種を貰ったそうだ。
それは何でも実る木で、花芽をつけた時に枝に乗せたモノが実ると聞いていた。
男は何を実らそうかと楽しみにその種を育てた。

数年たち、木が花芽をつけると、思わぬ事が起きてしまった。
木の枝に猫が登ってしまったのだ。
そして木に実ったのは子猫。
男は大笑いして猫を収穫し、里親を探した。

ところがだ。

その木は多種多様な猫を実らせた。
やがて絶滅種まで実らせるようになり、とうとう国に木の事を知られてしまった。
男は悪用されては猫達が可哀想だと木に枯れるよう祈った。
すると木は枯れ始め、最後には真っ二つに割れてしまった。

そして割れた木の股に、一匹の子猫がいたという。

「これが本当のねこまた、なんてね。」

男は猫を撫でながら笑った。
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