雨に濡れた犬の匂い(SS短文集)

ねぎ(ポン酢)

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坊っちゃん

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夏目漱石の「坊っちゃん」があまり好きではない。

自分を見てるみたいで嫌だからだ。
根本にある性根を丸裸にされたみたいで好きじゃない。

「親譲りの無鉄砲で小供の時から損ばかりしている」

最初の一文からしてもう駄目だ。
親譲りという点を除けば、正にその通りでしかない。
本当、子供の頃は親に疎まれてばかりだった。
曲がった事が大嫌いというのは、程々にまあまあ良いじゃないかという世の中の理と反りが合わないからだ。

頑固で融通がきかない。

間違っている事、矛盾している事に食って掛かる。
そんな子供は完膚無きまでに叩きのめされ、誰も寄り添ってなどくれない。

殴られれば痛いし、自己否定しかされずに生きてくれば自尊心もなくなり大人しくなる。
弱々しく折り合いをつける事も学んだ。

ただ今も思うのだ。
自分の性根には「坊っちゃん」がいる。

それを思い出させるから「坊っちゃん」は好きになれない。
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