雨に濡れた犬の匂い(SS短文集)

ねぎ(ポン酢)

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美味しいものが食べたい

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美味しいものが食べたい。
なのに美味しいものが思い出せない。

ちょっとお高めなハンバーガーショップまで足を運んだ。

美味しかった。

でも美味しいものが食べたいという胸の穴は埋められなかった。

築地で食べたお寿司が美味しかったと思い出し食べに行った。

凄く美味しかった。

けれど胸の穴は埋まらなかった。

色々な店に行った。
色々な物を作ってみた。

どれもとても美味しかった。
意外と料理の才能あるなと嬉しくなった。

でも、胸の穴が埋まらない。

そして諦めた。
家から出る事も少なくなった。

ある日、友人がやってきた。

「お好み焼き作ろうぜ。」

そう言って買い物袋を渡された。
何だよ、作るのは俺かよ?

ホットプレートの上で鰹節が踊る。
馬鹿話をしながら頬張った。

「泣いてんの?!お前?!」

「……旨いなと思ってさ。」

何の変哲もないお好み焼きは、とても美味しかった。
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