雨に濡れた犬の匂い(SS短文集)

ねぎ(ポン酢)

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君は暁を覚えず

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春眠暁を覚えずとは言うけれど、
留め人は春を前に忘れてしまった。

明ける朝日の光を。
訪れる春の柔らかさを。
あんなにも舞い散る桜吹雪を愛していたのに。

「助けてと言っているうちは平気なんだよ」

白い息を吐きながらそう言った留め人は、
もうその言葉を発してはくれなかった。

虎は死して皮を残した。
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