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シャングリラ
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イヤホンを耳にはめた。
普段はしない事。
耳が良くないから。
いや、良くないと言うより、良すぎるからだ。
音という情報を拾いすぎて疲れてしまう。
音楽が嫌いな訳じゃない。
ここぞという時は良くその力を借りる。
ただ常に聞いていられる耳じゃない。
でも今はその力が必要だった。
自分で選んだ事だ。
ぐっと奥歯を噛んだ。
そして顔を上げて歩き出す。
さようなら。
残念ながら、私は自分の足で何とか立っていられる。
この足で砂利道だろうが茨の道だろうが鎖場だろうが歩んでいける。
そういう弱さなのだ。
残念ながら。
私はギリギリ、何とか踏ん張って自分で立っていられる。
泣いている子がいた。
慰めようと皆が集まっていた。
その中の人影に少しだけ動揺した。
ああ、そうか……。
そりゃそうだ。
変に納得した。
俯くな。
顔を上げろ。
いつもの事だ。
可愛げがないと自分でも思う。
なんで毎回、歯を食いしばって自分で立ち上がっちゃうんだろうな?
そんな自分がちょっと笑える。
歩き出す。
残念ながら歩けてしまうんだ、私は。
弱いから。
イヤホンから聞こえる音楽。
少しだけその力を借りて歩き出す。
泣く事を恥だと思っている訳じゃない。
ただ、泣き方が人と違うだけだ。
歩きながら奥歯を噛みしめる。
大丈夫、不幸な訳じゃない。
昔よりずっと幸福だ。
不器用ながらちゃんと前に進んでる。
全く難儀な性格だと思う。
もっと楽な生き方があったはずなんだ。
でも、何度やり直しても、たとえ何百回、何千回とタイムループしても、その結末を知っていても、多分私は同じ道を選ぶ。
これまでの選択、全て、おそらく同じ道を選ぶ。
かけてもいい。
後悔した事がない訳じゃない。
むしろいつも後悔している。
結局こうやって一人、歩いていくのだから。
でも、たとえやり直せても自分が同じ選択をする事を知っている。
だから仕方ない。
自分で選んだ選択だ。
後悔する事も含め、選んできた道だから。
てめえのケツはてめえで拭くしかない。
まぁ、こういうところが可愛くないのだと思う。
だから仕方ない。
面倒な性分だけれども、それが自分なのだから何とか仲良くやっていくしかないのだから。
普段はしない事。
耳が良くないから。
いや、良くないと言うより、良すぎるからだ。
音という情報を拾いすぎて疲れてしまう。
音楽が嫌いな訳じゃない。
ここぞという時は良くその力を借りる。
ただ常に聞いていられる耳じゃない。
でも今はその力が必要だった。
自分で選んだ事だ。
ぐっと奥歯を噛んだ。
そして顔を上げて歩き出す。
さようなら。
残念ながら、私は自分の足で何とか立っていられる。
この足で砂利道だろうが茨の道だろうが鎖場だろうが歩んでいける。
そういう弱さなのだ。
残念ながら。
私はギリギリ、何とか踏ん張って自分で立っていられる。
泣いている子がいた。
慰めようと皆が集まっていた。
その中の人影に少しだけ動揺した。
ああ、そうか……。
そりゃそうだ。
変に納得した。
俯くな。
顔を上げろ。
いつもの事だ。
可愛げがないと自分でも思う。
なんで毎回、歯を食いしばって自分で立ち上がっちゃうんだろうな?
そんな自分がちょっと笑える。
歩き出す。
残念ながら歩けてしまうんだ、私は。
弱いから。
イヤホンから聞こえる音楽。
少しだけその力を借りて歩き出す。
泣く事を恥だと思っている訳じゃない。
ただ、泣き方が人と違うだけだ。
歩きながら奥歯を噛みしめる。
大丈夫、不幸な訳じゃない。
昔よりずっと幸福だ。
不器用ながらちゃんと前に進んでる。
全く難儀な性格だと思う。
もっと楽な生き方があったはずなんだ。
でも、何度やり直しても、たとえ何百回、何千回とタイムループしても、その結末を知っていても、多分私は同じ道を選ぶ。
これまでの選択、全て、おそらく同じ道を選ぶ。
かけてもいい。
後悔した事がない訳じゃない。
むしろいつも後悔している。
結局こうやって一人、歩いていくのだから。
でも、たとえやり直せても自分が同じ選択をする事を知っている。
だから仕方ない。
自分で選んだ選択だ。
後悔する事も含め、選んできた道だから。
てめえのケツはてめえで拭くしかない。
まぁ、こういうところが可愛くないのだと思う。
だから仕方ない。
面倒な性分だけれども、それが自分なのだから何とか仲良くやっていくしかないのだから。
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