死神刑事は犯人を知っている

結城絡繰

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第二話 知り合いの暫定サイコキラー

準備完了

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 二人がゆったり会話を楽しんでいると、黒羽が戻ってきた。
 宮間は彼女の服装をチェックする。

 灰色のセーターにスキニージーンズという組み合わせだ。
 細身で背の高い黒羽によく似合っている。
 行き道では持っていなかったビニール袋からは、真っ赤なリボンが覗いている。
 先ほどまで着ていたセーラー服を入れてあるのだろう。

 黒羽はやや落ち着かない様子で視線を彷徨わせている。
 着慣れない服だからだろうか。
 セーラー服は平然としていたのに、と宮間は胸中で苦笑した。

 自身の服を見下ろしながら、黒羽は宮間に問う。

「これで大丈夫でしょうか。すべて店員の方に任せてしまったのですが」

 宮間は感心した表情で頷くと、小さく拍手をする。

「全然大丈夫。むしろモデルみたいでかっこいいよ。なぁ、まこっちゃん?」

 意見を振られた七篠は、諸手を挙げて同意した。

「すごいですよ、黒羽サン! 誰でも振り返ってしまう美人さんですー」

「誰でも振り返ったら、こっそりと捜査できなくなっちゃうけどね」

 はしゃぐ二人をよそに、黒羽は冷淡な調子で話題を変えた。

「容疑者の榊さんはどこで働いているのですか」

 百貨店勤務と言っても、店内はかなり広い。
 建物は十階建てで店舗数も多い。
 事前情報がなければ、榊がどこにいるか探すだけでも苦労するだろう。

 しかし、そこはさすがに調べていたらしく、宮間は淀みなく答えた。

「一階の食料品売り場らしいね。それとなく様子を見に行こうかね」

「了解です」

「わかりましたー」

 ようやく準備のできた三人は、容疑者の働いているフロアを目指す。
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