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第二話 知り合いの暫定サイコキラー
死神刑事と殺人鬼
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宮間と黒羽は、行き交う自動車を横目にアスファルトの道を歩く。
彼らの後ろには七篠がいた。
軽やかな足取りで二人に付いてくる。
何が楽しいのか、鼻歌まで歌っていた。
一方、黒羽は眉間に皺を寄せる。
彼女が懸念するのは、もちろん七篠のことだ。
想定よりも平和的な邂逅を果たした三人であったが、問題はその先で起きた。
宮間たちがこれから殺人事件の現場に向かうことを知ると、七篠は自分も同行したいと言い出したのである。
さすがに殺人鬼を事件現場に連れていくわけにはいかない。
そう思った黒羽が断ろうとするも、七篠は頑なに付いていくと主張した。
結局、仲裁に入った宮間の判断により、三人は共に移動を始めて現在に至る。
「どうするのですか。このままだと現場に到着しますが」
小声で抗議する黒羽に対し、宮間は欠伸を噛み殺しながら答える。
「んー、別にいいんじゃない? 俺たち二人だけで監視するより安全そうだし」
「それはそうですが……」
「まこっちゃんも機嫌が良さそうだから、しばらくは大丈夫だと思うよ」
「機嫌の良し悪し関係なく殺人鬼は大丈夫ではないです」
宮間と黒羽が囁き声で言い合っていると、七篠が不思議そうに首を傾げる。
「お二人で何を話しているのですか?」
「まこっちゃんとお昼ご飯でも食べたいなぁって話さ。よかったら一緒にどうだい」
「おおー! お昼ご飯いいですね! 食べたいですー」
七篠は諸手を挙げてぴょんぴょんと無邪気に飛び跳ねる。
嬉しさを全身で表現していた。
まるで子供のような反応と仕草だが、七篠の容姿だと違和感もない。
黒羽は頭を抱えそうになるのを耐える。
七篠と会ってから気疲れがひどい。
常に神経を尖らせているのが馬鹿らしくなってきた。
とは言え、宮間のように無警戒な対応はできない。
いつ殺人鬼が凶行に走るか分からないのだ。
黒羽が改めて気を引き締めていると、七篠が彼女に顔を向けた。
大きな二重の目が彼女を凝視している。
七篠は頬に指を当てて問いかけた。
「そういえばお聞きするのを忘れていました。あなたのお名前は何ですか?」
どうやら互いの自己紹介が済んでいないことを思い出したらしい。
何か勘付かれたかと危惧した黒羽は、内心で胸を撫で下ろす。
彼女は毅然とした態度で視線を返した。
「黒羽です」
「ほほー、黒羽サンと言うのですか。初めまして、よろしくです」
そう言って手を差し出す七篠。
悪意は何ら感じられない。
むしろ仲良くなりたいという意志すら感じられる。
黒羽に特殊な眼がなければ、ただの柔和で穏やかな人物に見えただろう。
実際は七篠の本性を察知しているが、それを悟らせてはいけない。
表面上は友好的に振る舞う必要がある。
「――こちらこそ、よろしくお願いします」
私情を抑えた死神刑事は、殺人鬼と握手を交わした。
彼らの後ろには七篠がいた。
軽やかな足取りで二人に付いてくる。
何が楽しいのか、鼻歌まで歌っていた。
一方、黒羽は眉間に皺を寄せる。
彼女が懸念するのは、もちろん七篠のことだ。
想定よりも平和的な邂逅を果たした三人であったが、問題はその先で起きた。
宮間たちがこれから殺人事件の現場に向かうことを知ると、七篠は自分も同行したいと言い出したのである。
さすがに殺人鬼を事件現場に連れていくわけにはいかない。
そう思った黒羽が断ろうとするも、七篠は頑なに付いていくと主張した。
結局、仲裁に入った宮間の判断により、三人は共に移動を始めて現在に至る。
「どうするのですか。このままだと現場に到着しますが」
小声で抗議する黒羽に対し、宮間は欠伸を噛み殺しながら答える。
「んー、別にいいんじゃない? 俺たち二人だけで監視するより安全そうだし」
「それはそうですが……」
「まこっちゃんも機嫌が良さそうだから、しばらくは大丈夫だと思うよ」
「機嫌の良し悪し関係なく殺人鬼は大丈夫ではないです」
宮間と黒羽が囁き声で言い合っていると、七篠が不思議そうに首を傾げる。
「お二人で何を話しているのですか?」
「まこっちゃんとお昼ご飯でも食べたいなぁって話さ。よかったら一緒にどうだい」
「おおー! お昼ご飯いいですね! 食べたいですー」
七篠は諸手を挙げてぴょんぴょんと無邪気に飛び跳ねる。
嬉しさを全身で表現していた。
まるで子供のような反応と仕草だが、七篠の容姿だと違和感もない。
黒羽は頭を抱えそうになるのを耐える。
七篠と会ってから気疲れがひどい。
常に神経を尖らせているのが馬鹿らしくなってきた。
とは言え、宮間のように無警戒な対応はできない。
いつ殺人鬼が凶行に走るか分からないのだ。
黒羽が改めて気を引き締めていると、七篠が彼女に顔を向けた。
大きな二重の目が彼女を凝視している。
七篠は頬に指を当てて問いかけた。
「そういえばお聞きするのを忘れていました。あなたのお名前は何ですか?」
どうやら互いの自己紹介が済んでいないことを思い出したらしい。
何か勘付かれたかと危惧した黒羽は、内心で胸を撫で下ろす。
彼女は毅然とした態度で視線を返した。
「黒羽です」
「ほほー、黒羽サンと言うのですか。初めまして、よろしくです」
そう言って手を差し出す七篠。
悪意は何ら感じられない。
むしろ仲良くなりたいという意志すら感じられる。
黒羽に特殊な眼がなければ、ただの柔和で穏やかな人物に見えただろう。
実際は七篠の本性を察知しているが、それを悟らせてはいけない。
表面上は友好的に振る舞う必要がある。
「――こちらこそ、よろしくお願いします」
私情を抑えた死神刑事は、殺人鬼と握手を交わした。
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