金貨三枚で買った性奴隷が俺を溺愛している ~平凡冒険者の迷宮スローライフ~

結城絡繰

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第92話 決戦の地に赴いてみた

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 地上に出た俺達は街を進む。
 決闘の場所として指定されたのは、冒険者ギルドにある訓練場だった。
 戦いで破壊しても修復が容易で、結界で隔離されているため周辺に被害が出にくい。
 自分勝手な聖騎士だが、その辺りの配慮はできたらしい。
 或いはギルドが仲介の立場として提案したのか。
 職員は特に説明せず、俺も迷宮にいたので詳しいことは分からない。

 ほどよい緊張が身を包む。
 俺は薄汚れた外套を羽織り直した。
 一見すると竜の防具が視認できず、何かの騙し討ちになるかもしれない。
 些細な期待だ。
 そういったものに縋らねばならないほど、俺は決定的な不利を強いられている。
 されぞ絶望はなかった。
 戦いにおいて足枷になる感情だからだ。

 街はいつも通りの雰囲気だった。
 聖騎士が滞在していると言っても、住人にはあまり関係のない話である。
 決闘の件も当事者以外からすればどうでもいいことだ。
 さすがに冒険者の間では話題だろうが、街の空気を一変させるほどではない。

 仮に俺が英雄だったら、滅多に観れない対決ということで盛り上がったのだろうか。
 実際は地味な冒険者なので仕方ない。
 そんな悲しいことを考えてみる。

 ギルドへの道を歩く中、職員は鍛練中に何度となく聞いた説明を述べる。

「光魔術の使い手は、全属性の中でも最速です。身体強化に用いた場合、相手に認識される前に攻撃するのも不可能ではありません。他の属性を分解する特性もあるので、生半可な防御は通じないと思ってください」

「分かっている。対策はいくつも用意した。どうにかねじ伏せるさ」

「強気っすね。美女に囲まれて自信が付きましたか」

「然るべき備えがあるだけだ」

 俺の気持ちは揺るがない。
 後ろ向きな考えなど無駄なのだ。
 ここまで来たら全力を出してやり遂げるしかないのである。
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