金貨三枚で買った性奴隷が俺を溺愛している ~平凡冒険者の迷宮スローライフ~

結城絡繰

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第25話 魔術について話し合ってみた

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 俺達はギルドの受付で蟻の甲殻を売却する。
 ちょうど納品依頼に含まれていたので、報酬も追加されて悪くない額になった。
 やや手強い魔物だが、稼ぎの面では効率が良い。
 砂漠の階層に行くことがあれば、積極的に狩るべきかもしれない。

 売却後、武具屋で中古の杖を買おうか迷ったがやめておく。
 さすがにまだ早いだろう。
 基礎知識すら学んでいない段階だ。
 杖の相性もあるし、焦って変な失敗したくない。
 手間を惜しまず、必要になった時に買うべきである。

 それからギルドを出て古書店を目指した。
 資金は十分にある。
 それなりの高価な書物も買えるはずだ。
 基礎知識を学ぶだけなので、大した出費にはならないと思う。
 もし足りなければ、また迷宮で稼ぐだけだ。

 道中で俺はビビに質問をする。

「魔術に関する知識はあるか」

「全然ないよ。基本の属性くらい」

「俺もそんな感じだ」

 最低限の知識は持ち合わせているものの、決して誇れるほどではない。
 本職の魔術師からすれば、鼻で笑うようなものだろう。
 胸中で自嘲する俺は、そこで今更ながら重要なことを訊いていなかったことを思い出す。

「そういえば読み書きはできるのか」

「前のご主人に習った」

 ビビの答えに安堵する。
 読み書きから覚えるとなると、余計に大変だったところだ。
 奴隷商は幅広く教育を施しているらしい。
 どの用途でも困らないようにしているようだ。

 古書店に向かうビビの足取りは軽かった。
 表情は豊かではないが、いつもよりも分かりやすい。

「勉強するのたのしみ」

「良いことだ。そこで躓く人間も多いらしいからな」

「そうなの?」

「最初は座学続きだ。すぐに魔術を使えるわけじゃない。退屈して諦める奴は珍しくないだろう」

 冒険者の中には、なりそこないの魔術師がいる。
 真っ当な修行法に飽きて、独学による鍛練に進んだ者達のことだ。
 だいたいが本来の魔術師に劣る実力で、中途半端な立ち位置となっている。
 学び直そうとしても変な癖が付いてしまい、それを矯正するのが難しいのだという。

 中には魔術理論を超越して固有の能力に目覚めた者もいるらしいが、そんな者はごく一部の天才である。
 勘定に入れるべきではないだろう。
 なりそこないは魔術師の劣化版というのが一般認識だった。
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