26 / 33
第二話 迷い猫密室事件
作戦会議をする二人
しおりを挟む
第一発見者の中野を別れた朽梨と杏子は、物静かな雰囲気の喫茶店に場所を移した。
室内の一角にて、二人は先ほど得た成果について話し合う。
「中野はおそらくシロだ。あいつの話はひとまず信じても大丈夫だろう」
単刀直入に断言する朽梨。
杏子は頬杖を突きながらストローでジュースを飲む。
「おー、根拠でもあるんですか?」
「矛盾点が無く、嘘を吐いている様子もなかった。白猫に関する情報も、奴が犯人なら話す意味が分からない」
「余計な混乱や疑惑を招くだけですもんね」
「ああ。今のところシロだと確定できる材料はないが、中野はそこまで警戒しなくてもいい」
朽梨はアイスカフェオレを飲む。
ぐいっと仰いだその瞬間、杏子は机に頬を付けて朽梨を見上げた。
素顔を覗こうとしているのだ。
杏子はじっと三角コーンの奥を凝視する。
「あっ、見えそ――」
「目障りだ」
朽梨は杏子の額にチョップを繰り出した。
鳴り響く鈍い音。
それなりに力を込めていたらしい。
杏子は額を押さえて机に突っ伏してしまった。
そんな彼女を無視して、朽梨は話題を切り替える。
「さて、中野の証言から犯人の特定には至らなかったが、思わぬ収穫があった」
杏子が額を撫でながら顔を上げる。
「迷い猫らしき子が事件に関わっているっぽいんですよね」
「まだ確定ではないがな」
朽梨は二枚の写真を机に置いた。
一つは白猫、もう一つはテープで仕切られた中華料理店が映っている。
「迷い猫の行方と事件の真相。この二つは同時並行で調べていかねばならない」
「ふむふむ。次はどこを調査するんですか?」
頷きつつ疑問を投げる杏子。
朽梨は手帳をめくった。
「他のバイトに聞き込み調査をする。この前に門前払いをされた奴の所も訪ねるつもりだ」
「うわっ、やっぱり行くんですか……また怒鳴られたら嫌ですね」
「その時はどんな手段を使ってでも押し入ってやるさ」
「完全に犯罪者のセリフですよそれ」
大胆不敵な朽梨の発言に、杏子はやれやれと呆れてみせた。
室内の一角にて、二人は先ほど得た成果について話し合う。
「中野はおそらくシロだ。あいつの話はひとまず信じても大丈夫だろう」
単刀直入に断言する朽梨。
杏子は頬杖を突きながらストローでジュースを飲む。
「おー、根拠でもあるんですか?」
「矛盾点が無く、嘘を吐いている様子もなかった。白猫に関する情報も、奴が犯人なら話す意味が分からない」
「余計な混乱や疑惑を招くだけですもんね」
「ああ。今のところシロだと確定できる材料はないが、中野はそこまで警戒しなくてもいい」
朽梨はアイスカフェオレを飲む。
ぐいっと仰いだその瞬間、杏子は机に頬を付けて朽梨を見上げた。
素顔を覗こうとしているのだ。
杏子はじっと三角コーンの奥を凝視する。
「あっ、見えそ――」
「目障りだ」
朽梨は杏子の額にチョップを繰り出した。
鳴り響く鈍い音。
それなりに力を込めていたらしい。
杏子は額を押さえて机に突っ伏してしまった。
そんな彼女を無視して、朽梨は話題を切り替える。
「さて、中野の証言から犯人の特定には至らなかったが、思わぬ収穫があった」
杏子が額を撫でながら顔を上げる。
「迷い猫らしき子が事件に関わっているっぽいんですよね」
「まだ確定ではないがな」
朽梨は二枚の写真を机に置いた。
一つは白猫、もう一つはテープで仕切られた中華料理店が映っている。
「迷い猫の行方と事件の真相。この二つは同時並行で調べていかねばならない」
「ふむふむ。次はどこを調査するんですか?」
頷きつつ疑問を投げる杏子。
朽梨は手帳をめくった。
「他のバイトに聞き込み調査をする。この前に門前払いをされた奴の所も訪ねるつもりだ」
「うわっ、やっぱり行くんですか……また怒鳴られたら嫌ですね」
「その時はどんな手段を使ってでも押し入ってやるさ」
「完全に犯罪者のセリフですよそれ」
大胆不敵な朽梨の発言に、杏子はやれやれと呆れてみせた。
0
お気に入りに追加
18
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/essay.png?id=5ada788558fa89228aea)
カフェ・シュガーパインの事件簿
山いい奈
ミステリー
大阪長居の住宅街に佇むカフェ・シュガーパイン。
個性豊かな兄姉弟が営むこのカフェには穏やかな時間が流れる。
だが兄姉弟それぞれの持ち前の好奇心やちょっとした特殊能力が、巻き込まれる事件を解決に導くのだった。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/mystery.png?id=41ccf9169edbe4e853c8)
それは奇妙な町でした
ねこしゃけ日和
ミステリー
売れない作家である有馬四迷は新作を目新しさが足りないと言われ、ボツにされた。
バイト先のオーナーであるアメリカ人のルドリックさんにそのことを告げるとちょうどいい町があると教えられた。
猫神町は誰もがねこを敬う奇妙な町だった。
パラダイス・ロスト
真波馨
ミステリー
架空都市K県でスーツケースに詰められた男の遺体が発見される。殺された男は、県警公安課のエスだった――K県警公安第三課に所属する公安警察官・新宮時也を主人公とした警察小説の第一作目。
※旧作『パラダイス・ロスト』を加筆修正した作品です。大幅な内容の変更はなく、一部設定が変更されています。旧作版は〈小説家になろう〉〈カクヨム〉にのみ掲載しています。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
後宮なりきり夫婦録
石田空
キャラ文芸
「月鈴、ちょっと嫁に来るか?」
「はあ……?」
雲仙国では、皇帝が三代続いて謎の昏睡状態に陥る事態が続いていた。
あまりにも不可解なために、新しい皇帝を立てる訳にもいかない国は、急遽皇帝の「影武者」として跡継ぎ騒動を防ぐために寺院に入れられていた皇子の空燕を呼び戻すことに決める。
空燕の国の声に応える条件は、同じく寺院で方士修行をしていた方士の月鈴を妃として後宮に入れること。
かくしてふたりは片や皇帝の影武者として、片や皇帝の偽りの愛妃として、後宮と言う名の魔窟に潜入捜査をすることとなった。
影武者夫婦は、後宮内で起こる事件の謎を解けるのか。そしてふたりの想いの行方はいったい。
サイトより転載になります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる