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3巻
3-2
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男は、俺の横に並んで歩調を合わせると、さらに続けた。
「諜報部によると、デュラハンはとある魔族の手先だったという可能性が濃厚なんですよ。実際に帝都近辺では魔族の目撃情報がありましてね。しかしながら、その尻尾さえ掴めずにいる。これから武闘大会が始まるというのに難儀なものです」
やや大袈裟に嘆く素振りを見せ、男は肩を落とした。余計な仕事が増えて面倒だ、とでも言いたそうな様子だ。
俺は、ふと感じた疑問を口にする。
「で、その話が俺と何の関係があるんですか?」
彼の言い方から、本音をはぐらかしていると感じていたのだ。男は一瞬驚いたような表情を浮かべると、笑みをたたえて答える。
「僕はこれでも人を見る眼はあると自負しているんです。あなたみたいな実力者には、前以て警戒してもらえると助かるなぁと思いまして」
「なるほど、有事の際は戦力になれと」
つまり、魔族が帝都に襲撃してきたときは、率先して戦ってほしい。それが彼の言いたいことらしい。予選一回戦で見せた虐殺劇や、デュラハン討伐の功績を持つ俺なら、その役目も適任というわけである。
利用されるのは癪だが、有益な情報をくれたことには感謝しよう。まあ、どちらにせよ、俺の邪魔をする者がいるなら、それが人間だろうが魔族だろうが、端から殺すつもりだ。帝国と俺とは利害が一致するようだし、協力したところで俺が損をするわけではない。
口元に笑みを張り付かせ、俺は司会の男に右手を差し出した。
「いいですよ。もしものときは帝国のために一肌脱ぎましょう」
男は目を細めて、手を握ってくる。
「ありがとうございます。あなたのような強力な召喚術の持ち主ならきっと……ちょうど目的の場所に着きました」
男は足を止めて一軒の建物を見上げる。
そこには木造の納屋が佇んでいた。
入口には屈強な見張りが立ち、壁には木の板が幾重にも打ち付けられている。
外から内部の様子を確かめるのは難しそうだ。ただ、明らかに真っ当な施設でないのは分かる。普通の店がこんな物騒な路地の奥に建てられるはずはないからね。
僅かに警戒しつつ、男の後ろについて納屋の前へと歩む。
厳つい顔をした巨漢の見張りが、司会の男に声をかける。
「あぁ、エレオさんじゃないですか。ご無沙汰しています」
「いつもご苦労様です。彼は僕の友人でね。一緒に入場してもいいかな」
「どうぞどうぞ、楽しんでいってください」
見張りは慣れた動作で納屋の扉を開くと、司会の男とともに俺を招き入れた。
その先に見えるのは延々と続く石階段。一定の間隔で明かりがあるものの、奥に何があるかは確認できそうにない。これは本格的に怪しくなってきた。素直について行っていいものか迷ってしまう。
俺が露骨に訝しんでいると、司会の男がくるりと振り向いて、穏やかに言う。
「実は私は、賭け事が大好きでしてね。あなたのような方が参戦すれば、さぞ盛り上がるはずです。素晴らしいとは思いませんか?」
3 地下遊戯
「いらっしゃいませ、一名様ですか?」
「あ、はい」
「では、こちらへどうぞー」
軍服を着たお姉さんと軽いやり取りをし、彼女の後ろについて入り組んだ通路を進んで行く。
気付けばエレオと呼ばれていた司会の男はいなくなっていた。まったく、こんな場所に連れてきておいて途中でいなくなるとは、いい加減な奴である。
長い階段を下り、暗い通路を進んだ先にあったのは、異様な熱気に包まれた闘技場だった。円形アリーナを囲うようにして雛壇型に観客席が設けられている。客層は実に様々だ。喧しく野次を飛ばす輩もいれば、偉そうに座っている上流階級の人間もいた。
軍服さんによると、ここでは違法な賭け試合が行われているらしい。これくらいの刺激はウェルカムだし、遊戯として純粋に楽しめそうだ。
開かれた重厚な扉の前に立ち、俺は密かに心を躍らせた。
軍服さんが、畏まった表情で俺に告げる。
「一回勝利するごとにもらえるのは、賭け金の一割。どちらかが死亡するか、降参するまで試合は続きます。途中で辞退する際は、この扉の前まで戻って来てください。なお、ここで何があっても補償はありません。それでもよろしいですか?」
「大丈夫です」
俺は頷くと、そのまま軽く首を回した。
そして素顔を隠すためにガスマスクを装着し、全身に忍ばせた暗器の位置を確認する。準備は万端だ。
いつでも殺れる。
軍服さんに頭を下げ、俺は闘技場の中へ踏み入った。
(ふーん、ここで戦うわけね)
観客の視線をひしひしと感じながら、周囲をぐるりと見渡す。特に変わった仕掛けはない。ここで試されるのは、純粋な戦闘能力のようだ。
俺は石床を靴で打ち鳴らし、手足をぶらぶらと揺らす。
「よお、お前が俺の対戦相手かぁ」
もう一方の扉から一人の男が現れた。
筋骨隆々な肉体は熱気を発している。剥き出しの上半身に刻まれたいくつもの傷跡が、彼の戦闘経験を物語っていた。
男はダガーを握り、気持ち悪い笑みを浮かべてこちらに歩いてくる。
「せいぜい苦しまねぇように殺してやるよぉ。ヒヒヒヒヒッ」
おっと、嫌悪感をもよおさせるのは外見だけでなく、セリフまでもだったらしい。これはさっさと片付けてしまいたいね。
試合開始のブザーが鳴り響いた瞬間、俺は地を這うように突進した。
そして、男の懐に飛び込み、反応される前に掌底を叩き込む。
「は、はや……ぎゃひっ!?」
間抜けな悲鳴を漏らした男は、ダガーを落として崩れ落ちた。がくがくと痙攣しているが、俺の知ったことではない。
【スキル〈手加減〉を獲得しました】
ちょっと手心を加えたおかげか、新たなスキルを手に入れた。
本気で殺すつもりだったら、男の上半身はミンチになっていただろうからね。俺の聖人のような慈悲に心の底から感謝してほしい。
とはいえ、これで試合終了だ。数人のスタッフに運ばれていく男を尻目に、俺は大きな欠伸を漏らす。
勝者は、次の対戦相手をこのまま待っていればいいそうだ。
その間も、観客席の熱狂は収まるどころか、さらに激しくなっていった。
(んー、うるさいなぁ……祭りかよ)
拳を高々と掲げて喜ぶ者。チケットをばら撒いて絶望する者。観客席から断片的に聞こえてくる声から察するに、大金が動いたようである。
沸き上がる観客の様子には苦笑するしかない。
そうしてわいわいと戦うこと暫し――
俺はすでに十二人の相手を倒していた。どいつも適当に殴れば昏倒するレベルで、これといった感想はない。
血の付着した拳を振り払い、ガスマスクを着け直す。
「おいっ! 負けんじゃねぇぞ!」
「そうだ、俺なんて金貨二枚賭けてるんだからなぁ!」
「この調子で勝ちやがれッ」
さっきから野次の量が凄まじい。
〈耳栓〉を使っていてもはっきりと聞こえるほどだ。あまりの喧しさに、仕舞いには〈騒音耐性〉なんてスキルまで獲得してしまった。
眉を顰め、うんざりとした気分で舌打ちする。
そんな俺に、突然声がかかった。
「やあ、元気に勝ち抜いているようだね」
「……たまたまですよ。運がよかっただけです」
十三人目の対戦相手である鉄仮面の剣士が、フランクな調子で歩み寄ってきた。
声や体格からして女だろうか。青銅色のローブに身を包み、剣と盾をだらりと構えている。
今までの相手とは何となく格が違うような気がする。隙が見当たらない。視線から佇まいに至るまで、すべての所作が防御として完璧だった。
俺が少し焦っている間に、試合開始のブザーが鳴り響く。
「君はどうしてこんな試合に出ているのかい?」
仮面の女が、構えを解かずに尋ねてきた。その距離およそ十メートル。決して油断できない。
細心の注意を払ったまま、俺は答える。
「暇潰しってやつですかね。刺激が欲しかったもので」
「ははっ、君は面白いね」
何がおかしいのか。仮面が愉快そうに笑った。
今しかない。咄嗟に判断した俺は、ロングコートの下から二本のナイフを抜き、それらを仮面の女に放った。
【スキル〈投擲〉〈電磁加速〉〈標的確定〉を発動しました】
絶好のタイミングでの不意打ち。さらにスキルで強化までしてある。ナイフは高速で仮面の女に迫った。狙いは首元と太腿の二か所。これなら確実に仕留められる。
それが甘い見込みだと気付いたのは、すぐ後のことであった。
「チッ……」
俺は舌打ちし身構える。
仮面の女の姿がぶれたと思われた直後、俺の前方数メートルまで接近していた彼女に弾かれて、ナイフは金属音と共に砕け散る。
間髪入れず視界の隅で刃が煌めいた。
俺は反射的に新たなナイフを取り出す。
【スキル〈受け流し〉を獲得しました】
火花が散り、腕に鈍い衝撃が走る。
攻撃に失敗した仮面の女に向け、そのままナイフを突き出す。
「なるほど、いい攻撃だね」
仮面の女が冷静に評する。
空を切った虚しい感覚。俺の反撃は、盾によってものの見事に受け流された。まるで数瞬前の仕返しのように。
間近で交錯する視線。仮面の奥に見える女の瞳は、感心しているようだった。どうやらまだ余力があるらしい。
苛立った俺は、ナイフを逆手に持ち替え、さらに距離を詰める。
こちらの意図を察した仮面の女が斬撃を繰り出してくるが、そんなものは予測済みだ。剣筋を見切り、体を滑り込ませる。肩を浅く斬られたものの、致命傷ではない。邪魔な盾をナイフで押しのけ、勢いのままにぶん殴る。
仮面の女は宙を舞い、くるりと一回転して着地した。そして、ヒビの入った仮面を撫でて何度か頷くと、剣の切っ先を向けてくる。
しっかりとした足取りを見るに、大したダメージではなかったらしい。
俺は刃の欠けたナイフを捨て、金属製のトンファーを取り出す。
「ははっ、今のはさすがだったなぁ――でも、同じ手は通用しないよ」
仮面の女はそう告げると、ぶつぶつと呪文を詠唱し始めた。すると、彼女の剣が赤く発熱し、やがて轟々と音を立てて燃え盛る。魔術師でもあそこまでスムーズに魔法を行使できないのではないのだろうか。
仮面の女の多才さに感心しつつ、俺は魔法攻撃に備える。
すぐに小さな火球が飛んできた。
なかなかの速度だが、避けられないほどではない。
軽々とやり過ごして前方に向き直り――
(しまった、連発型だったか……!)
絶妙な位置に撃ち込まれた二発目の火球をトンファーで掻き消す。さらに迫る三発目と四発目は、横に転がって回避した。
まったく、辛うじて当たらなかったからいいものの……
剣から火球を飛ばしてきた仮面の女を一瞥して、俺は深々と溜息を吐いた。
【スキル〈軽業〉を獲得しました】
身のこなしが上手くなるスキルのようなので、さっそく起動させる。今回の対戦相手の脅威度は、俺の予想を遥かに超えているようだからね。
トンファーを顔の前に構え、仮面の女に対峙する。このままでは埒が明かないし、押し切られそうな気配すらあった。
仮面の女が突然宣言する。
「そろそろ終わりにしようか……」
「あぁ、お前の敗北でフィナーレだ」
俺はそう答えながら、トンファーに電流を流す。
一方、彼女の掲げた剣は赤い炎から変化し、白い光を帯び始めた。光り輝く剣は闘技場全体を照らす。脳内の警鐘が、これ以上ないほどに危険を告げた。
湧き上がる殺意を理性で抑え、仮面の女の一挙一動に注目する。
数秒後、仮面の女と俺は同時に技を繰り出した。
「光よ、呑み込め」
「一瞬でぶっ飛ばしてやる」
光の斬撃と雷撃が激突する。
凄まじい音と共に視界が白く染まり、何も見えなくなった。まるで閃光手榴弾が爆発したかのようである。
俺は両目の痛みに呻きながら、悪態を吐いた。
【スキル〈光耐性〉を獲得しました】
辛うじて薄目を開いた俺は、自身の失策を呪った。
これでは相手に無防備な姿を晒しているも同然だ。必死に気配を探ろうとするものの、仮面の女の位置はつかめない。おそらく俺のように隠密系の能力持ちなのだろう。まったく以て腹立たしい。
しかし俺の苛立ちは、首筋に当てられた冷たい感触によって霧散した。
「両手を上げて武器を捨てて。痛い思いは、したくないよね?」
眼前で優しげに告げられる声。
ようやく回復した視界に、剣を握る仮面の女が映る。鋭利な刃が俺の首をそっと撫でていた。少しでも力が加われば、頸動脈が傷付いて真っ赤な噴水が完成するだろう。
どうやら「詰み」というやつらしい。仮面の女はあの光の爆発を読んでいたに違いない。
俺は、トンファーを捨てて両手をひらひらと上げた。
「いやぁ、見事にしてやられましたよ。降参です」
そう言って俺は殺気を解き、対戦相手の顔を見つめる。
仮面の奥に覗く瞳は、なぜか笑っているようだった。それは決して嘲りや見下しの感情から来るものではない。むしろ、親しみすら籠っているように感じられる。
だが、その視線の意味を考える間もなく試合は終了した。剣を下ろした仮面の女は、俺に軽く手を振ってから去っていった。
残された俺は、観客の罵声や歓声を聞きながら、訳も分からず首を傾げるしかなかった。
4 長い夜
「改めてお疲れ様です。実に面白い戦いを見せていただきました」
閑散とした飲み屋。司会の男ことエレオが、俺の隣で満足そうに酒を呷っている。事の顛末を知った上でそんな風に言えるのだから、なかなかの性格をしていると思う。
どう反応すべきか迷った俺は、曖昧な笑みを浮かべてつまみに手を伸ばした。
(面白い戦い、ねぇ……)
賭け試合で降参した後の展開など、ロクな話ではない。
無様な負け方をした俺は、観客からこれ以上ないほど罵倒された。きっと俺の勝利に金を積んでいた連中だろう。直前まで応援してくれていたというのに、実に身勝手な奴らである。
中には地下闘技場の外で襲いかかってくる馬鹿もいたので、そいつらは憂さ晴らしに処理しておいた。
俺だって腑に落ちない試合だったのだから、あまり責めないでほしい。
頬杖を突いてぼんやりと店内を眺めながら、相変わらずニコニコと笑うエレオに尋ねる。
「それで何か用ですか。わざわざ慰めに来てくれたわけじゃないですよね?」
グラスを置いたエレオは、肩を竦めて答える。
「あはは、僕はあなたの奮闘ぶりを称えたいだけですよ。なにしろ、あの対戦相手に対して十分な立ち回りを見せたのですから」
エレオの物言いに疑問を感じた俺は、率直に尋ねてみた。
「……彼女を知っているんですか?」
仮面の女は、純粋な実力で俺を負かした。俺は現代兵器や強力な能力の使用は控えていたが、彼女の異常な強さに偽りはない。
「えぇ、有名な方ですので。諸事情で詳しくはお話しできませんが、この帝都でも屈指の実力者なのは間違いありません」
仮面の女が相当な力を有するのは、身を以て感じたばかりである。もっと詳しく教えてほしいが、当のエレオはそれ以上喋ろうとしなかった。
エレオがニコニコしたまま、会話をお開きにしようとする。
「とにかく今宵は素晴らしい戦いが観られてよかったです。僕から誘った手前、あのような結果になってしまったのは申し訳ないのですが、とても感謝していますよ」
「こちらとしても、いい勉強になりました。いろいろと思うところがあったので」
仮面の女との戦いでは、反省点がいくつもあった。彼女に殺意があったなら、降参を促さず、俺の首を刎ね飛ばしてもおかしくなかった。
そう考えて、俺はゆっくりと首元を撫でる。
「はっはっは! やっぱりあなたは面白い。稀有な逸材ですね」
こちらのリアクションをどう取ったのか、エレオは愉快そうに手を叩いた。何がそんなに面白いのだろう。俺には目の前の人物の思考が理解できない。
怪訝な視線を送っていると、エレオは苦笑して立ち上がる。
「あなたが、これからの戦いで勝ち抜くのを祈っていますよ」
肩を竦めて視線を机に移すと、俺はあることに気付いた。
机の上に置かれた数種のつまみと高そうな酒瓶。カウンターに立つマスターが微笑を浮かべてこちらを見ている。
「ここの支払い、俺の奢りか……」
なんとも言えない気持ちで、俺は深々と溜息を吐き出すのだった。
5 不穏な影
「ちょっと通るよー」
「あぁ? 誰だてめぇはあああああぁぁっ!?」
俺は進路を塞いだ馬鹿の腕を握り潰し、そのまま無防備な腹にナイフを当てて斬り裂いた。つんざくような絶叫が辺りに響き渡る。
こいつは近所迷惑という言葉を知らないのだろうか。
あまりにもうるさいので、大きく開いたその口にナイフを突っ込んでやる。ぐりぐりと抉ると、そいつは自分の血でうがいを始めた。少々汚いが、悲鳴がなくなったので騒音問題は解決した。
やがて動かなくなったそいつの死体をチート本に収容し、再び歩き始める。
(やっぱり国の首都でも犯罪者は蔓延っているみたいだね)
時刻は深夜。
暗い路地を彷徨いながら、俺は気分よく口笛を吹く。
飲み屋で呆けている際に閃いた「鬱憤晴らしに犯罪者を狩ろう作戦」は、好調な滑り出しを見せた。
場所と時間がいいのか、すでに殺害人数は両手では数え切れない。日中に緑鱗族の男から「衛兵から見放されたスラム街」を聞き出しておいてよかった。この辺りの治安は相当悪いらしいが、俺にとっては打ってつけの場所である。
ストレス発散には運動が効果的だと聞いたことがあるが、なんとも頷ける話だ。下がり気味だったテンションも、ほどよい運動のおかげで復活した。
付着した血を振り払い、ナイフを手元でくるくると回していると、男たちの声が聞こえてきた。
「確かこっちで悲鳴が……」
「おい、誰かいるぞ!」
先ほどの馬鹿の悲鳴が、新たな獲物を引き寄せてくれたらしい。これは好都合だ。
曲がり角から飛び出してきた二人の男を見つけるやいなや、俺はナイフを投げ付けた。
「痛てぇ! こいつ、やりやがった!」
「調子に乗るなよ、小僧……!」
一人が肩を押さえて叫び、もう一人が長剣を掲げて接近してくる。だが、その動きはあまりにも緩慢だった。仮面の女と比べれば、止まっているも同然である。
「諜報部によると、デュラハンはとある魔族の手先だったという可能性が濃厚なんですよ。実際に帝都近辺では魔族の目撃情報がありましてね。しかしながら、その尻尾さえ掴めずにいる。これから武闘大会が始まるというのに難儀なものです」
やや大袈裟に嘆く素振りを見せ、男は肩を落とした。余計な仕事が増えて面倒だ、とでも言いたそうな様子だ。
俺は、ふと感じた疑問を口にする。
「で、その話が俺と何の関係があるんですか?」
彼の言い方から、本音をはぐらかしていると感じていたのだ。男は一瞬驚いたような表情を浮かべると、笑みをたたえて答える。
「僕はこれでも人を見る眼はあると自負しているんです。あなたみたいな実力者には、前以て警戒してもらえると助かるなぁと思いまして」
「なるほど、有事の際は戦力になれと」
つまり、魔族が帝都に襲撃してきたときは、率先して戦ってほしい。それが彼の言いたいことらしい。予選一回戦で見せた虐殺劇や、デュラハン討伐の功績を持つ俺なら、その役目も適任というわけである。
利用されるのは癪だが、有益な情報をくれたことには感謝しよう。まあ、どちらにせよ、俺の邪魔をする者がいるなら、それが人間だろうが魔族だろうが、端から殺すつもりだ。帝国と俺とは利害が一致するようだし、協力したところで俺が損をするわけではない。
口元に笑みを張り付かせ、俺は司会の男に右手を差し出した。
「いいですよ。もしものときは帝国のために一肌脱ぎましょう」
男は目を細めて、手を握ってくる。
「ありがとうございます。あなたのような強力な召喚術の持ち主ならきっと……ちょうど目的の場所に着きました」
男は足を止めて一軒の建物を見上げる。
そこには木造の納屋が佇んでいた。
入口には屈強な見張りが立ち、壁には木の板が幾重にも打ち付けられている。
外から内部の様子を確かめるのは難しそうだ。ただ、明らかに真っ当な施設でないのは分かる。普通の店がこんな物騒な路地の奥に建てられるはずはないからね。
僅かに警戒しつつ、男の後ろについて納屋の前へと歩む。
厳つい顔をした巨漢の見張りが、司会の男に声をかける。
「あぁ、エレオさんじゃないですか。ご無沙汰しています」
「いつもご苦労様です。彼は僕の友人でね。一緒に入場してもいいかな」
「どうぞどうぞ、楽しんでいってください」
見張りは慣れた動作で納屋の扉を開くと、司会の男とともに俺を招き入れた。
その先に見えるのは延々と続く石階段。一定の間隔で明かりがあるものの、奥に何があるかは確認できそうにない。これは本格的に怪しくなってきた。素直について行っていいものか迷ってしまう。
俺が露骨に訝しんでいると、司会の男がくるりと振り向いて、穏やかに言う。
「実は私は、賭け事が大好きでしてね。あなたのような方が参戦すれば、さぞ盛り上がるはずです。素晴らしいとは思いませんか?」
3 地下遊戯
「いらっしゃいませ、一名様ですか?」
「あ、はい」
「では、こちらへどうぞー」
軍服を着たお姉さんと軽いやり取りをし、彼女の後ろについて入り組んだ通路を進んで行く。
気付けばエレオと呼ばれていた司会の男はいなくなっていた。まったく、こんな場所に連れてきておいて途中でいなくなるとは、いい加減な奴である。
長い階段を下り、暗い通路を進んだ先にあったのは、異様な熱気に包まれた闘技場だった。円形アリーナを囲うようにして雛壇型に観客席が設けられている。客層は実に様々だ。喧しく野次を飛ばす輩もいれば、偉そうに座っている上流階級の人間もいた。
軍服さんによると、ここでは違法な賭け試合が行われているらしい。これくらいの刺激はウェルカムだし、遊戯として純粋に楽しめそうだ。
開かれた重厚な扉の前に立ち、俺は密かに心を躍らせた。
軍服さんが、畏まった表情で俺に告げる。
「一回勝利するごとにもらえるのは、賭け金の一割。どちらかが死亡するか、降参するまで試合は続きます。途中で辞退する際は、この扉の前まで戻って来てください。なお、ここで何があっても補償はありません。それでもよろしいですか?」
「大丈夫です」
俺は頷くと、そのまま軽く首を回した。
そして素顔を隠すためにガスマスクを装着し、全身に忍ばせた暗器の位置を確認する。準備は万端だ。
いつでも殺れる。
軍服さんに頭を下げ、俺は闘技場の中へ踏み入った。
(ふーん、ここで戦うわけね)
観客の視線をひしひしと感じながら、周囲をぐるりと見渡す。特に変わった仕掛けはない。ここで試されるのは、純粋な戦闘能力のようだ。
俺は石床を靴で打ち鳴らし、手足をぶらぶらと揺らす。
「よお、お前が俺の対戦相手かぁ」
もう一方の扉から一人の男が現れた。
筋骨隆々な肉体は熱気を発している。剥き出しの上半身に刻まれたいくつもの傷跡が、彼の戦闘経験を物語っていた。
男はダガーを握り、気持ち悪い笑みを浮かべてこちらに歩いてくる。
「せいぜい苦しまねぇように殺してやるよぉ。ヒヒヒヒヒッ」
おっと、嫌悪感をもよおさせるのは外見だけでなく、セリフまでもだったらしい。これはさっさと片付けてしまいたいね。
試合開始のブザーが鳴り響いた瞬間、俺は地を這うように突進した。
そして、男の懐に飛び込み、反応される前に掌底を叩き込む。
「は、はや……ぎゃひっ!?」
間抜けな悲鳴を漏らした男は、ダガーを落として崩れ落ちた。がくがくと痙攣しているが、俺の知ったことではない。
【スキル〈手加減〉を獲得しました】
ちょっと手心を加えたおかげか、新たなスキルを手に入れた。
本気で殺すつもりだったら、男の上半身はミンチになっていただろうからね。俺の聖人のような慈悲に心の底から感謝してほしい。
とはいえ、これで試合終了だ。数人のスタッフに運ばれていく男を尻目に、俺は大きな欠伸を漏らす。
勝者は、次の対戦相手をこのまま待っていればいいそうだ。
その間も、観客席の熱狂は収まるどころか、さらに激しくなっていった。
(んー、うるさいなぁ……祭りかよ)
拳を高々と掲げて喜ぶ者。チケットをばら撒いて絶望する者。観客席から断片的に聞こえてくる声から察するに、大金が動いたようである。
沸き上がる観客の様子には苦笑するしかない。
そうしてわいわいと戦うこと暫し――
俺はすでに十二人の相手を倒していた。どいつも適当に殴れば昏倒するレベルで、これといった感想はない。
血の付着した拳を振り払い、ガスマスクを着け直す。
「おいっ! 負けんじゃねぇぞ!」
「そうだ、俺なんて金貨二枚賭けてるんだからなぁ!」
「この調子で勝ちやがれッ」
さっきから野次の量が凄まじい。
〈耳栓〉を使っていてもはっきりと聞こえるほどだ。あまりの喧しさに、仕舞いには〈騒音耐性〉なんてスキルまで獲得してしまった。
眉を顰め、うんざりとした気分で舌打ちする。
そんな俺に、突然声がかかった。
「やあ、元気に勝ち抜いているようだね」
「……たまたまですよ。運がよかっただけです」
十三人目の対戦相手である鉄仮面の剣士が、フランクな調子で歩み寄ってきた。
声や体格からして女だろうか。青銅色のローブに身を包み、剣と盾をだらりと構えている。
今までの相手とは何となく格が違うような気がする。隙が見当たらない。視線から佇まいに至るまで、すべての所作が防御として完璧だった。
俺が少し焦っている間に、試合開始のブザーが鳴り響く。
「君はどうしてこんな試合に出ているのかい?」
仮面の女が、構えを解かずに尋ねてきた。その距離およそ十メートル。決して油断できない。
細心の注意を払ったまま、俺は答える。
「暇潰しってやつですかね。刺激が欲しかったもので」
「ははっ、君は面白いね」
何がおかしいのか。仮面が愉快そうに笑った。
今しかない。咄嗟に判断した俺は、ロングコートの下から二本のナイフを抜き、それらを仮面の女に放った。
【スキル〈投擲〉〈電磁加速〉〈標的確定〉を発動しました】
絶好のタイミングでの不意打ち。さらにスキルで強化までしてある。ナイフは高速で仮面の女に迫った。狙いは首元と太腿の二か所。これなら確実に仕留められる。
それが甘い見込みだと気付いたのは、すぐ後のことであった。
「チッ……」
俺は舌打ちし身構える。
仮面の女の姿がぶれたと思われた直後、俺の前方数メートルまで接近していた彼女に弾かれて、ナイフは金属音と共に砕け散る。
間髪入れず視界の隅で刃が煌めいた。
俺は反射的に新たなナイフを取り出す。
【スキル〈受け流し〉を獲得しました】
火花が散り、腕に鈍い衝撃が走る。
攻撃に失敗した仮面の女に向け、そのままナイフを突き出す。
「なるほど、いい攻撃だね」
仮面の女が冷静に評する。
空を切った虚しい感覚。俺の反撃は、盾によってものの見事に受け流された。まるで数瞬前の仕返しのように。
間近で交錯する視線。仮面の奥に見える女の瞳は、感心しているようだった。どうやらまだ余力があるらしい。
苛立った俺は、ナイフを逆手に持ち替え、さらに距離を詰める。
こちらの意図を察した仮面の女が斬撃を繰り出してくるが、そんなものは予測済みだ。剣筋を見切り、体を滑り込ませる。肩を浅く斬られたものの、致命傷ではない。邪魔な盾をナイフで押しのけ、勢いのままにぶん殴る。
仮面の女は宙を舞い、くるりと一回転して着地した。そして、ヒビの入った仮面を撫でて何度か頷くと、剣の切っ先を向けてくる。
しっかりとした足取りを見るに、大したダメージではなかったらしい。
俺は刃の欠けたナイフを捨て、金属製のトンファーを取り出す。
「ははっ、今のはさすがだったなぁ――でも、同じ手は通用しないよ」
仮面の女はそう告げると、ぶつぶつと呪文を詠唱し始めた。すると、彼女の剣が赤く発熱し、やがて轟々と音を立てて燃え盛る。魔術師でもあそこまでスムーズに魔法を行使できないのではないのだろうか。
仮面の女の多才さに感心しつつ、俺は魔法攻撃に備える。
すぐに小さな火球が飛んできた。
なかなかの速度だが、避けられないほどではない。
軽々とやり過ごして前方に向き直り――
(しまった、連発型だったか……!)
絶妙な位置に撃ち込まれた二発目の火球をトンファーで掻き消す。さらに迫る三発目と四発目は、横に転がって回避した。
まったく、辛うじて当たらなかったからいいものの……
剣から火球を飛ばしてきた仮面の女を一瞥して、俺は深々と溜息を吐いた。
【スキル〈軽業〉を獲得しました】
身のこなしが上手くなるスキルのようなので、さっそく起動させる。今回の対戦相手の脅威度は、俺の予想を遥かに超えているようだからね。
トンファーを顔の前に構え、仮面の女に対峙する。このままでは埒が明かないし、押し切られそうな気配すらあった。
仮面の女が突然宣言する。
「そろそろ終わりにしようか……」
「あぁ、お前の敗北でフィナーレだ」
俺はそう答えながら、トンファーに電流を流す。
一方、彼女の掲げた剣は赤い炎から変化し、白い光を帯び始めた。光り輝く剣は闘技場全体を照らす。脳内の警鐘が、これ以上ないほどに危険を告げた。
湧き上がる殺意を理性で抑え、仮面の女の一挙一動に注目する。
数秒後、仮面の女と俺は同時に技を繰り出した。
「光よ、呑み込め」
「一瞬でぶっ飛ばしてやる」
光の斬撃と雷撃が激突する。
凄まじい音と共に視界が白く染まり、何も見えなくなった。まるで閃光手榴弾が爆発したかのようである。
俺は両目の痛みに呻きながら、悪態を吐いた。
【スキル〈光耐性〉を獲得しました】
辛うじて薄目を開いた俺は、自身の失策を呪った。
これでは相手に無防備な姿を晒しているも同然だ。必死に気配を探ろうとするものの、仮面の女の位置はつかめない。おそらく俺のように隠密系の能力持ちなのだろう。まったく以て腹立たしい。
しかし俺の苛立ちは、首筋に当てられた冷たい感触によって霧散した。
「両手を上げて武器を捨てて。痛い思いは、したくないよね?」
眼前で優しげに告げられる声。
ようやく回復した視界に、剣を握る仮面の女が映る。鋭利な刃が俺の首をそっと撫でていた。少しでも力が加われば、頸動脈が傷付いて真っ赤な噴水が完成するだろう。
どうやら「詰み」というやつらしい。仮面の女はあの光の爆発を読んでいたに違いない。
俺は、トンファーを捨てて両手をひらひらと上げた。
「いやぁ、見事にしてやられましたよ。降参です」
そう言って俺は殺気を解き、対戦相手の顔を見つめる。
仮面の奥に覗く瞳は、なぜか笑っているようだった。それは決して嘲りや見下しの感情から来るものではない。むしろ、親しみすら籠っているように感じられる。
だが、その視線の意味を考える間もなく試合は終了した。剣を下ろした仮面の女は、俺に軽く手を振ってから去っていった。
残された俺は、観客の罵声や歓声を聞きながら、訳も分からず首を傾げるしかなかった。
4 長い夜
「改めてお疲れ様です。実に面白い戦いを見せていただきました」
閑散とした飲み屋。司会の男ことエレオが、俺の隣で満足そうに酒を呷っている。事の顛末を知った上でそんな風に言えるのだから、なかなかの性格をしていると思う。
どう反応すべきか迷った俺は、曖昧な笑みを浮かべてつまみに手を伸ばした。
(面白い戦い、ねぇ……)
賭け試合で降参した後の展開など、ロクな話ではない。
無様な負け方をした俺は、観客からこれ以上ないほど罵倒された。きっと俺の勝利に金を積んでいた連中だろう。直前まで応援してくれていたというのに、実に身勝手な奴らである。
中には地下闘技場の外で襲いかかってくる馬鹿もいたので、そいつらは憂さ晴らしに処理しておいた。
俺だって腑に落ちない試合だったのだから、あまり責めないでほしい。
頬杖を突いてぼんやりと店内を眺めながら、相変わらずニコニコと笑うエレオに尋ねる。
「それで何か用ですか。わざわざ慰めに来てくれたわけじゃないですよね?」
グラスを置いたエレオは、肩を竦めて答える。
「あはは、僕はあなたの奮闘ぶりを称えたいだけですよ。なにしろ、あの対戦相手に対して十分な立ち回りを見せたのですから」
エレオの物言いに疑問を感じた俺は、率直に尋ねてみた。
「……彼女を知っているんですか?」
仮面の女は、純粋な実力で俺を負かした。俺は現代兵器や強力な能力の使用は控えていたが、彼女の異常な強さに偽りはない。
「えぇ、有名な方ですので。諸事情で詳しくはお話しできませんが、この帝都でも屈指の実力者なのは間違いありません」
仮面の女が相当な力を有するのは、身を以て感じたばかりである。もっと詳しく教えてほしいが、当のエレオはそれ以上喋ろうとしなかった。
エレオがニコニコしたまま、会話をお開きにしようとする。
「とにかく今宵は素晴らしい戦いが観られてよかったです。僕から誘った手前、あのような結果になってしまったのは申し訳ないのですが、とても感謝していますよ」
「こちらとしても、いい勉強になりました。いろいろと思うところがあったので」
仮面の女との戦いでは、反省点がいくつもあった。彼女に殺意があったなら、降参を促さず、俺の首を刎ね飛ばしてもおかしくなかった。
そう考えて、俺はゆっくりと首元を撫でる。
「はっはっは! やっぱりあなたは面白い。稀有な逸材ですね」
こちらのリアクションをどう取ったのか、エレオは愉快そうに手を叩いた。何がそんなに面白いのだろう。俺には目の前の人物の思考が理解できない。
怪訝な視線を送っていると、エレオは苦笑して立ち上がる。
「あなたが、これからの戦いで勝ち抜くのを祈っていますよ」
肩を竦めて視線を机に移すと、俺はあることに気付いた。
机の上に置かれた数種のつまみと高そうな酒瓶。カウンターに立つマスターが微笑を浮かべてこちらを見ている。
「ここの支払い、俺の奢りか……」
なんとも言えない気持ちで、俺は深々と溜息を吐き出すのだった。
5 不穏な影
「ちょっと通るよー」
「あぁ? 誰だてめぇはあああああぁぁっ!?」
俺は進路を塞いだ馬鹿の腕を握り潰し、そのまま無防備な腹にナイフを当てて斬り裂いた。つんざくような絶叫が辺りに響き渡る。
こいつは近所迷惑という言葉を知らないのだろうか。
あまりにもうるさいので、大きく開いたその口にナイフを突っ込んでやる。ぐりぐりと抉ると、そいつは自分の血でうがいを始めた。少々汚いが、悲鳴がなくなったので騒音問題は解決した。
やがて動かなくなったそいつの死体をチート本に収容し、再び歩き始める。
(やっぱり国の首都でも犯罪者は蔓延っているみたいだね)
時刻は深夜。
暗い路地を彷徨いながら、俺は気分よく口笛を吹く。
飲み屋で呆けている際に閃いた「鬱憤晴らしに犯罪者を狩ろう作戦」は、好調な滑り出しを見せた。
場所と時間がいいのか、すでに殺害人数は両手では数え切れない。日中に緑鱗族の男から「衛兵から見放されたスラム街」を聞き出しておいてよかった。この辺りの治安は相当悪いらしいが、俺にとっては打ってつけの場所である。
ストレス発散には運動が効果的だと聞いたことがあるが、なんとも頷ける話だ。下がり気味だったテンションも、ほどよい運動のおかげで復活した。
付着した血を振り払い、ナイフを手元でくるくると回していると、男たちの声が聞こえてきた。
「確かこっちで悲鳴が……」
「おい、誰かいるぞ!」
先ほどの馬鹿の悲鳴が、新たな獲物を引き寄せてくれたらしい。これは好都合だ。
曲がり角から飛び出してきた二人の男を見つけるやいなや、俺はナイフを投げ付けた。
「痛てぇ! こいつ、やりやがった!」
「調子に乗るなよ、小僧……!」
一人が肩を押さえて叫び、もう一人が長剣を掲げて接近してくる。だが、その動きはあまりにも緩慢だった。仮面の女と比べれば、止まっているも同然である。
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