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ザーザーザーザーザー
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どのくらい寝ていたのだろうか。不意にザーザーザーという雨音で目が覚めた。スマホの画面を光らせて時間を確認すると、急いで寝る支度を整え、ベッドに潜り込んでから3時間ほどが経っていた。
何故だか雨音に敏感な私は、少しの雨音でもこうして目が覚めてしまう。日中の雨音でも不安に駆られ顔が曇るのだが、深夜の雨音は特に私の不安を煽る。外の音が気になりすぎて寝不足になることも稀にある。そのため、深夜に雨が降りそうなときは、早めに寝て睡眠時間を確保しているのだ。
案の定今日も雨音で目が覚めた。仕方がないので、一旦ベッドから起き上がると、そのまま、トイレに行く。
窓の外では勢いの増したたくさんの雨粒たちが、我先に地表へ到達しようと、先を競っている移動しているような音がしている。
ザーザーザーザーザーと雨粒たちの大移動の音が、寝ぼけた私を次第に覚醒へと導いていく。
しかし、時刻はまだ深夜。できることならば、私はゆっくりと眠りたい。
用を足し終わると、目ボケ眼を擦りながら部屋へと戻り、机の上にいつでも手に取れるようにと置いてある、小さな双子の救世主を手にした。
コードレスのイヤホンをそれぞれ左右の耳に填め、私はベッドへと潜り込む。布団の中で、スマホを操作し、音楽をかける。音楽と言っても、最近流行りの曲を選んでしまうと、気分が高揚して逆に眠れなくなってしまうので、こういう時にスマホから流す音は決まっている。
小川のせせらぎ。これ一択である。
雨の音が嫌だというのに、チョロチョロサラサラと流れる水の音は平気。むしろリラックスできるというのは不思議な話なのだが、世に言う「1/fの揺らぎ」というものは、私にも効果があるような気がするのだ。
目には目をじゃないけれど、水には水で対抗して、私の脳内を雨音からせせらぎへと塗り替える。
ザーザーザーザーザーと、まるで、こちらを見ろと自己主張しているような窓の外の音に意識が向かないように、目を固く瞑り、チョロチョロサラサラと流れる水の音だけに集中する。
流れに身を委ねていれば、やがて、私は本当にその流れに流されているように、どんぶらどんぶら眠りへと誘われていく。
窓の外では、相変わらず、ザーザーザーザーザーと、雨音が私を眠りから引きはがそうと騒いでいるようだが、どうやら今日は上手いこと眠ることが出来そうだ。微睡の中、ホッと安堵の息を吐く。
いつもこうだったら、雨音なんか怖くないのに……
何故だか雨音に敏感な私は、少しの雨音でもこうして目が覚めてしまう。日中の雨音でも不安に駆られ顔が曇るのだが、深夜の雨音は特に私の不安を煽る。外の音が気になりすぎて寝不足になることも稀にある。そのため、深夜に雨が降りそうなときは、早めに寝て睡眠時間を確保しているのだ。
案の定今日も雨音で目が覚めた。仕方がないので、一旦ベッドから起き上がると、そのまま、トイレに行く。
窓の外では勢いの増したたくさんの雨粒たちが、我先に地表へ到達しようと、先を競っている移動しているような音がしている。
ザーザーザーザーザーと雨粒たちの大移動の音が、寝ぼけた私を次第に覚醒へと導いていく。
しかし、時刻はまだ深夜。できることならば、私はゆっくりと眠りたい。
用を足し終わると、目ボケ眼を擦りながら部屋へと戻り、机の上にいつでも手に取れるようにと置いてある、小さな双子の救世主を手にした。
コードレスのイヤホンをそれぞれ左右の耳に填め、私はベッドへと潜り込む。布団の中で、スマホを操作し、音楽をかける。音楽と言っても、最近流行りの曲を選んでしまうと、気分が高揚して逆に眠れなくなってしまうので、こういう時にスマホから流す音は決まっている。
小川のせせらぎ。これ一択である。
雨の音が嫌だというのに、チョロチョロサラサラと流れる水の音は平気。むしろリラックスできるというのは不思議な話なのだが、世に言う「1/fの揺らぎ」というものは、私にも効果があるような気がするのだ。
目には目をじゃないけれど、水には水で対抗して、私の脳内を雨音からせせらぎへと塗り替える。
ザーザーザーザーザーと、まるで、こちらを見ろと自己主張しているような窓の外の音に意識が向かないように、目を固く瞑り、チョロチョロサラサラと流れる水の音だけに集中する。
流れに身を委ねていれば、やがて、私は本当にその流れに流されているように、どんぶらどんぶら眠りへと誘われていく。
窓の外では、相変わらず、ザーザーザーザーザーと、雨音が私を眠りから引きはがそうと騒いでいるようだが、どうやら今日は上手いこと眠ることが出来そうだ。微睡の中、ホッと安堵の息を吐く。
いつもこうだったら、雨音なんか怖くないのに……
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