クロとシロと、時々ギン

田古みゆう

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弱点は、たまご!?(3)

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「つまり、今回はどんな料理に満足したかっていう、満足度調査を行うということですか?」

 萌乃が尋ねると、白谷吟は首を少し捻った。

「う~ん。もちろんそれも必要だとは思うんだけどね。でも、それじゃあ低価格プランのリサーチとしては普通すぎる気がするんだよね」

 白谷吟の曖昧な言葉を聞いて、シロ先輩が口を開く。

「じゃあ、俺たちが料理のプロデュースでもして、ゲストの反応をみようってのか? 料理のメニューに関しては、俺たちがどうこう言うよりも、ホテルのシェフに任せた方がいいんじゃないのか? 前はそうだっただろ?」

 確かにその通りだ。だが、白谷吟は首を横に振った。

「そういうことじゃないけど、でも、挙式の価格を抑えるとなると、コストカットしやすい食事関係はどうしても質が落ちてしまう。それだと、ゲストが満足する料理が提供できない可能性もあるだろ。現に、前回のリサーチでは、そういったゲストの感想もあったわけだし」
「まぁ、そうだな」

 白谷吟の言葉を聞いて、シロ先輩が納得したように小さく相槌を打つ。

「今回の予算の都合を考えると、従来通りのフルコースというのは難しいと思うけど、それでも、食事の質を落とさずに費用を抑えて提供する方法はあると思うんだよね。食事にこだわりたいとリクエストが出ているのだから、それを叶えるプランニングを僕たちは提案すべきなんじゃないかな?」

 白谷吟はそう言って、私たち三人の顔を見回す。

「なるほどな」
「確かにそうですね!」
「じゃあ、具体的に何をするか決めましょう」

 シロ先輩が顎に手を当てながら呟き、萌乃が嬉しそうに手を叩く。そして、私が先を促すと、白谷吟は満足げに微笑んでから、ホワイトボードに『コンセプト』と書いた。

「今回、一番大切にすべきは何だと思う?」
「えっと……やっぱり、満足度ですかね」

 私の答えを、シロ先輩と萌乃は肯定するように大きく首肯する。

「うん。それは間違いないだろうね。じゃあ、どうすれば顧客の満足度は上がるかな?」

 白谷吟が質問を続けると、今度は萌乃が手を挙げた。

「美味しいものをたくさん用意することでしょうか? それとも、珍しいものとか……」
「うーん。両方あればもちろん良いけれど、それだと低価格にはなりづらいよね」
「そうですよねぇ……。難しいなぁ」

 萌乃は眉根を寄せて腕を組む。すると、シロ先輩が何かに気付いた様子で口を開いた。

「満足ってことで言ったら、イメージに訴えるのはどうだ?」
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