レンタルフット始めます

 俺の口からクククッと小さく溢れ出た笑い声は、間もなくして、ガハハハッと大きく下品な笑い声となって、室内に響き渡った。
「よく見ろ! 俺を馬鹿にした者どもめ。俺は、ここまで来たぞ! お前らが馬鹿にした俺の発明で、俺は、ここまで上り詰めたんだ。今日から俺は、勝ち組なんだ!」
 グフフ、ガハハと気の向くままに笑っていると、ピロリンと間の抜けた音がし、レタリーの声が天井から聞こえてきた。
「おはようございます! 祐司。昨晩はよく眠れましたか?」
 流暢に話す機械的な声に、俺は相手もいないのに、ニヤリと笑みを見せ、頷いた。
「ああ。レタリー。おはよう。よく眠れたよ。こんなに良く寝たのは、随分と久しぶりだ」
「そうですね。祐司は、発明と店舗経営がお忙しいですから。しかし、人間には、質の良い睡眠と、栄養バランスの取れた食事、それから、適度な運動が必要ですよ」
 口うるさい嫁か母親のような物言いをするAI秘書に、苦笑いを浮かべながら、俺は、今日から勝ち組ライフを堪能する。

……はずが……?
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