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新人魔女とアドバイザー(6)

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「精霊の加護を与えて頂いたこちらのペンダントは問題なく使えていますよ。それとも何か、これとは違う魔法をお考えなのですか?」

 その問いに、リッカは難しい顔をしたまま「同じ魔法です」と首を横に振った。

「では、どうしてそのように難しいお顔をなさるのです?」

 不思議そうに尋ねる義姉に、リッカは自分の考えを整理するかのようにゆっくりと言葉を選びながら説明をする。

「精霊の加護とは、分かりやすく言うと精霊を触媒となる物に定着させることなんです」
「……そうなのですね」

 エルナはリッカの懸念が上手く汲み取れず短く相槌を打つに留める。

「精霊を定着させるには、物とその人の親和性が大切です。親和性が高いほど定着は上手くいきます。そのペンダントはお姉様が肌身離さず持っていたからこそ、上手く精霊が定着したのです」

 エルナはペンダントを掌で包み込んだ。とても大切そうに。そんな様子を見ながらリッカは言葉を続ける。

「精霊の加護を与えることで、今回の試作品は実現可能だと思うのです。しかし、どのようにして精霊を付与するか。その手段がなかなか思い浮かばないのです」

 リッカの返答にエルナは小首を傾げた。

「リッカさんの仰る『物との親和性』というのは、一体どういう事を言うのですか? わたくしのように、肌身離さず持ち歩いている物でないといけないのですか?」

 エルナの問いにリッカは首を横に振りながら答える。

「必ずしも肌身離さず持ち歩いている物である必要はありません。身に付けている物がより親和性が高くなるというだけのことです」

 リッカの返答を聞いてエルナは口を噤む。どこか思案顔で黙り込んだエルナにつられるように、リッカも口を閉ざす。しばしの間室内に静寂が満ちた。

 そして、少しの逡巡の後、エルナが顔を上げて口を開いた。

「親和性というのは、どのくらいの期間で培われるものなのでしょう?」

 義姉の疑問に、少し悩むそぶりを見せてからリッカが答えた。

「親和性とは、物と人肌が馴染むことを指します。例えば、新しい靴はあまり足に馴染みませんが、履いているうちに次第に足馴染みの良い物になりますよね。頻繁に履く靴は比較的早く、あまり履かない靴はなかなか足に馴染まない。つまり、その馴染みこそが親和性なのです」
「なるほど。靴ならば、履き慣れるのに大体一週間くらいはかかります。ですから、触媒となる物も、そのくらいの期間は身近になければならない」

 エルナはポンと手を打った。
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