341 / 461
新人魔女の小さな助手(5)
しおりを挟む
「あぁ、私は、こんな物見たことがない」
「どこが変なんですか?」
リゼの答えにリッカはますます首を傾げる。そんな弟子の様子に師匠であるリゼは深いため息を吐いた。
「君はあれをゴーレムと言うが、本来ゴーレムとは巨大土人形のことを指すのだぞ。あんな小さな物のことではない。一体、何をどうしたらあんな物が生まれるんだ?」
「え? だって、巨大ゴーレムはかわいくないじゃないですか。小回りも効かないから、手作業を手伝ってもらうのにも不便だし。だから、小さい子を生み出せるように、わたしが魔法陣を改良したんです」
胸を張ってリッカは答えるが、どうやら師匠であるリゼには理解しがたいことらしい。眉を顰めて、じっとゴーレムの消えた奥を見つめている。
「研究のために助手を必要とすることは分かる。魔法陣を自分の使いやすいように改良するのも良い。……しかし、なぜ土人形なんだ? 助手を生み出すなら、もっと別の物があるだろう」
「え~。だって、土なら大体どこにでもありますから、必要なときに地面にササッと魔法陣を描けば、すぐに錬成できるじゃないですか。大きさも数も自由自在だし、力だってあるし……」
口を尖らせて抗議するリッカに、リゼは益々理解に苦しむという顔をする。
「だからって……」
「それにあの子たち、かわいいじゃないですか!」
リッカは鼻息荒く答えるが、師匠であるリゼの表情は相変わらず固い。難しい顔をしたまま、リッカに向き合う。
「……君はゴーレムに可愛さを求めるのか」
「勿論です! 小さくて可愛い方が見ていて和むし、親しみやすいじゃないですか。リゼさんも一度あの子たちを使ってみてください。きっと、あの子たちの可愛さが分かるはずですから!」
リッカの勢いに気圧されてリゼは一歩後ずさる。熱く語るリッカにリゼは返す言葉が見つからない。そのまま押し黙っていると、リッカが「あっ」と何か思いついたように声を上げた。
「そうだ! 今からリゼさんのお手伝いをする子を何体か出しましょうか?」
「……いや、いい……」
押しの強い弟子の主張をすぐには受け入れられないのか、リゼは難しそうな表情で首を振るばかりだ。
「わ、私には必要ない。一時の助手に可愛らしさなどいらぬ。それに、助手ならば君がいるではないか!」
ビシリと人差し指を突きつけて主張するリゼに、リッカは唇を尖らせる。
「そうは言いますけど、わたしだって色々と忙しいんですよ。なんてったって工房主ですから」
「どこが変なんですか?」
リゼの答えにリッカはますます首を傾げる。そんな弟子の様子に師匠であるリゼは深いため息を吐いた。
「君はあれをゴーレムと言うが、本来ゴーレムとは巨大土人形のことを指すのだぞ。あんな小さな物のことではない。一体、何をどうしたらあんな物が生まれるんだ?」
「え? だって、巨大ゴーレムはかわいくないじゃないですか。小回りも効かないから、手作業を手伝ってもらうのにも不便だし。だから、小さい子を生み出せるように、わたしが魔法陣を改良したんです」
胸を張ってリッカは答えるが、どうやら師匠であるリゼには理解しがたいことらしい。眉を顰めて、じっとゴーレムの消えた奥を見つめている。
「研究のために助手を必要とすることは分かる。魔法陣を自分の使いやすいように改良するのも良い。……しかし、なぜ土人形なんだ? 助手を生み出すなら、もっと別の物があるだろう」
「え~。だって、土なら大体どこにでもありますから、必要なときに地面にササッと魔法陣を描けば、すぐに錬成できるじゃないですか。大きさも数も自由自在だし、力だってあるし……」
口を尖らせて抗議するリッカに、リゼは益々理解に苦しむという顔をする。
「だからって……」
「それにあの子たち、かわいいじゃないですか!」
リッカは鼻息荒く答えるが、師匠であるリゼの表情は相変わらず固い。難しい顔をしたまま、リッカに向き合う。
「……君はゴーレムに可愛さを求めるのか」
「勿論です! 小さくて可愛い方が見ていて和むし、親しみやすいじゃないですか。リゼさんも一度あの子たちを使ってみてください。きっと、あの子たちの可愛さが分かるはずですから!」
リッカの勢いに気圧されてリゼは一歩後ずさる。熱く語るリッカにリゼは返す言葉が見つからない。そのまま押し黙っていると、リッカが「あっ」と何か思いついたように声を上げた。
「そうだ! 今からリゼさんのお手伝いをする子を何体か出しましょうか?」
「……いや、いい……」
押しの強い弟子の主張をすぐには受け入れられないのか、リゼは難しそうな表情で首を振るばかりだ。
「わ、私には必要ない。一時の助手に可愛らしさなどいらぬ。それに、助手ならば君がいるではないか!」
ビシリと人差し指を突きつけて主張するリゼに、リッカは唇を尖らせる。
「そうは言いますけど、わたしだって色々と忙しいんですよ。なんてったって工房主ですから」
0
お気に入りに追加
32
あなたにおすすめの小説

助けたキツネが恩返しにきました。もふもふはいるだけで幸せです。
三園 七詩
ファンタジー
いじめられていたキツネの子供を助けると人の姿で恩返しにきた。
キツネの子との生活に心を癒されるジャック。
幸せな二人の生活だったが……幸せを邪魔する影が…

前代未聞のダンジョンメーカー
黛 ちまた
ファンタジー
七歳になったアシュリーが神から授けられたスキルは"テイマー"、"魔法"、"料理"、"ダンジョンメーカー"。
けれどどれも魔力が少ない為、イマイチ。
というか、"ダンジョンメーカー"って何ですか?え?亜空間を作り出せる能力?でも弱くて使えない?
そんなアシュリーがかろうじて使える料理で自立しようとする、のんびりお料理話です。
小説家になろうでも掲載しております。
イケメン副社長のターゲットは私!?~彼と秘密のルームシェア~
美和優希
恋愛
木下紗和は、務めていた会社を解雇されてから、再就職先が見つからずにいる。
貯蓄も底をつく中、兄の社宅に転がり込んでいたものの、頼りにしていた兄が突然転勤になり住む場所も失ってしまう。
そんな時、大手お菓子メーカーの副社長に救いの手を差しのべられた。
紗和は、副社長の秘書として働けることになったのだ。
そして不安一杯の中、提供された新しい住まいはなんと、副社長の自宅で……!?
突然始まった秘密のルームシェア。
日頃は優しくて紳士的なのに、時々意地悪にからかってくる副社長に気づいたときには惹かれていて──。
初回公開・完結*2017.12.21(他サイト)
アルファポリスでの公開日*2020.02.16
*表紙画像は写真AC(かずなり777様)のフリー素材を使わせていただいてます。


ブラックギルドマスターへ、社畜以下の道具として扱ってくれてあざーす!お陰で転職した俺は初日にSランクハンターに成り上がりました!
仁徳
ファンタジー
あらすじ
リュシアン・プライムはブラックハンターギルドの一員だった。
彼はギルドマスターやギルド仲間から、常人ではこなせない量の依頼を押し付けられていたが、夜遅くまで働くことで全ての依頼を一日で終わらせていた。
ある日、リュシアンは仲間の罠に嵌められ、依頼を終わらせることができなかった。その一度の失敗をきっかけに、ギルドマスターから無能ハンターの烙印を押され、クビになる。
途方に暮れていると、モンスターに襲われている女性を彼は見つけてしまう。
ハンターとして襲われている人を見過ごせないリュシアンは、モンスターから女性を守った。
彼は助けた女性が、隣町にあるハンターギルドのギルドマスターであることを知る。
リュシアンの才能に目をつけたギルドマスターは、彼をスカウトした。
一方ブラックギルドでは、リュシアンがいないことで依頼達成の効率が悪くなり、依頼は溜まっていく一方だった。ついにブラックギルドは町の住民たちからのクレームなどが殺到して町民たちから見放されることになる。
そんな彼らに反してリュシアンは新しい職場、新しい仲間と出会い、ブッラックギルドの経験を活かして最速でギルドランキング一位を獲得し、ギルドマスターや町の住民たちから一目置かれるようになった。
これはブラックな環境で働いていた主人公が一人の女性を助けたことがきっかけで人生が一変し、ホワイトなギルド環境で最強、無双、ときどきスローライフをしていく物語!
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

前世の記憶が蘇ったので、身を引いてのんびり過ごすことにします
柚木ゆず
恋愛
※明日(3月6日)より、もうひとつのエピローグと番外編の投稿を始めさせていただきます。
我が儘で強引で性格が非常に悪い、筆頭侯爵家の嫡男アルノー。そんな彼を伯爵令嬢エレーヌは『ブレずに力強く引っ張ってくださる自信に満ちた方』と狂信的に愛し、アルノーが自ら選んだ5人の婚約者候補の1人として、アルノーに選んでもらえるよう3年間必死に自分を磨き続けていました。
けれどある日無理がたたり、倒れて後頭部を打ったことで前世の記憶が覚醒。それによって冷静に物事を見られるようになり、ようやくアルノーは滅茶苦茶な人間だと気付いたのでした。
「オレの婚約者候補になれと言ってきて、それを光栄に思えだとか……。倒れたのに心配をしてくださらないどころか、異常が残っていたら候補者から脱落させると言い出すとか……。そんな方に夢中になっていただなんて、私はなんて愚かなのかしら」
そのためエレーヌは即座に、候補者を辞退。その出来事が切っ掛けとなって、エレーヌの人生は明るいものへと変化してゆくことになるのでした。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる